新薬承認情報【2018年初春】

新薬承認情報【2018年初春】
今回は2018年初春の新薬承認品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。

今回はアレルギー性鼻炎を効能とするテープ剤である「アレサガテープ」や新しい作用機序を持つ慢性便秘症の薬剤である「グーフィス錠」などが目立つ薬剤という印象があります。

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①アレサガテープ(エメダスチンフマル酸塩)

「アレルギー性鼻炎」を効能とするレミカットカプセルと同成分の1日1回貼付の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療剤です。テープ剤であるため、嚥下能力が低下した患者や誤嚥リスクのある患者へも投与可能となります。

なお、内服剤と異なり、効能はアレルギー性鼻炎のみであり、蕁麻疹や皮膚炎などの効能はありません。

わざわざ皮膚疾患でテープ剤を選択することはないかと思いますが、もしアレルギー性鼻炎でなく、皮膚疾患に対して処方が出たら疑義照会対象となります。

また、眠気に関しても、最近の抗アレルギー薬のなかでは珍しく「自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」と記載があります。

名前の由来は特にありません。

②レキサルティ錠(ブレクスピプラゾール)

統合失調症を効能とする非定型抗精神病薬です。

エビリファイ(アリピプラゾール)の構造変換の過程で発見された化合物であり、開始用量 1 mg/日、維持用量 2 mg/日と用量設定がシンプルなことが特徴です。また、アカシジア、鎮静、体重増加等の有害事象の発現割合の軽減が期待されています。

なお、エビリファイと異なり「統合失調症」のみの効能であり、うつ病などの効能はありません。

また、従来の非定型薬と異なり、重要な基本的注意に「低血糖に関する注意」が含まれておらず、服薬指導はやりやすいかもしれません(従来の薬剤は高血糖と低血糖両方説明する必要があります)。

ラテン語で「王」を意味する「レックス」と「医療者・患者が期待する結果」を意味する「レクサルト」から命名されています。

減量基準に注意

前述したようにシンプルな用量設定か特徴ですが、残念なことに複雑な減量基準があるため注意が必要です。

・CYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)
・強いCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)
・CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者

上記1つだけに該当する場合は「1回1mgを1日1回」、CYP2D6阻害剤及び強いCYP3A4阻害剤のいずれも併用している場合やCYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者が強いCYP3A4阻害剤を併用している場合は「1回1mgを2日に1回」となります。

③ネイリンカプセル(ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物)

「爪白癬」を効能とする1日1回1カプセルを12週間投与する経口の爪白癬治療薬〔トリアゾール系抗真菌薬〕です。

爪(NAIL)に薬物が入る(IN)ことから NAILIN と命名されています。

④グーフィス錠(エロビキシバット水和物)

「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能とする1日1回食前経口投与の世界初の胆汁酸トランスポーター阻害剤です。

回腸における胆汁酸の再吸収に関わるトランスポーターを阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制し、大腸内の胆汁酸量を増加させます。大腸に流入した胆汁酸により、水分分泌と大腸運動促進の2つの作用で排便効果を促すとされ、自然な排便を促すことが期待されています。

Good (優れた)とFeces (便)の組み合わせから命名されています。

新規作用機序であるため個人的には、使用には慎重なったほうがよいかと思います。

⑤サチュロ錠(ベダキリンフマル酸塩)

「多剤耐性肺結核」を効能とする薬剤です。

「多剤耐性肺結核」を効能とする薬剤は2014年に発売された「デルティバ(デラマニド)」に次ぎ2剤目となります。

通常の薬局で調剤することはないかと思います。

⑥デュピクセント皮下注300mgシリンジ(デュピルマブ)

「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能とする2週間隔で皮下投与するヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体です。

薬局で調剤することはありませんが、アトピー性皮膚炎で注射で治療することがあることは認識しておいたほうがよいかと思います。

新薬DSU等の解説
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