
2023年4月分のDSUのまとめと効能追加情報のなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
アメナリーフがPIT処方可能となったことはすべての薬剤師が認識しておいたほうがよいかと思います。
①抗結核薬【重要な基本的注意】
重要な基本的注意に「薬剤逆説反応」についての注意が記載されました。
抗結核薬による薬剤逆説反応は、結核治療を行う医療従事者には以前から知られていますが、近年の結核の低蔓延化に伴い、結核指定医療機関以外においても結核治療を行う状況が予想されることなどから追記となったようです。
なお、抗結核薬による薬剤逆説反応の機序は、結核菌の菌体に対するアレルギーによるとの考えが支持されており、結核治療の経過中に抗結核薬の種類によらず発現する可能性があるとされています。
<重要な基本的注意>
本剤を含む抗結核薬による治療で、薬剤逆説反応を認めることがある。
治療開始後に、既存の結核の悪化又は結核症状の新規発現を認めた場合は、薬剤感受性試験等に基づき投与継続の可否を判断すること。
①アセトアミノフェン【効能追加】
従来では鎮痛の効能においては効能対象となる疾患が明記されてましたが、今回の効能変更により「各種疾患及び症状における鎮痛」という効能に記載が変更となり、個別の疾患の記載はなくなりました。
②アメナリーフ【効能追加】
「再発性の単純疱疹」の効能が追加されました。数年前に効能追加となったファムビル同様にPatient Initiated Therapy(PIT)として使うことができます。PITとは、あらかじめ処方された薬剤を初期症状に基づき患者判断で服用開始する治療方法です。
再発の初期症状発現から6時間以内に1回6錠を単回投与となります。
特殊な使用法であるため、すべての薬剤師が認識しておいたほうがよいかと思います。
〈再発性の単純疱疹〉
通常、成人にはアメナメビルとして1200mgを食後に単回経口投与する。
処方されるケースとしては、現在は症状がなくて、次回再発したとき用として処方される場合がほとんどかと思いますが、現在症状がある場合でも再発6時間以内であれば処方は可能となります。
なお、「今回治療」+「次回再発用処方」を1回の処方箋でだせるかどうかは製薬会社に確認したところ地域の保険審査によるなど不明瞭な部分はあるようですが、皮膚科が処方する場合などはケースとしてあるようでした。
また、この効能追加を機に6錠包装品の発売やPIT専用携帯ケースの提供も始まったようですが、PIT処方に必ずこれらを使う必要があるというわけではなく、従来包装から6錠を切り離しての使用でも問題ないようでした。
PIT用の指導せんもあるので該当する処方の場合は服薬指導の際に使用したほうがよいでしょう。製薬会社のホームページから印刷可能です。
なお、ファムビルとは異なり、アメナリーフでは通常の単純疱疹の効能はありません。
用法・用量に関連する注意も追記された
なお、今回は効能追加とは別途で「用法・用量に関連する注意」に、食後投与を指導することと空腹時に服用する必要がある場合は、軽食等を摂取した上で服用させることが追記されました。
<用法・用量に関連する注意>
空腹時に投与するとアメナメビルの吸収が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、食後に服用するよう患者に指導すること。
食前又は食間のタイミングで服用する必要がある場合は、軽食等を摂取した上で服用させること。
③シルガード9水性懸濁筋注シリンジ【効能追加】
「9歳以上15歳未満の女性に対する2回接種」の効能が追加となりました。
従来の3回接種に加え、9歳以上15歳未満の女性に対しては合計2回の接種が可能となることで接種回数を1回減らすことが可能となります。
④4種混合ワクチン【効能追加】
百日せきによる乳児の重症化予防の観点から、4種混合ワクチン(製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ)の予防接種の接種対象年齢が「生後3か月から」⇒「生後2か月から」に拡大されました。
また、これに伴い不活化ポリオワクチンや3種混合ワクチンの接種対象年齢についても、同様に拡大されました。
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