ミティキュアの服薬指導

ミティキュアの服薬指導
今回はダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬であるミティキュアダニ舌下錠の服薬指導をまとめました。

調剤する際に鳥居薬品舌下免疫療法薬登録医師確認窓口(コールセンターまたは確認サイト)で処方医が受講終了医師であることを確認する必要があるため注意が必要です。

スポンサーリンク

ミティキュアダニ舌下錠の概要

服薬指導難度

効能

ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法

包装・規格

ミティキュアダニ舌下錠3,300JAU: ブリスター包装7 錠(7 錠×1)
ミティキュアダニ舌下錠10,000JAU: ブリスター包装10 錠(10 錠×1)、 100 錠(10 錠×10)

用法・用量

通常、投与開始後1 週間は、ミティキュアダニ舌下錠3,300JAUを1 日1 回1 錠、
投与2 週目以降は、ミティキュアダニ舌下錠10,000JAUを1 日1 回1 錠、舌下にて1 分間保持した後、飲み込む。
その後5 分間は、うがいや飲食を控える。

<用法及び用量に関連する使用上の注意>
初回投与時は医師の監督のもと、投与後少なくとも30 分間は患者を安静な状態に保たせ、十分な観察を行うこと。

また、ショック、アナフィラキシー等の発現時に救急処置のとれる準備をしておくこと。
〔本剤はダニのアレルゲンを含む製剤であるため、アナフィラキシー等の発現のおそれがある。〕

名前の由来

特にありません。

指導せん

「ミティキュアを服用される患者さんへ」というタイトルの指導用冊子があり、アナフィラキシーの症状や対応が記載されているので服薬指導の際に必須です。

製薬会社のホームページから印刷もできるため、急ぎの場合は利用するのがよいかと思います。

ミティキュアの服薬指導で確認すること

①処方医が受講終了医師であることの確認【警告】

調剤する際に鳥居薬品舌下免疫療法薬登録医師確認窓口(コールセンターまたは確認サイト)で処方医が受講終了医師であることを確認します。

「コールセンター」と「確認サイト」の2通りの確認方法がありますが、コールセンターのほうが断然楽です。

確認サイトの場合は、薬剤師免許番号などを含む、薬剤師情報を入力する必要があり、薬剤師免許番号がその場でわからないと利用できません。

確認した結果、受講終了医でない場合は調剤できないため疑義照会します。

<警告>
本剤は、緊急時に十分に対応できる医療機関に所属し、本剤に関する十分な知識と減感作療法に関する十分な知識・経験を持ち、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師のもとで処方・使用すること。

薬剤師においては、調剤前に当該医師を確認した上で調剤を行うこと。

確認方法

<コールセンター>
鳥居薬品舌下免疫療法薬登録医師確認窓口 コールセンター
受付時間 月~金 9:00~19:00 土 9:00~17:30(日・祝日を除く)
0120-893-146

<確認用サイト>
24時間確認可能

鳥居薬品舌下免疫療法薬 登録医師確認窓口|確認用サイト

②患者携帯カードの確認

患者が「患者携帯カード」を携帯していること、及びカードへの記載内容の確認を行います。

表面には「患者情報(氏名、生年月日、使用している舌下免疫療法薬の名前)と医療機関情報(医療機関連絡先、医師名、緊急連絡先)」が記載されています。

裏面にはアナフィラキシーで早期にみられる症状が記載されています。

なお、患者が「患者携帯カード」を未携帯または必要事項が未記載であった場合には下記の対応を行ったあと薬剤を交付します。

これらの対応は、「鳥居薬品舌下免疫療法薬 安全対策に関するご協力のお願い」という冊子に記載されています。(製薬会社のホームページからも印刷可能です。)

患者携帯カードの未携帯、必要事項の未記載があった場合の対応

1.患者携帯カードを処方医から交付されていない場合は、患者に対して処方医師に交付を依頼するよう指導をする。

2.携帯しているが、必要事項(患者情報、医療機関情報)が未記入の場合には、患者に次回診療時に医療機関名などの確認を行うように指導する。

3.患者携帯カードを携帯していなかった場合は、患者に常に携帯するように指導します。

③年齢の確認【小児等への投与】

5歳未満は安全性は確立していない(使用経験がない)ため、年齢を確認します。

5歳未満に該当する場合は疑義照会したほうがよいかと思います。

<小児等への投与>
⑴ 低出生体重児、新生児、乳児又は5 歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない)

⑵ 小児等に対しては、本剤を適切に舌下投与できると判断された場合にのみ投与すること。また、保護者等に対しても本剤の適切な投与方法を指導すること。

④初回服用場所の確認【用法及び用量に関連する使用上の注意】

アナフィラキシーを起こす可能性があるため、「初回投与時は医師の監督のもと、投与後少なくとも30 分間は患者を安静な状態に保たせ、十分な観察を行うこと」とされているため、初回の場合は薬を受け取り後に病院に戻り服用するケースが多いため確認します。

特に初回服用を病院で服用するように指示されていない場合は疑義照会対象となります。

<用法及び用量に関連する使用上の注意>
初回投与時は医師の監督のもと、投与後少なくとも30 分間は患者を安静な状態に保たせ、十分な観察を行うこと。

また、ショック、アナフィラキシー等の発現時に救急処置のとれる準備をしておくこと。
〔本剤はダニのアレルゲンを含む製剤であるため、アナフィラキシー等の発現のおそれがある。〕

⑤喘息の有無【禁忌】

重症の気管支喘息が禁忌となるため確認します。

喘息に該当する場合は、喘息の併用薬、発作頻度などを確認し、併用薬が多い場合や発作頻度が頻回であり重症の疑いがある場合は、疑義照会して併用薬と発作頻度を伝える対応をします。

<禁忌>
重症の気管支喘息患者
〔本剤の投与により喘息発作を誘発するおそれがある。〕

⑥非選択的β遮断薬の併用の有無【重要な基本的注意】

併用注意でなく重要な基本的注意に記載されているので見落としがちな内容です。

ミティキュアによるアレルギー反応の処置のためにアドレナリンを投与したとき、アドレナリンの効果が通常の用量では十分発現しないことがあるため併用を確認します。

併用があり、かつ医師に伝えていない場合は連絡しお伝えするのがよいかと思います。

また、非選択的β遮断薬服用の患者はミティキュアが投与されたときに、ミティキュアによる反応(アレルギー反応)が強くあらわれることがあると記載されています。

<非選択的β遮断薬服用の患者への注意>
本剤が投与されたときに、本剤による反応(アレルギー反応)が強くあらわれることがある。

また、本剤によるアレルギー反応の処置のためにアドレナリンを投与したとき、アドレナリンの効果が通常の用量では十分発現しないことがある。

⑦三環系抗うつ薬及びモノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)の併用の有無【重要な基本的注意】

併用注意でなく重要な基本的注意に記載されているので見落としがちな内容です。

ミティキュアによるアレルギー反応の処置のためにアドレナリンを投与したとき、アドレナリンの効果が増強されることがあるため併用を確認します。

併用があり、かつ医師に伝えていない場合は連絡しお伝えするのがよいかと思います。

<三環系抗うつ薬及びモノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)服用の患者への注意>
本剤によるアレルギー反応の処置のためにアドレナリンを投与したとき、アドレナリンの効果が増強されることがある。

⑧全身性ステロイド薬の併用の有無【重要な基本的注意】

全身性ステロイド薬の長期投与により、免疫系が抑制され本剤の効果が得られない可能性があるため、併用を確認します。

製薬会社に確認したところ、「長期」の明確な基準はないようです。

ステロイドの長期連用に該当しそうな場合は、疑義照会しておいたほうがよいかと思います。

<全身性ステロイド薬投与の患者への注意>
全身性ステロイド薬の長期投与により、免疫系が抑制され本剤の効果が得られない可能性がある。

ミティキュアの服薬指導で伝えること

指導用冊子をつかって説明します。

①アナフィラキシーの説明【重要な基本的注意】指導用冊子P11〜12に記載あり

指導用冊子を使い、下記の3点を説明します。

・本剤服用後30 分又は投与開始初期はアナフィラキシー等の発現に特に注意すること。
・アナフィラキシーの症状
・アナフィラキシー発現時の対応

<重要な基本的注意>
本剤の投与により、アレルギー反応に基づく副作用、特にアナフィラキシー等の発現のおそれがあること、また発現した際の対処法について患者等に対して十分に説明し、理解を得た上で使用を開始すること。

アナフィラキシーで早期にみられる症状

指導用冊子に記載があるとおり、症状が現れた場合、直ちに医療機関を受診するよう指導します。

<皮膚の症状>
蕁麻疹、そう痒感、紅斑・皮膚の発赤などの全身的な皮膚症状(医薬品の投与数分から通常30分以内に、初発症状のことが多い)

<消化器の症状>
胃痛、吐き気、嘔吐、下痢など

<眼の症状>
視覚異常、視野の狭窄など

<呼吸器の症状>
声がかれる、鼻がつまる、くしゃみ、喉のそう痒感、胸のしめつけ感、咳、呼吸困難、呼吸器の音がゼーゼー・ヒューヒューする、チアノーゼなど

<循環器の症状>
頻脈、不整脈、血圧低下(ふらつきやめまい)など

<神経の症状>
不安、恐怖感、意識の混濁など

上記のような症状が現れた場合、直ちに医療機関を受診してください。

特に緊急性が高い症状

指導用冊子に記載があるとおり、症状が1つでもあてはまる場合、救急車を要請するなど迅速な対応が必要なことを説明します。

<循環器の症状>
頻脈、不整脈、血圧低下

<神経の症状>
意識の混濁など

<呼吸器の症状>
声がかれる、喉のそう痒感、胸のしめつけ感、咳、呼吸困難、呼吸器の音がゼーゼー・ヒューヒューする、チアノーゼ

<消化器の症状>
持続する胃痛、持続する吐き気

特に上記のような症状が1つでもあてはまる場合、救急車を要請するなど迅速な対応が必要です。ご家族も注意してください。

②服用前後2 時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避けることの説明【重要な基本的注意】指導用冊子P7に記載あり

本剤を服用する前後2 時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避けることを説明します。

これは循環動態の亢進により、本剤の吸収が促進され、副作用が発現するおそれがあるため設定されています。

③服用を休止する場合の説明【重要な基本的注意】指導用冊子P10に記載あり

下記の場合は服用を休む場合があるため、医師に連絡し服用の可否を確認するよう説明します。

・喘息発作時、気管支喘息の症状が激しいとき
・急性感染症罹患時や体調が悪い場合
・抜歯後等口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症等がある場合

<重要な基本的注意>
・喘息発作時、気管支喘息の症状が激しいときは、本剤服用の可否について医師に相談する。

・急性感染症罹患時や体調が悪い場合は、本剤服用の可否について医師に相談する。
〔体調が悪いときには本剤の服用により副作用の発現のおそれがある。気管支喘息患者においては、特に急性感染症罹患時には喘息症状を発現するおそれがある。〕

・抜歯後等口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症等がある場合は、口腔内の状態を十分観察し、本剤投与の可否を判断すること。
〔口腔内の状態によっては本剤の吸収に影響を与えるおそれがある。また、本剤が傷や炎症部位に刺激を与えるおそれがある。〕

④取り出し方の説明【適用上の注意】指導用冊子P6に記載

錠剤の取り出し方を説明します。特に重要なポイントである下記3点を説明します。

・乾いた指で取り扱うこと
・シートを剥がした後、爪を立てずに指の腹で押し出すこと
・欠けや割れが生じた場合は全量服用すること。

<適用上の注意>
・吸湿性を有するため、使用直前に乾いた指でブリスターシートから取り出すこと。

・ブリスターシートから取り出す際は、裏のシートを剥がした後、爪を立てずに指の腹で押し出すこと。
欠けや割れが生じた場合は全量服用すること。

・本剤は他の錠剤と比べて柔らかく、割れることがあるので、シートを剥がさずに押し出さないこと。

⑤舌下投与の説明【用法】指導用冊子P6に記載

舌の下に薬をおいて、1分間保持したあと、飲み込むことを説明します。

実際は、舌の下に置くとすぐ唾液で溶けてなくなりますが、唾液はすぐに飲み込まず1分間舌の下に保持することを説明します。

その後5分間はうがいや飲食禁止となります。

ミティキュアの服薬指導薬歴例

S)ダニアレルギー性鼻炎。初回服用は病院に戻って行うように指示あり。

O)
コールセンターにより登録医師確認。患者携帯カード持参あり、記載内容確認。
併用なし。喘息なし。

A)
指導用冊子を渡してアナフィラキシーの症状、発現時の対応説明。
服用前後2 時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避けることを説明。

喘息ひどい時や体調不良、口腔内傷などの場合は服用を休む場合かあるので医師に連絡し確認するよう説明。

取り出し方、舌下投与し1分間保持説明。その後5分間はうがいや飲食禁止指示。

P)状態確認

薬剤別服薬指導
スポンサーリンク
Suzukiをフォローする
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
関連記事
薬局薬剤師ブログ 服薬指導の覚書

コメント

タイトルとURLをコピーしました