2021年12月分 DSUのまとめ

2021年12月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はそれほど大きな改訂はありませんでしたので、教育よりの内容を多めに記載しています。

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① アジレクト錠( トファシチニブ)【併用禁忌】

併用禁忌に下記薬剤が追記となりました。相手薬剤側の添付文書の併用禁忌にあわせる改訂となります。

●コールタイジン点鼻液(テトラヒドロゾリン・プレドニゾロン)
●プリビナ液・点眼液(ナファゾリン)
●トラマゾリン点鼻液

●コンサータ、リタリン(メチルフェニデート)

通常、添付文書で併用禁忌に設定される薬剤は、添付文書の整合性を合わせるために片側で併用禁忌に設定されていた場合は、早ければ数カ月、遅くても数年で相手薬側にも追記されるのが一般的です。

しかし、MAO阻害薬とトラマゾリンなどの局所血管収縮剤の併用禁忌はMAO阻害薬側では長年に渡り記載がなく、ぼやっとした印象でした。(もしかすると現在販売されているMAO阻害薬は選択的阻害薬であり、サフラジンのような非選択的MAO阻害薬ではないことなども関係しているのかもしれません)

なお、この「片側にしか併用禁忌が記載されていない期間」は片側だけの添付文書をみていると併用禁忌を見落としてしまうため注意が必要です。

MAO阻害薬側の現状の記載

前述してますが、MAO阻害薬側では今まではアジレクト、エフピー、エクフィナいずれも併用禁忌欄に局所血管収縮剤点鼻・点眼は記載がありませんでした。

アジレクトは今回の改訂で追記されたものの、エフピー、エクフィナではまだ記載されていないため、引き続き片側だけの添付文書をみていると見落としてしまうため注意が必要です。(エフピーではメチルフェニデート製剤の併用禁忌の記載もまだありません)

なお、今回アジレクトで改訂されたことから、おそらくエフピー、エクフィナでも今後追記の改訂がされることが予想されます。

局所血管収縮剤側の現状の記載

局所血管収縮剤側の添付文書では従来、併用禁忌には「モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 」と記載されているものの具体的な薬剤名の記載はありませんでした。現在でもプリビナとコールタイジンはこの記載のままです。

トラマゾリン点鼻液も従来はこのような記載でしたが、少し前に「改訂の知らせを出さない改訂」で 「 モノアミン酸化酵素阻害剤 セレギリン塩酸塩(エフピー) ラサギリンメシル酸塩 (アジレクト) サフィナミドメシル酸塩 (エクフィナ)」といったように具体的な薬剤名が追記されました。

改訂の知らせを出さない改訂について

通常、添付文書改訂は使用実績がある薬局には郵送で告知しますし、製薬会社のホームページでも製剤を調べれば郵送される内容と同様の「改訂の知らせ」が公開されています。

しかし、近年、添付文書が新様式(慎重投与や原則禁忌の廃止)に変更となるタイミングで、割と重要な改訂も告知なしにひっそりと行われているケースがみられます。

改訂というよりは記載様式の変更という名目だからかと思いますが、このケースでは製薬会社のホームページでも記載改訂の旨を公開していないので、改訂の痕跡すら残らず非常に把握しづらいものとなっています。

代表的な例ではプレドニンの消化性潰瘍、精神病 緑内障、高血圧などの原則禁忌が「特定の背景を有する患者」に移行した内容ですが、これもたしか告知なしに改訂された気がします。

外用薬と内服薬の相互作用というのは見逃しやすい

MAO阻害薬とトラマゾリンなどの局所血管収縮剤のように内服薬と外用薬の併用禁忌は見逃しやすいため意識して覚えておく必要があります。

「ミニリンメルト25/50とステロイド吸入剤、注腸剤、坐剤」や「ロコアテープとスオード、バレオン、バクシダール」などが有名かと思います。

服薬指導の際の注意

一般に併用薬確認の際に患者は飲み薬だけしか言わないことが多いので、 「外用薬と併用禁忌の内服薬」を投薬する際の併用薬の聴取確認の際に、通常の併用薬確認の聴取方法だと併用禁忌を見落としてしまう可能性が高いです。

通常の聴取方法である「ほかにつかっている薬はないですか?」と聞いた後に「点鼻・点眼(MAO阻害薬の場合)、 吸入や坐剤など(ミニリンメルトの場合)、はり薬( スオードなど) でも一緒に使えない薬があるので、飲み薬以外で使っている薬もないですか?」といった飲み薬以外を強調した聴取方法を加える必要があります。

この場合は薬歴にも単に「併用薬なし」といった記載では外用の併用をきちんと確認しているかが不明瞭であるため、「外用含め併用なし」とか「点鼻・点眼併用なしなどといったような記載をする必要があるかと思います。

DSU等の解説
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