今回は2016年8〜9月分の効能・効果が追加となった薬剤のうち、薬局薬剤師に関係がある薬剤をまとめました。
今回の主な効能・効果追加品目はイナビルとスピリーバレスピマットの2点です。
①イナビル(ラニナミビル)
「10歳未満の小児に対する予防の効能」が追加となり、また「成人及び10歳以上の小児での予防における40mg(2キット)単回投与」の用法が追加となりました。
予防:10歳未満の小児
従来では10歳未満の小児では「予防」の効能がありませんでしたが、今回の改訂で効能追加となりました。
20mg(1キット)を単回吸入であるため、治療に使う場合と同じ使い方となります。
10歳未満の場合、ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。
予防:成人及び10歳以上の小児
従来より予防の効能はありましたが「20mg(1キット)を1日1回、2日間」の用法でした。今回の改訂で治療に使うのと同じ40mg(2キット)を単回吸入でも可能となりました。
ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。また、20mgを1日1回、2日間吸入投与することもできる。
薬剤師としての対応
今回の改訂でイナビルを予防に使う場合でも治療と同じ用法用量での処方が可能となりました。
そのため従来では処方せん上の「用法」から予防に使う場合は判別できましたが、今後は治療に使うか予防に使うかが判断できない場合が増えることが予想されます。
もちろん予防の場合、自費なので自費でくれば判別できますが、予防にもかかわらず保険で処方されてしまっている場合に見落としてしまうケースが想定されます。
服薬指導の際に予防で使うと聴取した場合で保険で処方がきている場合には疑義照会対象となります。
②スピリーバレスピマット(チオトロピウム)
従来は気管支喘息の効能は「重症持続型の患者に限る」とされていましたが、今回の改訂で特に重症度に関わらず使用することが可能となりました。
また、従来のスピリーバ2. 5μg レスピマットに加えて新たに気管支喘息にしか効能をもたないスピリーバ 1.25μg レスピマットの規格が追加販売となりました。
今回の改訂で気管支喘息の用法用量が下記の2段階となったため注意が必要です。いずれの規格でも「1回2吸入」となります。(COPDの効能では従来どおり2. 5μg レスピマット1回2吸入となります)
気管支喘息の用法用量
スピリーバ 1.25μg レスピマット1回2吸入(チオトロピウムとして 2.5μg)を1日1回吸入投与する。
なお、症状・重症度に応じて、スピリーバ 2. 5μg レスピマット1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与する。
薬剤師としての対応
わざわざスピリーバ 1.25μgを使わなくてもスピリーバ 2. 5μg レスピマットを「1回1吸入」でもよいのでは、と考えられますが、製薬会社に確認したところ1回2吸入で投与する製剤であり1回1吸入では1日の投与量を担保できないとのことでした。
詳しくは社内機密なので明かせないが「スピリーバ1.25μg レスピマット1回2吸入」と「スピリーバ 2. 5μg レスピマット1吸入」とではイコールでない可能性がある、とのことでした。
なんとも腑に落ちない感がありますが、「1回1吸入」の使い方はしないようにとのことなので、「1回1吸入」で処方がきた場合は疑義照会対象となります。
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