2022年6月分 DSUのまとめ

2022年6月分 DSUのまとめ

コロナ患者急増により、製薬会社に確認する時間が捻出できなかったため、提供が遅れています。2022年6月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

ソマトロピン製剤の禁忌緩和やデキサメタゾン製剤及びベタメタゾン製剤の重要な基本的注意追記、エムガルディ皮下注の自己注射可能となる改訂など重要なものが多いので認識しておいたほうがよいかと思います。

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①ソマトロピン製剤(ノルディトロピンフレックスプロなど)

従来禁忌であった「糖尿病」が慎重投与(特定の背景を有する患者に関する注意)に変更となり緩和されました。また、これに伴い「重要な基本的注意」に下記が追記されました。

<重要な基本的注意>
成長ホルモンは、インスリン感受性を低下させるため、本剤の投与により血糖値、HbA1c の上昇があらわれることがある。

定期的に血糖値、HbA1c 等を測定し、異常が認められた場合は、投与量の減量又は一時的な投与中止等、適切な処置を行うこと。特にターナー症候群においては、耐糖能の低下を合併することがあり、経過を注意深く観察すること。

②デキサメタゾン経口製剤及びベタメタゾン経口製剤

褐色細胞腫の合併を認識していなかった状態でデキサメタゾン製剤(経口剤及び注射剤)やベタメタゾン製剤(注射剤)を投与した際に褐色細胞腫クリーゼを発現したとの報告があることから、重要な基本的注意に褐色細胞腫クリーゼにの内容が追記されました。

<重要な基本的注意> (デキサメタゾン経口製剤)
褐色細胞腫の合併を認識していなかった状態でデキサメタゾン製剤(経口剤及び注射剤)を投与した際に褐色細胞腫クリーゼを発現したとの報告がある。

本剤投与後に著明な血圧上昇、頭痛、動悸等が認められた場合は、褐色細胞腫クリーゼの発現を考慮した上で適切な処置を行うこと。

<重要な基本的注意> (ベタメタゾン経口製剤)
褐色細胞腫の合併を認識していなかった状態でベタメタゾン製剤(注射剤)を投与した際に褐色細胞腫クリーゼを発現したとの報告がある。

本剤投与後に著明な血圧上昇、頭痛、動悸等が認められた場合は、褐色細胞腫クリーゼの発現を考慮した上で適切な処置を行うこと。

なお、これは「下垂体抑制試験」の効能での症例が複数確認されていることなどから、「下垂体抑制試験」の効能の場合は、「抑制試験の実施に先立ち褐色細胞腫又はパラガングリオーマの合併の有無を確認すること」といった内容も追記となっています。

服薬指導

上記が重要な基本的注意に記載されたため、今後は服薬指導の際に異常な血圧上昇、頭痛、動悸などの症状が出る場合はすぐに受診するように説明する必要があるかと思います。

実際の説明としては、初回服薬指導の薬剤や抗生剤でルーチンで行うアナフィラキシー症状の説明に追加するように話すのが伝えやすいかと思います。

服薬指導例

「万一、合わない場合、蕁麻疹がでるとか苦しくなるとか異常に血圧があがる、頭痛、動悸などがでる場合はすぐ連絡し受診頂いてますが、一般的によく使われる薬ですので」

③エムガルディ皮下注オートインジェクター・シリンジ(ガルカネズマブ)

自己注射が可能となりました。そのため、今後は調剤薬局に処方が来る可能性があるため認識しておいたほうがよいかと思います。

④サムスカ(トルバプタン)

禁忌項目である「本剤の成分又は類似化合物(モザバプタン塩酸塩等)に対し過敏症の既往歴のある患者」の類似化合物の例示がモザバプタンが販売中止となったので、トルバプタンリン酸エステルナトリウム(サムタス点滴静注用)に変更となりました。

これ自体はそれほど注目すべき改訂ではないですが、問題は「等」と書いてある部分です。実際はベンゾアゼピン環を有する化合物に対し過敏症の既往歴がある患者も禁忌となります。

<禁忌>
本剤の成分又は類似化合物(トルバプタンリン酸エステルナトリウム)に対し過敏症の既往歴のある患者

改訂の知らせの解説部分やインタビューフォームには下記の記載があります。

製薬会社にも確認しましたがベンゾアゼピン環を有する化合物とは「ベンゾアゼピン」や「ベンゾアゼピン」ではないため、現在は下記に記載がある通りベナゼプリルとミルタザピンくらいしかないようです。

<改訂の知らせの解説部分やインタビューフォーム>
本剤の成分又は類似化合物(ベンゾアゼピン環を有する化合物)に対し過敏症の既往のある患者には本剤の投与を避けてください。

ベンゾアゼピン環を有する化合物には、トルバプタンリン酸エステルナトリウム以外に、ベナゼプリル塩酸塩、ミルタザピン、2022 年 4 月 1 日に薬価基準収載削除となったモザバプタン塩酸塩等があります。

薬剤師の対応

この薬剤に限りませんが、類似化合物での過敏性がある薬剤の対応としては服薬指導時に交差過敏性をおこす薬剤に対して副作用歴がないかを確認する必要があります。

なお、実際に患者から聴取する際は、副作用歴全般を再度聴取する対応がよいかと思います。

⑤メトホルミン

「重要な基本的注意」と「併用注意」に新薬であるツイミーグとの併用に関する注意が追記となりました。

なお、ツイミーグ側の添付文書では当初より同様の内容が記載されています。

<重要な基本的注意>
本剤とイメグリミン塩酸塩は作用機序の一部が共通している可能性があること、また、イメグリミン塩酸塩の国内臨床試験において、ビグアナイド系薬剤と併用した場合、他の糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたとの報告があることから、併用薬剤の選択の際には留意すること。

⑥クロトリマゾールクリーム剤(エンペシドクリームなど)
 ビホナゾールクリーム・外用液(マイコスポールなど)

適用上の注意にラテックスゴム製品との接触をさけさせることを記載されました。特に外陰部に使用した場合、添加剤が避妊用ラテックスゴム製品の品質を劣化するおそれがあるとされています。

この手の内容は他製剤のクリームや軟膏でも存在してますが、外用液での記載は初めてかと思います。

なお、クロトリマゾール製剤は先発品であるエンペシド外用液では今回の改訂の追記がありませんが、ジェネリック製剤であるクロトリマゾール外用液「日医工」では追記されています。

<適用上の注意>
基剤として使用されている油脂性成分は,コンドーム,ペッサリー等の避妊用ラテックスゴム製品の品質を劣化・破損する可能性があるため,これらとの接触を避けさせること

DSU等の解説
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