2021年7月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
今回は調剤する機会のある薬局は限られますが、治療抵抗性統合失調症の薬剤であるクロザリル錠で大きな改訂がありました。扱っている薬局は内容を把握しておく必要があります(そもそも改訂の通知を受けていると思いますが)。
なお、扱っていない薬局でも、クロザリルの調剤には薬局登録・研修などの複数の要件が必要ということは把握しておいたほうがよいかもしれません。
①クロザリル錠(クロザピン)
治療抵抗性統合失調症に唯一適応のあるクロザリルで、より多くの治療抵抗性統合失調症患者が治療を受けることができるようにと、血液検査間隔や中止後の再投与の基準の緩和が要望されて下記の改訂がされました。
なお、クロザリルの調剤には薬局登録・研修などの複数の要件が、必要なので基本的に患者がふらっと処方せんを持ってくることはないはずです。
1.白血球数又は好中球数減少による中止後の再投与が可能となった
「CPMS(クロザリル患者モニタリングサービス)で定められた血液検査の中止基準により、本剤の投与を中止したことのある場合」は従来禁忌でしたが、今回の改訂で再投与検討基準に該当する場合には再投与を検討することが可能となりました 。
なお、無顆粒球症が発現するおそれがあるため、 CPMSで定められた血液内科医等との連携のもとで投与を行うこととされています。
2.本剤投与開始52週以降の血液検査間隔の緩和
血液検査結果で条件を満たした場合の投与開始26週以降の血液検査間隔は従来「2週に1回」でしたが、このうち投与開始52週以降の血液検査間隔が「4週に1回」と緩和されました。
3.禁忌の項目から「無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者」が削除
禁忌の項目から「無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者」が削除されました。
なお、該当患者に投与する場合は 無顆粒球症が発現するおそれがあるため、 CPMSで定められた血液内科医等との連携のもとで投与を行うこととされています。
②トルツ皮下注 オートインジェクター/シリンジ【重大な副作用】
重大な副作用に「間質性肺炎」が追加となりました。
<間質性肺炎(頻度不明)>
間質性肺炎が報告されているので、咳嗽、呼吸困 難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部 X 線、胸部 CT、血清マーカー等の検査を実施すること。
間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、 副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
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