今回は2015年8月分のDSUから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。今回はリレンザ、イナビルの慎重投与及び重要な基本的注意に乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に関する記載が追加となった点に注意が必要です。
【2015年8月】DSU掲載品目
①アタラックス、アタラックスP(ヒドロキシジン塩酸塩、ヒドロキシジンパモ酸塩)【重大な副作用追加】
QT延長、心室頻拍(torsadesdepointesを含む)が重大な副作用として追加となりました。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことと記載されましたが、症状に関しては記載されていません。そのため、患者に対して指導する際は心室性頻拍,QT延長が副作用として知られているアベロックス等を参考とするのがよいかと思います。
アベロックスの添付文書では心室性頻拍,QT延長の症状として「不整脈」という記載がされています。また、アベロックスの患者向医薬品ガイドでは心室性頻拍として「脈が速くなる、動悸(どうき)、息切れ、気を失う、意識がなくなる、胸部異和感、胸の痛み」、 QT延長として「 気を失う、動悸(どうき)」という記載がされています。
そのため、患者に対しては「動悸や脈が早くなるなどの脈の異常、胸の痛みや違和感、意識が遠のく」など認められる場合は直ぐに受診するよう説明するのがよいかと思います。
②メマリー(メマンチン塩酸塩)【重大な副作用追加】
横紋筋融解症が重大な副作用として追加となりました。「筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること」と記載されました。
添付文書では横紋筋融解症の自覚症状として、尿の色に関しては記載がありませんが、メマリーの患者向け医薬品ガイドには「赤褐色尿」という記載があります。尿の色は重要な症状の一つであるため、筋肉痛や脱力感とともに併せて説明するのがよいでしょう。
③リレンザ、イナビル(ザナミビル水和物、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)【慎重投与・重要な基本的注意追加】
慎重投与の項目に「乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者」が追加となりました。また、重要な基本的注意に「本剤は、夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際にアナフィラキシーがあらわれたとの報告があるので、投与に際しては十分に注意すること。」と記載されました。
禁忌ではなく慎重投与となりますが、重要な基本的注意にも記載がされたので、何かしらの対応を考えたいところです。乳製品のアレルギーの有無を聴取し、有りの場合には「乳製品アレルギーを持つ方の一部にまれに反応してしまうことがあるので、万一吸入後に呼吸困難、蕁麻疹など出る際はすぐに受診して下さい」などと説明するとよいかもしれません。
もしくは、乳製品アレルギーの有無に関わらず、「吸入薬でもまれに合わない方がいるので、万一吸入後に呼吸困難、蕁麻疹など出る際はすぐに受診して下さい」等と説明するのでもよいかと思います。
なお、現時点では記載がありませんが、フルタイドやアドエアのドライパウダー製剤も同様の添加物を含むため、個人的には今後リレンザやイナビルなどと同様に改訂されるかなと考えています。
④ルミガン点眼液(ビマトプロスト)【その他の注意追加】
その他の注意に「投与前後で精密に眼瞼の状態を比較した場合、「くぼんだ眼」が高頻度で認められるとの報告がある。」と追記されました。なお、従来より承認時の臨床試験での総症例323例中に「くぼんだ眼」の副作用は7例(2.17%)認められています。
「精密に」という表現も「高頻度」という表現も抽象的な記載ではっきりしませんが、より「精密な測定」をすると承認時臨床試験で見られた頻度よりも多い頻度でくぼんだ眼が認められる可能性があるということだと思います。
⑤イメンド(アプレピタント)【禁忌追加】
禁忌にホスアプレピタントメグルミンに対し過敏症の既往歴のある患者が追加となりました。そのため、初回服用の際には、患者に副作用歴を確認してホスアプレピタント(プロイメンド点滴静注用)での副作用歴が無いかを確認することが必要となりました。
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