タミフルの服薬指導

タミフル
インフルエンザの患者も増えてきたので今回はタミフルの服薬指導をまとめました。

タミフルは腎機能障害がある場合は減量する必要があるため、バルトレックスなどと同様に腎機能障害がないことを服薬指導時に確認する必要がある薬剤です。

なお、2018年8月の添付文書改訂により、従来、警告の項目に10歳以上の未成年の患者においては、原則として本剤の使用を差し控える旨などの記載がされていましたが、これが削除となっています。

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タミフルの概要

服薬指導難度

効能

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防

用法・用量

1.治療に用いる場合

2017年3月にタミフルドライシロップで新生児、乳児の場合の用量が追加となりました。

乳児(1歳未満)のほうが1歳以上の小児用量と比べ、Kgあたりの用量が大きくなるため注意が必要です。

<タミフルカプセル>
通常、成人及び体重37.5kg以上の小児には1回75mgを1日2回、5日間経口投与する。

<タミフルドライシロップ>
(1)成人:通常、1回75mgを1日2回、5日間、用時懸濁して経口投与する。
(2)小児:以下の 1 回用量を 1 日 2 回、5 日間、用時懸濁して経口投与する。
ただし、 1 回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする。
幼小児の場合: 2 mg/kg(ドライシロップ剤として66. 7mg/kg)
新生児、乳児の場合: 3 mg/kg(ドライシロップ剤として100mg/kg)

2.予防に用いる場合

意外と忘れがちですが、予防に使用する場合は下記の患者が対象となるため、それ以外の場合は適応外となる可能性があります。

いずれにせよ自費ですが、適応外の場合には副作用救済制度の対象とならない可能性が高いため、患者の同意を得ていない場合は万一のとき医療従事者が訴えられる可能性も考えられます。

予防に用いる場合には、原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象とする。

(1)高齢者(65歳以上)
(2)慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者
(3)代謝性疾患患者(糖尿病等)
(4)腎機能障害患者

<タミフルカプセル>
(1)成人:通常、1回75mgを1日1回、7~10日間経口投与する。
(2)体重37.5kg以上の小児:通常、1回75mgを1日1回、10日間経口投与する。

<タミフルドライシロップ>
(1)成人:通常、1回75mgを1日1回、7~10日間、用時懸濁して経口投与する。
(2)幼小児:通常、1回2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)を1日1回、10日間、用時懸濁して経口投与する。ただし、1回最高用量は75mgとする。

小児予防投与の用量の注意点

2017年3月改訂の新生児、乳児の用量追加はあくまで治療に用いる場合であり、予防投与の場合には乳児でも従来通りの用量となるため注意が必要です。

もし乳児(新生児)で予防投与の場合に「1回3mg/kg」で処方がきた場合は疑義照会対象となります。

名前の由来

Tamiは原薬名 Oseltamivir より 、fluはInfluenza よりそれぞれ複合して命名されています。

指導せん

タミフルには指導せんが存在します。下記の2種類ありますが、どちらも有用なので用意しておくとよいかと思います。なお、インターネット上で製薬会社のホームページから印刷することもできます。

1.タミフルドライシロップを服用される患者さんへ

ドライシロップ製剤が処方された場合に使用します。味が飲みにくい場合に混ぜてよいものと悪いものが紹介されています。

また、異常行動に関しても「一人にならないようご配慮ください」といった記載がされていますが、異常行動の具体的な症状は記載されていないため注意が必要です。

2.タミフルを服用される患者さん・ご家族・周囲の方々へ

異常行動に関して具体的な記載があります。そのため主に未成年にタミフルカプセルが処方された際に使用する場合が多いかと思います。

異常行動の具体例として、「突然立ち上がって部屋から出ようとする、人に襲われる感覚を覚、外に飛び出す」など記載があります。

この指導せんは英語版や中国語、韓国語版も存在しているため、異常行動をこれらの言語で説明したい場合には有用です。

インターネットで印刷できるので覚えておくと必要な際に役に立つかと思います。

2018.1月改訂部分

この指導せんは2018.1月に改訂されました。

これは前年11月に、厚生労働省から抗インフルエンザウイルス薬の使用上の注意に関する注意喚起の徹底について通知がされたことを反映する改訂となります。

通知では、従来の「少なくとも2日間は、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することを原則とする旨の説明」に加えて、「玄関及び全ての窓の施錠を確実に行うこと」や「 ベランダに面していない部屋で療養を行わせること」などの具体的な指導が必要となり、この内容が指導せんに追記となりました。

なお、異常行動以外の部分も改訂されており、従来の「痙攣や意識がなくなる」などの精神・神経症状の副作用に該当する部分の記載が消えて、「消化器症状、皮膚症状」が新たに追記されています。

この理由を製薬会社に確認したところ、従来の精神・神経症状の記載は異常行動と症状がある程度重なることやインフルエンザ脳症の症状の記載でもあり、不安感を与えてしまうことが理由となっているようでした。

なお、目立ちませんが「何か気になることがありましたら、医師・薬剤師にご相談ください」といった文言も追記となっています。

抗インフルエンザウイルス薬の使用上の注意に関する注意喚起の徹底について
11月27日に、厚生労働省から抗インフルエンザウイルス薬の使用上の注意に関する注意喚起の徹底について通知がされました。 これにより、従来の「少なくとも2日間は、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することを原則とする旨の説明」に...

タミフルの服薬指導で確認すること

①腎機能障害の有無

腎機能により減量が必要なため、腎臓が悪いと言われたことがないかを聴取します。

該当する場合は血清クレアチニンがわかるようであれば体重、身長を聞き取り、計算したクレアチニンクリアランスから添付文の減量目安に応じて減量します。

なお、クレアチニンクリアランスが10未満や透析をしている場合は、添付文書には減量目安がありませんが、CKDガイドでは1回75mg を単回投与(以後投与しない)と大幅に減量となるため注意が必要です。

また、腎臓が悪いにも関わらず血清クレアチニンがわからない場合は疑義照会でイナビルなどに変更するのがよいかと思います。なお、この場合はあらかじめデバイスが吸えそうかや乳製品アレルギーがないかなどは確認した上で疑義照会をしたほうがよいでしょう。

②適応外かどうかの確認【予防で使う場合】

前述したように予防で使用する場合にインフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者であり高齢者(65歳以上)、慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者、代謝性疾患患者(糖尿病等)、腎機能障害患者のいずれかに該当することを確認します。

これらに該当しない場合は適応外使用となるため、疑義照会対象となります。

もしくは、疑義照会しない場合は万一、副作用で入院した時に補助金がでる副作用救済制度の対象外となることを下記のように説明したほうがよいかもしれません。

説明例

「インフルエンザの予防でタミフルを使用する場合は自費となってしまうのと、ほぼ大丈夫だと思いますが、万一副作用で入院などしてしまった時の給付金も対象外となってしまいますのでこの点はご了承下さい」

③年齢の確認(1歳以上かどうか)【用量】(2017.3月改訂による追記)

小児の場合、乳児(1歳未満)かどうかで用量(mg/kg)が異なるため年齢を確認します。

1歳未満のほうがKgあたりの用量が大きくなるため注意が必要です。

例えば体重が10Kgの場合、1歳以上であれば1日製剤量が1.3gとなりますが、1歳未満であれば2.0gとなります。

用量の設定根拠

この1歳未満の用量は、欧米で承認されている1歳未満の用法用量がこの3mg/kgであることや、薬物動態で民族差が認められていないことなどから設定されています。

タミフルの服薬指導で伝えること

①異常行動及び転落等の防止対策の説明【重要な基本的注意】【警告】

従来は異常行動は小児・未成年者についての説明事項となっていましたが、2018.8月の改訂により「小児・未成年者」というくくりが削除されたため、すべての年齢に対して説明が必要となりました。

前述した指導せんを用いて説明するのがよいかと思います。

抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無又は種類にかかわらず,インフルエンザ罹患時には,異常行動を発現した例が報告されている。

異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として,
①異常行動の発現のおそれがあること,
②自宅において療養を行う場合,少なくとも発熱から 2 日間,保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じること,
について患者・家族に対し説明を行うこと。

なお,転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については,就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと,発熱から 2 日間以内に発現することが多いこと,が知られている。

②味の説明(ドライシロップの場合)

タミフルドライシロップの場合は混ぜるものにより、飲みにくくなるため説明します。

前述した指導せんを利用するとよいかと思います。

③初回は直ぐに服用することの説明

初回は直ぐに服用したほうがよいことを説明します。

ただし、一般的に消化器症状の副作用は食後のほうが出にくい可能性があるため、個人的には「胃腸の副作用は食後のほうが出にくいのですが、初回は早く飲むことを優先させたほうがよいかと思います」といったような説明をしています。

初回服用から2回目服用までの間隔

製薬会社によると初回服用から2回目服用までの間隔は小児の臨床試験では少なくとも3時間以上あけて実施されました。また、17時を過ぎた場合は追加服用は行わなかったとのことです。

ただし、この間隔(3時間おけばよい)が公的に推奨されているというわけではないため、上述の点を踏まえたうえで服薬指導をする各々の薬剤師が許容できると考える間隔を伝えることになるかと思います。

私は6時間くらいはおくように説明する場合が多いです。

④飲み切ることの説明

下記の例ように特に副作用などがないようであれば、熱がおさまっても飲みきることを説明します。

「熱がおさまってもウイルスが残っている場合があるので飲みきったほうがよい薬です。万一、蕁麻疹や呼吸が苦しくなるなど何か合わない場合はすぐ受診してください」

⑤出血(血便、吐血、不正子宮出血等)の説明【重要な基本的注意】2019.3月改訂に伴う追記

2019.3月の添付文書改訂で「重要な基本的注意」に出血に関する内容が追記となり、服薬指導の際に出血の説明が必要となりました。

<重要な基本的注意>
出血があらわれることがあるので、患者及びその家族に対して、血便、吐血、不正子宮出血等の出血症状があらわれた場合には医師に連絡するよう説明すること。

出血に関する指導せん

先発医薬品であるタミフルでは2019年10月末に指導せんが改訂され、出血に関する内容が追記(異常行動の指導せんに追記)になっているため、これを用いて説明するのがよいでしょう。

ジェネリックのオセルタミビル「サワイ」では2019年11月中旬時点ではまだ改訂されておらず、ちょっと呆れてしまいますが現時点では作成予定自体ないとのことでしたので、説明しにくい内容ですが当面は指導せんがない状態での説明となります。
現在はオセルタミビル「サワイ」でも指導せんに出血に関する内容が追記されています。

実際の説明としては、「初回服薬指導の薬剤や抗生剤でルーチンで行うアナフィラキシー症状の説明」に追加するように話すのが伝えやすいかと思います。

服薬指導例

「万一、合わない場合、蕁麻疹がでるとか苦しくなるとか便や咳に血が混じる、不正出血が起こる場合はすぐ連絡し受診頂いてますが、一般的によく使われる薬ですので」

タミフルの服薬指導薬歴例

S)インフルエンザ治療
O)腎障害なし
A)指導せんをわたして異常行動説明し、目を離さないよう指示。玄関や窓の施錠など具体的な対策説明。味に関して指導せん用いて説明。
飲み切り説明、万一、発疹、呼吸困難、血便、吐血、不正子宮出血など出る際は連絡しすぐ受診指示。
P)状態確認

薬剤別服薬指導
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