新薬承認情報【2019年秋】+効能追加情報

新薬承認情報【2019年秋】

2019年秋の新薬承認品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。

今回はキノロン系薬剤のラスビック錠や 1日2回のアレジオンLX点眼液、 血糖降下作用の発現がノボラピッド注より速いフィアスプ注など調剤する機会がありそうな新薬が多い印象です。

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①ラスビック錠(ラスクフロキサシン)

「咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍 を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の 二次感染、中耳炎、副鼻腔炎」を効能とする1日1回の用法のキノロン系抗菌剤です。

呼吸器と耳鼻科領域の効能であるため、膀胱炎や細菌性腸炎の効能はありません。

CYP3A4に対し阻害作用を示すとの記載があるため、相互作用の面では他のキノロンより劣る印象があります。

<適応菌種>
 本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球 菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、 クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエ ンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、プレボテラ 属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニュー モニエ) 

②フィアスプ注フレックスタッチ/ペンフィル/100単位/mL(インスリンアスパルト)

「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能とする超速効型インスリンアナログ製剤です。フレックスタッチ、ペンフィルの剤形では持続型インスリン製剤と併用となるようです。

フィアスプ注は、添加剤であるニコチン酸アミドにより皮下投与後初期のインスリンアスパルトの血中への吸収が速く、血糖降下作用の発現がノボラピッド注より速い製剤です。

毎食事開始時に皮下投与するが、必要な場合は食事開始後の投与とすることもできる製剤です。

③トリンテリックス錠(ボルチオキセチン)

「うつ病・うつ状態」を効能とするセロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節剤です。

海外ではうつ病の症状である精神症状/身体症状/認知機能の 3 面に好影響が期待できることから、3 を意味する「tri」と、優れた抗うつ薬を意味する「brilliant」、「excellent」から「rint」と「x」を付けて命名されています。

④ハルロピテープ(ロピニロール)

「パーキンソン病」を効能とするレキップと同成分の1日1回投与のテープ剤です。
8mg、16mg、24mg、32mg、40mgと規格が多いことは認識しておいたほうがよいかと思います。

ロピニロールを貼ることから命名されています。

⑤エベレンゾ錠(ロキサデュスタット)

「透析施行中の腎性貧血」を効能とする低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬です。腎性貧血の「経口投与」治療薬は初となります。

EVRENZO = Everest(エベレスト)+enzyme inhibitor(酵素阻害薬)から命名されています。

⑥エクフィナ錠(サフィナミド)

「レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善」を効能とする1日1回経口投与の選択的MAO-B阻害剤です。

Extend Quality 及びSafinamide を組み合わせて命名されています。

併用禁忌について

MAO-B阻害薬はほとんどすべての抗うつ薬が併用禁忌になるなど非常に併用禁忌が多いため、エフピー、アジレクト以外に新たにMAO-B阻害薬が発売されたことを認識しておかないと併用禁忌を見落としてしまうため注意が必要です。

特に相手薬側の添付文書は遅れて改訂されるため、当面相手薬側の併用禁忌の薬剤名にはエクフィナの名称がないため、エクフィナ併用時に相手薬側の添付文書だけを確認すると見落としてしまうという過誤が想定されます。

そのため、必ずエクフィナ側の添付文書も確認する必要があります。

⑦アイベータ配合点眼液(ブリモニジン酒石酸塩 /チモロールマレイン)

「他の緑内障治療薬が効果不十分な場合の緑内障、高眼圧症」 を効能とするアイファガンとチモロールの配合点眼です。

⑧コララン錠(イバブラジン)

「洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全 ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」を効能とするHCN(過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル)遮断薬です。

併用禁忌が比較的多くクラリスロマイシンも併用禁忌に含まれることは認識しておく必要があります。

心拍数を減少させる薬剤をイメージ「COR(英語で心臓を意味する heart より)」+「LAN(フランス語で遅いを意味する lent より)」から命名されています。

⑨アレジオンLX点眼液0.1%(エピナスチン)

「アレルギー性結膜炎」を効能とする、従来のアレジオン点眼液0.05%と比べて高濃度化により効果に持続性を持たせた1日2回の点眼剤です。

「LX」は、“Lasting extend”という造語に由来し、効果をさらに長く引き伸ばす“持続性”を意味して命名されています。

本剤は防腐剤を含有しない点眼剤となっていますが、これは成分に菌を抑える作用があり、保存剤を含有しないでも保存効力試験に適合したためのようです。

なお、アレジオン点眼の従来製剤と異なり、下記の点眼方法の制限があるため、用法自体は2回と利便性が高まりますが、点眼方法は原則仰向けで点眼後に数分閉眼し涙囊部を圧迫するため「不便」な点がある製剤かと思います。

<適用上の注意>
点眼に際しては、原則として仰臥位をとり、患眼を開瞼して結膜囊内に点眼し、1~5分間閉瞼して涙囊部を圧迫させた後、開瞼すること。

<記載理由>
点眼液は鼻涙管を経由して鼻咽頭粘膜から全身へ吸収されることがある。閉瞼及び涙嚢部を圧迫して全身吸収を抑制することにより、全身性の副作用を防ぎ、また治療効果を高めるために記載した。

⑩テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター

「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を効能とする、週に2回投与する製剤です。

投与時に注射針を付け替える必要がない1回使い切りの製剤あり、 キャップを外して投与部位に押し付けるだけの2ステップで投与可能です。

従来のテリボン皮下注用56.5μgはバイアル製剤であり、通院し週1回の投与でしたが、本剤は、在宅自己投与を前提としていることから、より安全性に配慮し、1回投与量を従来のテリボン皮下注用56.5μgの半量とする週2回分割投与(テリパラチドとして28.2μgを週2回皮下注射)が用法・用量として設定されています。

⑪オテズラ錠(アプレミラスト)【効能追加】

「局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍を」の効能が追加となりました。

新薬DSU等の解説
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