2019年10月分 DSUのまとめ

2019年10月分 DSUのまとめ

2019年10月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はフルオロキノロン系抗菌薬の「アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害」が主なものとなります。

また、処方頻度はそれほど多くないかとおもいますが、その他の薬も割と重要な改訂となっているため、扱いがある薬局は把握しておくしておく必要があります。

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① ザファテック (トレラグリプチン)【禁忌削除】

従来、禁忌であった「高度の腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者」が禁忌ではなくなりました。

これは 高度腎機能障害患者又末期腎不全患者に25mg週1回投与の有効性安全性を検討した試験の成績に基づき改訂となりました。

高度腎機能障害患者/末期腎不全患者の投与量の目安は「25mg週1回」となります。

②オルミエント(バリシチニブ)【重大な副作用】

従来、「重要な基本的注意」に記載されていた静脈血栓塞栓症に、関する内容が削除され、重大な副作用に「静脈血栓塞栓症」が追記されました。

重大な副作用は追記ですが、わざわざ「重要な基本的注意」が削除されているので、静脈血栓塞栓症の注意換気が強化されたのか緩和されたのか捉え方が難しい気がします。

<重要な基本的注意削除>
臨床試験において深部静脈血栓症及び肺塞栓症の発現が報告されているので、観察を十分に行いながら慎重に投与すること。異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

<重大な副作用>
静脈血栓塞栓症(頻度不明)肺塞栓症及び深部静脈血栓症があらわれることがある。

③イベニティ皮下注シリンジ(ロモソズマブ)【警告】

心血管系事象(虚血性心疾患又は脳血管障害)に関する内容が警告に追記となりました。

また、「虚血性心疾患及び脳血管障害の説明」は従来「虚血性心疾患又は脳血管障害のリスクが高い患者」に限定されていましたが、今回の改訂ですべての患者に対して説明が必要になりました。

さらに、「少なくとも、過去1年以内の虚血性心疾患又は脳血管障害の既往歴のある患者に対して、本剤の投与は避けること」という文言も追記されました。

<警告>
海外で実施されたアレンドロン酸ナトリウムを対照とした比較試験において、心血管系事象(虚血性心疾患又は脳血管障害)の発現割合がアレンドロン酸ナトリウム群に比較して本剤群で高い傾向が認められている。

また、市販後において、本剤との関連性は明確ではないが、重篤な心血管系事象を発現し死亡に至った症例も報告されている。本剤の投与にあたっては、骨折抑制のベネフィットと心血管系事象の発現リスクを十分に理解した上で、適用患者を選択すること。

また、本剤による治療中は、心血管系事象の発現がないか注意深く観察するとともに、徴候や症状が認められた場合には速やかに医療機関を受診するよう指導すること

<重要な基本的注意>
本剤を投与する場合には、虚血性心疾患及び脳血管障害の徴候や症状を患者に説明し、徴候や症状が認められた場合は、速やかに医療機関を受診するよう指導すること。

虚血性心疾患又は脳血管障害のリスクが高い患者への投与は、本剤の骨折抑制のベネフィットと心血管系事象の発現リスクを考慮して判断すること。
少なくとも、過去1年以内の虚血性心疾患又は脳血管障害の既往歴のある患者に対して、本剤の投与は避けること。

④フルオロキノロン系抗菌薬【重大な副作用】

「重大な副作用」に「アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害」及び「末梢神経障害」が追記されました。

なお、「アスレス腱炎」は全てのキノロンで追記(従来から記載されていたキノロンもあります)となっていますが、「末梢神経障害」はオゼックス、タリビッド、クラビット、ジェニナックなどの一部のキノロンのみで追記となります。

また、「アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害」で特に注意が必要な患者として、「副腎皮質ホルモン剤併用」が併用注意に記載されました。

<重大な副作用>
アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(頻度不明)
アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害があらわれることがあるので、腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。臓器移植の既往のある患者であらわれやすい

末梢神経障害(0.1%未満)
末梢神経障害があらわれることがあるので、しびれ、筋力低下、痛み等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと

<併用注意>
副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤)プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること

⑤ロナセン錠(ブロナンセリン)【用法・用量に関連する使用上の注意】

「用法・用量に関連する使用上の注意」にロナセンテープからロナセン錠への切り替え(もしくはその逆)方法が追記されました。

<用法・用量に関連する使用上の注意>
ブロナンセリン経皮吸収型製剤から本剤へ切り替える場合には、本剤の用法・用量に従って、1 回4mg、1 日 2 回食後経口投与より開始し、徐々に増量すること。

本剤からブロナンセリン経皮吸収型製剤へ切り替える場合には、次の投与予定時刻に切り替え可能であるが、患者の状態を十分観察すること。

切り替えに際しては、ブロナンセリン経皮吸収型製剤の「臨床成績」の項を参考に用量を選択すること。なお、本剤とブロナンセリン経皮吸収型製剤を同時期に投与することにより過量投与にならないよう注意すること。

⑥サムスカ(トルバプタン)【併用注意】

併用注意にジルフルカン(フルコナゾール)が追記になりました。

サムスカのAUCが3倍になる報告のようなので、疑義照会対象としたほうがよさそうです。ただし、用途にもよりますが代替薬はほとんどないかと思います。

<併用注意>
CYP3A4 阻害作用を有する薬剤ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)、イトラコナゾール、フルコナゾール、クラリスロマイシン 等グレープフルーツジュース

代謝酵素の阻害により、本剤の作用が増強するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量から開始すること。

<相互作用(外国人による成績)>
健康成人において、中等度の CYP3A4 の阻害作用を有するフルコナゾール 200mg とトルバプタン 30mg の併用により、トルバプタンの Cmax 及び AUC はそれぞれ 1.8 倍及び 3.0 倍になった。

⑦ジカディア(セリチニブ)【相互作用】

相互作用に「本剤は CYP3A を強く阻害する。また、CYP2C9 を阻害する。」と明記されました。

また、併用注意に下記が追記となりました。

CYP3Aの基質となる薬剤ミダゾラム、フェンタニル、タクロリムス等

副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤と併用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
本剤の強いCYP3A 阻害により、これらの薬剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。

CYP2C9 の基質となる薬剤ワルファリン、フェニトイン、ジクロフェナク等

副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤と併用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。

ワルファリンと併用する場合にはプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)のモニタリングの頻度を増やすこと。

本剤の CYP2C9阻害により、これらの薬剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。ワルファリンの抗凝固作用が促進される可能性がある。

⑧ロンサーフ(トリフルリジン・チピラシル)【妊婦、産婦、授乳婦等への投与】

「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」に女性及び男性患者に対して投与期間中及び投与終了後一定期間は避妊をするよう指導することが追記されました。

DSU等の解説
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