新薬承認情報【2022年夏】+効能追加情報

新薬承認情報【2022年夏】+効能追加情報

2022年夏の新薬承認品目と効能追加品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。

エパデールやジクアスの新製剤が発売されることやイグザレルトの規格(効能)追加、ジクトルテープの効能追加などはすべての薬剤師が把握しておいたほうがよいかと思います。

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①エパデールEMカプセル 2g(イコサペント酸エチル)

  「高脂血症」を効能とするエパデールの1日1回投与製剤です。

エパデールに製剤設計上の工夫を行い、消化管吸収を高めることを目的として開発された 自己乳化型新規高純度 EPA 製剤です。添加物の処方を変更することにより、イコサペント酸エチル(EPA-E)が消化管内において胆汁酸に依存せずに乳化分散し、吸収されると考えられています。

従来の「エパデール」は 1 日 2 回または 3 回投与の薬剤ですが、本剤は 1 日 1 回投与の薬剤であり、服薬アドヒアランスの向上が期待されます。

エパデールS同様にスティック包装となっています。

②ジクアスLX点眼液3%(ジクアホソルナトリウム)  

「ドライアイ」を効能とする従来の「ジクアス点眼液 3%」(1 回 1 滴、1 日 6 回点眼)を製剤改良により点眼回数を 1 日 3 回に低減した製剤です。

粘稠化剤として PVP(ポリビニルピロリドン、別名ポビドン)を新たに添加することで、点眼回数を 1 日 3 回に低減されました。  

「LX」は、“Lasting extend”という造語に由来し、効果をさらに長く引き伸ばす“持続性”を意味しています。

なお、従来のジクアスにはない添付文書上の記載として「患眼を開瞼して結膜囊内に点眼し、1~5分間閉瞼して涙囊部を圧迫させた後、開瞼すること」が追記されていますが、これは近年例示された点眼薬共通の記載事項であり、今後は通常のジクアスも同様の記載となってくる流れとなります。

過誤に注意

従来のジクアスとの過誤が想定されるため注意が必要ですが「%」が同じであるため%の部分では過誤が防げないため注意が必要です。

商品名の場合は「LX」の部分で判別可能ですが、一般名でどのように区別されるかは発売後に自店のレセコンを確認しておいたほうがよいでしょう。

なお、ジェネリックが発売されるまでは一般名マスタには一般名が収載されないため、扱うレセコンにより一般名の表記が異なってくる可能性が高いことも留意が必要です。

 ③ジェセリ錠(ピミテスピブ)  

「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」を効能とする経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害剤です。

HSP90はがん細胞および腫瘍組織に多く発現しており、これを阻害することによりがんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示します。

1日1回空腹時で、5日間連続経口投与したのち2日間休薬し、これを繰り返すという特徴的な用法となっています。また、重度の下痢と眼障害に特に注意が必要とされています。

<用法及び用量>
通常、成人にはピミテスピブとして1日1回160mgを空腹時に投与する。
5日間連続経口投与したのち2日間休薬し、これを繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。

<重要な基本的注意>
・重度の下痢があらわれることがあるので、定期的に症状を確認するなど、患者の状態を十分に観察すること。

・眼障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与期間中は定期的に眼の異常の有無を確認し、必要に応じて検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

④イグザレルト錠2.5mg(リバーロキサバン)【効能追加】

「下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における 血栓・塞栓形成の抑制」のみを効能とするイグザレルト錠の新規格です。アスピリン(81~100mg/日)と併用することとされています。

この2.5mg 規格には従来の錠剤規格の効能はないですし、従来規格には2.5mg 規格の末梢動脈疾患(PAD)の効能はありません。

用法も従来錠剤規格では基本1日1回投与に対して、2.5mg 規格では1日2回投与と異なっています。

また、服用を忘れた場合の対応も 従来錠剤規格では一部の効能の投与開始時期を除けば「直ちに服用。ただし、次の服用まで12時間以上空ける」なのに対して、2.5mg 規格では「忘れた分は服用せず、次の服用時刻に再開する」と異なっています。

新規格の存在を認識しておかないと、従来規格との過誤につながるので、すべての薬剤師が認識しておく必要があるかと思います。

⑤オルミエント錠(バリシチニブ)【効能追加】

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤のオルミエントに「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」の効能が追加となりました。

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤はもともとリウマチを効能として発売されてきましたが、オルミエントに限らず、近年、いろんな効能が追加になってきていますが、円形脱毛症の効能は初めてです。

すでに円形脱毛症用の指導せんも作られており、製薬会社のホームページからダウンロードできるので処方が来た場合は利用するのがよいかと思います。

⑥マヴィレット配合錠(グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル) 【効能追加】

従来は12歳未満の効能はありませんでしたが、「3歳以上12歳未満 」の小児の効能が追加されました。

⑦ジクトルテープ75mg(ジクロフェナクナトリウム)【効能追加】 

「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の効能が追加となりました。

従来の効能では「各種がんにおける鎮痛」であったため、使用ががん患者に限定されていましたが、今後はがん患者以外にも使用されることになります。

テープ剤ではありますが、ロコアテープ同様に禁忌項目や相互作用は内服製剤同様であるため、すべての薬剤師が認識しておいたほうがよい製剤です。

また、ロコアテープなどのNSAIDsテープ剤は患部に貼りますが、ジクトルテープは全身性の経皮吸収型製剤であり経皮投与で直接全身の血液中に移行する製剤であるので「痛いところに貼るわけではない」 点に注意が必要です。

なお、はり薬としては珍しく湿度に弱いので 「1袋7枚包装」では開封後は30日が期限となります。1袋1枚包装も販売しています。

また、mgは異なりますが、一般名処方で「ジクロフェナクナトリウムテープ75mg」の処方が来た場合に、誤ってボルタレンテープ15mg/30mgで調剤してしてしまうという過誤も想定されるので注意が必要です。

⑧カナグル錠(カナグリフロジン)【効能追加】

「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く」の効能が追加となりました。

新薬DSU等の解説
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