今回は2022年夏~秋の効能追加情報をまとめました。
今回は春に引き続き、不妊治療において使用されている医療用医薬品が数多く効能追加となっています。また、トビエースの効能追加は把握しておいたほうがよいかと思います。
①リムパーザ錠(オラパリブ)
「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の効能が追加となりました。
②スプレキュア点鼻液(ブセレリン)
「生殖補助医療における早発排卵の防止」の効能が追加となりました。
⓷エプクルーサ配合錠(ソホスブビル/ベルパタスビル)
従来は「未治療又は前治療歴のないC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変」は効能外でしたが、今回で効能追加となりました。
④トビエース錠(フェソテロジン)
小児用の効能として「神経因性膀胱における排尿管理」が追加となりました。対象は体重25kg超の小児となります。
用法及び用量〈神経因性膀胱における排尿管理〉
通常、体重25kg超の小児にはフェソテロジンフマル酸塩4mgを開始用量として1日1回経口投与する。投与開始から1週間後以降に、患者の状態に応じて1日1回8mgまで増量できる。
〈プレスリリース抜粋〉
今回承認された小児の神経因性膀胱は、患者さん本人の意思に反して不随意に膀胱が収縮することにより、尿失禁や頻尿などの症状に加え、未治療の場合は膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染を起こす可能性があります。
神経因性膀胱の治療の第1選択肢は、患者さんまたは介護者によるカテーテルを用いた定期的な導尿と病態に応じた抗コリン剤の併用で、日本では小児の治療薬はなく、アンメット・ニーズの高い疾患です。なお、米国においても同様の小児の適応症で2021年6月に承認されています。
⑤デュファストン錠5mg(ジドロゲステロン)
「生殖補助医療における黄体補充」の効能が追加となりました。
⑥メトグルコ錠(メトホルミン)
下記の効能が追加となりました。メトグルコも生殖補助医療での効能が追加になったことは薬剤師として認識しておく必用があります。
・多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激
ただし、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る。
⑦フェマーラ錠(レトロゾール)
下記の効能が追加となりました。
・多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発
・原因不明不妊における排卵誘発
⑧クロミッド錠50m(クロミフェン)
「生殖補助医療における調節卵巣刺激」の効能が追加となりました。
⑨カバサール錠(カベルゴリン)
「生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群の発症抑制」の効能が追加となりました。
⑩リンヴォック錠(ウパダシチニブ)
「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の効能が追加となりました
導入療法では用量が45mgを1日1回であるため、45mg規格も新たに追加となります。
<用法・用量>〈潰瘍性大腸炎〉
導入療法では、通常、成人にはウパダシチニブとして 45mg を1 日 1 回 8 週間経口投与する。なお、効果不十分な場合はさらに 8 週間投与することができる。
維持療法では、通常、成人にはウパダシチニブとして 15mg を1 日 1 回経口投与する。なお、患者の状態に応じて 30mg を 1 日1 回投与することができる。
なお、用法は上のようになっていますが、強い CYP3A4 阻害剤と併用する場合は下記のように用量が制限されることは薬剤師として認識しておく必要があります。
逆に言うとすでにこの制限量を超えてリンヴォック錠を使用している場合は実質的に強いCYP3A4阻害剤が使えなくなるので特に処方頻度の高いクラリスロマシンなどは注意する必要があります。
<用法及び用量に関連する注意>〈潰瘍性大腸炎〉
強い CYP3A4阻害剤と併用する場合は、導入療法では本剤 30mgを 1 日 1 回投与すること。
維持療法では本剤 30mgは投与しないこと。
⑪ティーエスワン(テガフール・ギメラシル・オテラシル)
「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の効能が追加となりました。
下記の注意点があるので、一度添付文書に目を通しておくことをお勧めします。特に見落としが懸念されるのが「クレアチニンクリアランスが50mL/min以上80mL/min未満の場合」の開始用量制限です。
・内分泌療法剤との併用において使用される
・従来の効能とは投与期間・休薬期間が異なる
・クレアチニンクリアランスが50mL/min以上80mL/min未満の場合には、開始量が通常よりも少量に制限される(用法及び用量に関連する注意)
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