エフィエントの服薬指導

エフィエントの服薬指導
今回は2014年5月に発売された抗血小板薬であるエフィエント(プラスグレル)の服薬指導をまとめました。プラビックスと異なりCYP2C19 の遺伝子多型の有無に関わらず、安定した血小板凝集抑制作用を示すとされています。

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エフィエントの概要

服薬指導難度

効能

経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患

用法・用量

投与開始日20mgを1日1回経口投与し、その後、維持用量として1日1回3.75mgを経口投与する。

名前の由来

エフィエント(Efient)は= Efficacy(効果)+ Consistent(確実) 、つまり確実な効果が期待できる、ということから命名されています。

指導せん

エフィエントは指導せんが存在するため、取り寄せておいて服薬指導時に使用するとよいかと思います。

指導せんには冊子タイプと1枚ずつの二種類ありますが、冊子タイプのほうが頭蓋内出血の症状が具体的に書いてある点や手術前などの服用中止に関する記載があり優れています。

エフィエントの服薬指導で確認すること

①疾患の確認

エフィエントの効能はプラビックスとは異なり脳や末梢動脈疾患には適用がありません。心筋梗塞や狭心症など心臓のみの効能となります。

そのため、疾患が心臓であるかを確認し、心臓に疾患がなく脳梗塞で使うといったことを聴取した場合などは疑義照会対象となります。

なお、バルーンやステント留置などの経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される場合が適応となるため、バイパス術は適応となりません。

②アスピリンとの併用の有無【用法・用量に関連する使用上の注意】

「アスピリンと併用すること」と記載されています。そのため、併用薬としてバイアスピリンやバファリンA81などの併用があることを確認します。

これは日本循環器学会によるガイドラインで、PCI施行患者へのチエノピリジン系の使用はアスピリンとの併用投与として推奨されており、エフィエントの臨床試験でもアスピリンを併用していることから設定されています。

③投与開始日と投与日数【重要な基本的注意】

「血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)等の重大な副作用が発現することがあるので、投与開始後2ヵ月間は2週間に1回程度の血液検査等の実施を考慮すること」と記載されています。

入院中から使われていることも多いのでエフィエントの開始日を確認し、投与開始後 2ヵ月間に処方日数が2週間を越える場合は疑義照会を考慮します。

ただし、添付文書上の記載は「実施を考慮すること」のためそれほど強制力はないかと思います。疑義照会する場合はこの点も併せて伝えたほうがよいでしょう。

④体重の確認【慎重投与】

「体重50kg以下の患者では、年齢、腎機能等の他の出血リスク因子及び血栓性イベントの発現リスクを評価した上で、必要に応じて維持用量1日1回2.5mgへの減量も考慮すること」と記載されています。

これは臨床試験での大出血、小出血及び臨床的に重要な出血の発現率が特に 50kg以下の患者で高い傾向が認められたため設定されています。

このため、50kg以下であれば2.5mgの用量で処方されることがある点は認識しておくとよいと思います。

⑤出血の有無【禁忌】

出血している患者(血友病、頭蓋内出血、消化管出血、尿路出血、喀血、硝子体出血等)は禁忌となるため、出血の有無を確認します。これはエフィエントにより出血を助長するおそれがあるため設定されています。

エフィエントの服薬指導で伝えること

①食後服用の説明【用法及び用量に関連する使用上の注意】

「空腹時の投与は避けることが望ましい」と記載されています。そのため、なるべく食後を守ることを説明します。

これは、臨床試験で原則、食後に投与されていたことと、活性代謝物の薬物動態が空腹時投与では食後投与と比較してAUCには差がないがCmaxが約3.3倍に増加したことが理由となっています。

②手術前などの服用中止

「血小板凝集抑制が問題となるような手術の場合には、14日以上前に投与を中止することが望ましい」と記載されています。

他の抗血栓薬と同様に手術以外にも抜歯や内視鏡などの場合にも中止する場合があるため、抜歯や内視鏡検査の予定がある場合は事前にエフィエントの処方医に指示を仰ぐよう説明します。

なお、当たり前ですが、医師の指示ない状態で勝手に薬剤師だけの判断で中止するかどうかの指示はできない内容となります。

③他院受診の際の注意【重要な基本的注意】

「他院を受診する場合は、エフィエントを服用している旨を医師に必ず伝えるよう患者に指導すること」と記載されています。

④出血の注意【重要な基本的注意】

「患者には通常よりも出血しやすくなることを説明し、異常な出血が認められた場合には医師に連絡するよう指導すること」と記載されています。

具体的な出血の症状は記載がありません、そのため、指導せんに沿って説明するのがよいかと思います。ただし、指導せんには「心嚢内出血」の症状の記載がありません。

指導せんに記載のあるアザ・鼻血や歯茎からの出血、血尿・血便(黒色便も)、頭蓋内出血(激しい頭痛、手足のマヒ、ろれつが回らない等)の症状を説明し、認められた場合はすぐに医師に連絡するよう説明します。
 

⑤血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の説明

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の症状のうち、指導せんに記載されている倦怠感、食欲不振、紫斑(アザ)を説明します。

エフィエントの薬歴例

S)心筋梗塞で入院中からつかっています。
O)出血なし、体重60Kg、アスピリンの併用有り確認、初回投与日は30日前

A)なるべく食後守ることを説明。手術や抜歯などの場合は事前に主治医に相談するよう指導。他院受診の際は伝えること説明。
万一、アザ、鼻血、歯茎出血、だるさ、食欲不振、血便(黒色便)、血尿、激しい頭痛、手足のマヒ、ろれつが回らない等出る場合はすぐに医師に連絡し受診指示。

P)副作用確認

薬剤別服薬指導
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