新薬承認情報【2021年夏】+効能追加情報

新薬承認情報【2021年夏】+効能追加情報

2021年夏の新薬承認品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。

慢性心不全を効能とする可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤であるベリキューボ錠と「2型糖尿病」を効能とする新しいクラスの経口血糖降下剤であるツイミーグ錠は薬剤師として認識しておいたほうがよいかと思います。

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①ベリキューボ錠(ベルイシグアト)

「慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る) 」を効能とする可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤です。

可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤は肺高血圧症の効能のアデムパス(リオシグアト)が存在していますが、慢性心不全の適応で承認されたものは初めてです。なお、ベリキューボとアデムパスは併用禁忌となっています。

慢性心不全の標準的な治療を受けている患者が対象であるため、 慢性心不全の第一選択薬ではなく、 ACE阻害薬やβ遮断薬等の治療をすでにしている患者が対象となるかと思います。

ベリキューボ錠の特徴

1日1回投与であり、食事の影響があり「食後」のほうがAUCが増加し、AUCの個体間のばらつきも少なくなるため「食後」の用法となります。

また、血管を拡張し血圧を低下させる作用を有しており、 収縮期の血圧値により用量調節基準がありこれを参考に投与量が増減されます。 

重大な副作用は低血圧(7.4%)です。

成分名の「 ベルイシグアト 」と「Improved Quality of Life」から命名されています。

②ツイミーグ錠(イメグリミン)

「2型糖尿病」を効能とするテトラヒドロトリアジン系に分類された新しいクラスの経口血糖降下剤です。

本剤は、2 つの血糖降下作用をもつとされ、「グルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用」と「肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する膵外作用(糖新生抑制・糖取込み能改善)」の両方により、血糖降下作用を示すと考えられています。

規格は500mgのみなのは良いのですが、用法は「1回1000mgを1日2 回朝、夕」となっているため、「朝2錠 夕2錠」 と糖尿病の薬としては服用錠数が多く飲みにくい印象があります。適宜増減の記載もないので、添付文書の用法用量と異なる処方の場合は疑義照会対象としたほうが良いかと思います。

本剤とビグアナイド系薬剤は作用機序の一部が共通している可能性があること、また、両剤を併用した場合、他の糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたことから、併用薬剤の選択の際には留意することとされています。(ビグアナイド系薬剤は併用禁忌ではなく併用注意のため、併用することは可能です)   

Dual を意味する”twin”と一般名の”イメグリミン  “から 命名されています。 承認されるのは世界初であるため、個人的には使用には慎重になったほうが良い気がします。

乳酸アシドーシスについて

乳酸アシドーシスについては添付文書の「その他の注意」の「臨床使用に基づく情報」の部分に下記の記載があります。

この記載だけでは、患者に対して乳酸アシドーシスの説明をすべきかの判断がつかないため、指導せんなどが作成されてから判断するかたちになるかと思います。

<臨床使用に基づく情報>
ビグアナイド系薬剤において、まれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすとの報告があり、リスク因子として、腎機能障害、肝機能障害、低酸素状態を伴いやすい状態、脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む)、過度のアルコール摂取、感染症、高齢者等が知られている。

本剤において、ラットを用いた非臨床試験では血中乳酸濃度への明らかな影響は認められておらず、臨床試験では乳酸アシドーシスの発現は認められていないが、本剤とビグアナイド系薬剤は作用機序の一部が共通している可能性がある。

③アジョビ皮下注シリンジ(フレマネズマブ)

「片頭痛発作の発症抑制」を効能とする抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)モノクローナル抗体の皮下注射剤で、 4週間に1回225mg、又は12週間に1回675mgの2つの投与方法を有する薬剤です。

同系統である2021年4月に発売されたエムガルティ皮下注では1 ヵ月間隔の投与でしたが、アジョビ皮下注では12週間に1回の投与方法もあることが特徴かと思います。

発売時点では患者の自己注射が認可されていないので、病院内で使用される薬剤であるため薬局で調剤することはないかと思います。ただし、エムガルティ同様に発売から期間が経った後に自己注射が可能となる改訂を行う見通しのようです。

④アイモビーグ皮下注ペン(エレヌマブ)

「片頭痛発作の発症抑制」を効能とするヒト抗CGRP受容体モノクローナル抗体製剤です。

CGRPの「受容体」を選択的に阻害するという、「受容体に対して」という作用機序がエムガルティやアジョビと異なります。

用法は4週間に1回とエムガルティ(1 ヵ月間隔)とほぼ同じです。

発売時点では患者の自己注射が認可されていないので、病院内で使用される薬剤であるため薬局で調剤することはないかと思います。ただし、エムガルティ同様に発売から期間が経った後に自己注射が可能となる改訂を行う見通しのようです。

⑤リンヴォック錠(ウパダシチニブ)【効能追加】

 「既存治療で効果不十分な関節症性乾癬」の効能が追加となりました。  

DSU等の解説
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