2019年11月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
今回はコンサータの流通管理が変更になることに伴う改訂とクラリスロマイシンの併用注意の整備が主なものかと思います。
① コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩(徐放錠))【警告】
2019 年 12 月よりコンサータの流通管理が変更となることにより、改訂されました。
現在、コンサータ錠登録管理システムに登録されている登録医師・登録薬局・登録調剤責任者が 2020年7月1日以降も登録を継続する場合は、2019年12月に稼働する新しい管理システムにおいて2020年 6 月 30 日までに登録手続をする必要があります。
また、2019 年 12 月 1 日以降に新たに本剤を服用開始する患者については患者登録(本剤投与にあたっての文書での同意取得を含む)が必要となります。
2019 年 11 月 30 日以前に本剤を服用していた患者については、2021 年 1 月 1 日以降には全て患者登録(本剤投与にあたっての文書での同意取得を含む)が必要となります
なお、製薬会社に確認したところ、警告欄にある「文書で同意を取得すること」というのは医師側であり、薬局では同意書取得は不要とのことでした。
<警告>
本剤の投与は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の診断、治療に精通し、かつ薬物依存を含む本剤のリスク等について十分に管理できる、管理システムに登録された医師のいる医療機関及び薬剤師のいる薬局において、登録患者に対してのみ行うこと。
また、それら薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関・患者が管理システムに登録されていることを確認した上で調剤を行うこと。
本剤の投与にあたっては、患者(小児の場合には患者又は代諾者)に対して、本剤の有効性、安全性、及び目的以外への使用や他人へ譲渡しないことを文書によって説明し、文書で同意を取得すること。
実際の薬局の対応
薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関に加えて、患者ID、処方内容等の確認が必要となるようです。
なお、製薬会社に11月末時点で確認したところ、これら患者ID、処方内容等の確認が、インターネット上でなく従来のようにコールセンターへの電話で可能なのかは12月にならないとわからないとのことでした。
また、患者IDは患者カードにより確認するようですが、患者がIDカードを忘れた場合の対応も12月にならないとわからないとのことでした。
②タケキャブ(ボノプラザン)【重大な副作用】
重大な副作用に「汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少及び血小板減少」が追記となりました。
<重大な副作用>
汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
③ラミクタール(ラモトリギン)【妊婦、産婦、授乳婦等への投与】
従来より、「授乳は避けさせること」と記載されていますが、加えて「授乳されている新生児、乳児における副作用」が追記されました。
<妊婦、産婦、授乳婦等への投与>
授乳されている新生児、乳児において、無呼吸、傾眠、体重増加不良等を起こすことが報告されている。
④クラリスロマイシン【併用禁忌・併用注意】
併用禁忌に新薬である「コララン錠」、「ベネクレクスタ錠(用量漸増期)」が追記となり、併用注意に「ベネクレクスタ錠(維持投与期)」、「サムスカ」が追記となりました。
なお、相手薬剤側の添付文書ではすでに相互作用に記載がされています。
「ベネクレクスタ錠」は漸増期は併用禁忌で、維持期は併用注意となりますが、併用注意でも併用する場合はベネクレクスタ錠の用量を100mg以下に減量(維持期は400mgが通常量のため1/4以下に相当)がベネクレクスタ錠側の添付文書の減量基準として記載されているため、実質的には併用ができないと考えたほうがよいかと思います。
サムスカについても、併用注意ではあるものの、サムスカの添付文書では「併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの開始などを考慮すること」との記載があるため、疑義照会対象として考えたほうがよいかと思います。
⑤クラリスロマイシンドライシロップ【適用上の注意】
適用上の注意に酸性飲料での服用を避ける旨が追記となりました。
<適用上の注意>
酸性飲料(オレンジジュース,スポーツ飲料等)で服用することは避けることが望ましい。有効成分の苦味を防ぐための製剤設計が施してあるが,酸性飲料で服用した場合には,苦味が発現することがある。
⑥ベンリスタ皮下注 200mg オートインジェクター【重要な基本的注意・重大な副作用】
重要な基本的注意に「うつ病、自殺念慮及び自殺企図」に関する注意喚起が追記され、また、 重大な副作用に「うつ病、自殺念慮及び自殺企図」が追記され ました。
<重要な基本的注意>
うつ病、自殺念慮及び自殺企図があらわれることがあるので、これらの事象が発現する可能性について患者及びその家族等に十分説明し、不眠、不安等の精神状態の変化があらわれた場合には速やかに担当医に連絡するよう指導すること。
<重大な副作用>
うつ病(0.1%)、自殺念慮(頻度不明)、自殺企図(頻度不明)
うつ病、自殺念慮及び自殺企図があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと
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