2018年11月分 DSUのまとめ

2018年11月分 DSUのまとめ
今回は2018年11月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回は「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に対するスタチン系薬剤とフィブラート系薬剤の併用」が原則禁忌から外れたことが主な内容となります。

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①ラミクタール(ラモトリギン)【重大な副作用】

重大な副作用に「血球貪食症候群」が追加となりました。

血球貪食症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、発疹、神経症状、脾腫、リンパ節腫脹、血球減少、高フェリチン血症、高トリグリセリド血症、肝機能障害、血液凝固障害等の異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

血球貪食症候群の症状のうち、「発熱、発疹、リンパ節腫脹、だるさ」などは、ラミクタールの「重篤な皮膚障害」として指導せんに記載があるので、別途注意が必要な症状としては、神経症状(意識の低下、けいれん)、血液凝固障害(出血が止まりにくい)あたりかと思います。

②スタチン系薬剤【原則禁忌移行】

従来では腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者にスタチン系薬剤とフィブラート系薬剤を併用するのは原則禁忌、原則併用禁忌でしたが、「原則禁忌」から「重要な基本的注意」に注意喚起が移行となり、「原則併用禁忌」から「併用注意」に移行となりました。

原則禁忌から外れたものの、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合であり、やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止することとされています。

なお、スタチン系薬剤で一斉に改訂されているので見落としがちですが、リポバスのみ、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、フィブラート系薬剤を併用する場合には、リポバスの投与量は「10mg/日を超えないこと」と用量制限の記載があるため注意が必要です。

<重要な基本的注意>(リポバス以外)
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。

急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。

<重要な基本的注意>(リポバス)
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用することとし、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。

急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。

腎機能に関する臨床検査値に異常が認められない場合は?

腎機能に関する臨床検査値に異常が認められない場合のスタチン系薬剤とフィブラート系薬剤との併用は従来より併用注意に該当していました。

今回の改訂により、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる場合の併用が「原則併用禁忌」から「併用注意」に改訂となり、併用注意の「危険因子」の記載として「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者」が追記されました。

これにより、「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められない場合」は併用注意から外れるのか疑問が生じるかと思います。

このことに関して、クレストールの製薬会社に確認したところ、危険因子に「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者」と記載がされたものの、「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められない場合」も従来どおり併用注意に該当するとのことでした。

③フィブラート系薬剤【原則禁忌移行】

前述のスタチン系薬剤同様に、フィブラート系薬剤も同様の改訂となります。

なお、スタチン系薬剤側とは異なり、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者にやむを得ず併用する場合には、本剤を「少量から投与開始する」といった開始用量の記載がされています。

<重要な基本的注意>
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。

やむを得ず併用する場合には、本剤を少量から投与開始するとともに、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。

④ティアバランス、アイケアなど【適用上の注意】

「適用上の注意」の下記のソフトコンタクトレンズ装用時に関する注意事項が削除となりました。

今年の夏頃に先発医薬品のヒアレインにおいて、添加物のベンザルコニウム塩化物をクロルヘキシジングルコン酸塩に変更することで、ソフトコンタクトレンズ装用時に関する注意事項が削除されました。

ティアバランスやアイケアでは以前よりベンザルコニウム塩化物を含有していませんが、ヒアレイン同様の記載がされていたので、ヒアレインの改訂に併せて「適用上の注意」が改訂されました。

<適用上の注意削除>
ソフトコンタクトレンズを装用したまま使用しないよう指導すること。

⑤サムスカ(トルバプタン)【用法・用量に関連する使用上の注意】

「心不全における体液貯留」の効能において、より利尿作用の弱い半量(7.5mg)から投与を開始する患者として、従来の「血清ナトリウム濃度が125mEq/L 未満の患者」、「急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者」、に加えて「高齢者」、「血清ナトリウム濃度が正常域内で高値の患者」が追記となりました。

これは、心不全における体液貯留に係る使用成績調査の最終結果の解析において、高齢者(65 歳以上)または血清ナトリウム濃度が 140mEq/L 以上のような正常域内で高値の患者に 15mg から投与を開始した場合、低用量での投与開始に比べて高ナトリウム血症の発現率が高いことが確認されたことから改訂となりました。

なお、添付文書には明記されてませんが、「高齢者」とは「65 歳以上」、「血清ナトリウム濃度が正常域内で高値の患者」とは「140mEq/L 以上」が基準となります。

<用法・用量に関連する使用上の注意>
血清ナトリウム濃度が125mEq/L 未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者、高齢者、血清ナトリウム濃度が正常域内で高値の患者に投与する場合は、半量(7.5mg)から開始することが望ましい。

改訂の根拠

使用上の注意改訂の記載によると下記が改訂の根拠のデータとなります。

高齢者:高ナトリウム血症の発現率は、65 歳以上において、開始用量が 15mg 投与群 595 例中 41 例(6.9%)、開始用量が 7.5mg 以下の投与群 1889 例中 53 例(2.8%)と、7.5mg 以下の投与群に比べて 15mg 投与群で有意に高いという結果でした)。

一方、65 歳未満において、開始用量が 15mg 投与群 115例中 6 例(5.2%)、開始用量が 7.5mg 以下の投与群 270 例中 5 例(1.9%)と、両投与群間に差は認められませんでした。

血清ナトリウム濃度が 140mEq/L 以上のような正常域内で高値の患者:投与前血清ナトリウム濃度のカットオフ値が 140.9mEq/L 以上で、高ナトリウム血症発現のオッズ比は 5.01(95%信頼区間:2.66~9.41)でした。

⑥リピトール(アトルバスタチン)【併用注意】

併用注意に同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制を効能とする薬剤であるプレバイミス(レテルモビル)が追加となりました。

併用によりリピトールのAUCが3倍となるため疑義照会対象となります。

<併用注意>
レテルモビルとの併用により本剤の血漿中薬物濃度が上昇した(Cmax:2.17倍、AUC0-∞:3.29倍)との報告がある。

機序:レテルモビルによるCYP3Aの阻害、本剤の肝への取り込み阻害及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の阻害が考えられている。

DSU等の解説
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