2022年9月分 DSUのまとめ

2022年9月分 DSUのまとめ

業務多忙により、製薬会社に確認する時間が捻出できなかったため提供が遅れていました。2022年9月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はそれほど注意が必要な品目は多くありませんでしたが、クレストールとフェブリクの相互作用は認識しておいたほうがよいかと思います。

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①アイモビーグ皮下注ペン(エレヌマブ)【禁忌】

自己注射が可能となりました。そのため、今後は調剤薬局に処方が来る可能性があるため認識しておいたほうがよいかと思います。

なお、CGRP関連薬剤としてはエムガルティ皮下注がすでに自己注射が可能となっています。

②クレストール(ロスバスタチン)【併用注意】

併用注意にフェブリクが追加となりました。併用によりAUCが約2倍に上昇した報告があると記載されています。製薬会社に確認したところ、この相互作用の報告でのフェブリクの用量は120mg(これより低用量でのデータはない)とのことでした。

併用自体は頻繁に遭遇する組み合わせであるため、どう対応するか迷うところですが、クレストールは腎臓などが悪くなければ用量上限が20mgで、実際に使用される用量は2.5mg~5mgが多いことや、クレストールもフェブリクも増量する場合はどちらも少量から増やしていく薬であるため、個人的には疑義照会はせずに、服薬指導の際に副作用の注意を促す対応でよいかと考えてます。

ただし、同系統の類薬からの切り替え変更などで、初回から高用量での併用になってしまう場合などは疑義照会はしたほうがよいかもしれません。

<併用注意>
臨床症状・措置方法
本剤とフェブキソスタットを併用したとき、本剤のAUCが約1.9倍、Cmaxが約2.1倍上昇したとの報告がある。

機序・危険因子
フェブキソスタットが BCRP の機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある。

③オプスミット(マシテンタン)【併用注意】

併用注意に「中程度の CYP3A4阻害作用かつ中程度の CYP2C9 阻害作用を有する薬剤 フルコナゾール」が追記されました。

理論上はオプスミットのAUCが約4倍程度になる可能性があるとされますが、他のアゾール系薬剤も併用注意に該当する(オプスミットは「強いCYP3A4阻害剤」も併用注意)ため、同系統では代替薬として推奨できるものはありません。

注意喚起の意味合いで疑義照会をするかは迷うところですが、疑義照会をする場合は「オプスミットのAUCが約4倍程度になる可能性があるが、同系統の薬では代替薬がないので、患者に対しては何か合わない症状が出たら受診するように話す対応でよいか」を疑義照会で確認するといいかもしれません。

<併用注意>
中程度のCYP3A4阻害作用かつ中程度のCYP2C9阻害作用を有する薬剤
フルコナゾール

・臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。

・機序・危険因子
CYP3A4 阻害作用及びCYP2C9 阻害作用により、本剤の曝露量を増加させる可能性がある。

生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション
フルコナゾール

生理学的薬物動態モデルによる解析の結果、マシテンタン10mg単剤投与時に比べてフルコナゾール400mg/日の併用時では、マシテンタンのAUC及びCmaxがそれぞれ約3.8倍及び約1.3倍になることが推定された。活性代謝物のAUC及びCmaxはそれぞれ約1.0倍及び約0.6倍になることが推定された。

④タケプロン【併用注意】

併用注意にチロシンキナーゼ阻害剤各種が追加(イレッサ、ボシュリフは以前から記載あり)になりました。

そもそもPPIやH2受容体拮抗剤などの胃酸分泌抑制作用による相互作用は相手薬剤側には記載があるものの、PPIなど胃酸分泌抑制薬側には記載がないという著しい反映遅れが目立つ領域でしたが、今回の改訂でタケプロンについては若干ながら改善されました。

ただし、比較的新しい薬剤のルマケラスやレットヴィモ以外にも、古い薬剤だとハーボニー、ポリフルすらも記載がないので、タケプロンに限らず「胃酸分泌抑制作用による相互作用はPPIなど胃酸分泌抑制薬側の添付文書では抜けている可能性が高く信用しない。相手薬剤側の添付文書でも確認する必要がある」というスタンスは継続する必要があります。

<併用注意>
・イレッサ(ゲフィチニブ)
・ボシュリフ(ボスチニブ)
・タシグナ(ニロチニブ)
・タルセバ(エルロチニブ)
・カルケンス(アカラブルチニブ)
・ジカディア(セリチニブ)
・スプリセフ(ダサチニブ)
・ビジンプロ(ダコミチニブ)
・タイケルブ(ラパチニブ)
・ダブレクタ(カプマチニブ)

<臨床症状・措置方法>
左記薬剤の作用を減弱する可能性がある。ボスチニブ水和物との併用は可能な限り避けること。

<機序・危険因子>
本剤の胃酸分泌抑制作用により左記薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。

④酸化マグネシウム【併用注意】

併用注意にHIF-PH阻害剤であるエベレンゾ、バフセオが追記となりました。

相手薬剤側では従来から記載されています。

DSU等の解説
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