2021年6月分 DSUのまとめ

2021年6月分 DSUのまとめ

2021年6月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はそれほど大きな改訂はありませんでした。ベネクレクスタ錠については相互作用の注意点をまとめてみたため、処方がなくとも把握しておいたほうが良いかと思います。

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①ツムラ小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒 【重大な副作用】

重大な副作用に「間質性肺炎」が追加となりました。

<間質性肺炎>
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X 線、胸部CT等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

②ベネクレクスタ錠(ベネトクラクス)

従来の効能である「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病 」に加えて「急性骨髄性白血病 」の効能が追加となりました。

「ベネクレクスタ錠」は処方頻度は少ないかと思いますが、強いCYP3A阻害剤(クラリスロマイシンなど)が「漸増期は併用禁忌」で、「維持期は併用注意」となるという相互作用がわかりにくい薬剤であり、処方がなくとも認識しておいたほうがいいということを以前も記事に取り上げたことがあります。

今回追加された効能では「強いCYP3A阻害剤」が併用禁忌でなく、併用注意であるため添付文書の記載がより一層わかりにくくなりました(勘違いしやすいということ)。

「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病」の効能では

用量漸増期⇒強いCYP3A阻害剤 が併用禁忌
維持投与期⇒強いCYP3A阻害剤 が併用注意

ただし、併用注意の場合でも併用する場合はベネクレクスタ錠の用量を100mg以下に減量(維持期は400mgが通常量のため1/4以下に相当)がベネクレクスタ錠側の添付文書の減量基準として記載されているため、実質的には併用ができないと考えたほうがよいかと思います。

なお、併用注意の減量基準は、併用注意の項目でなく「用法及び用量に関連する注意」に記載がされているので併用注意の項目だけみていると、基準基準を見落とすため注意が必要です。

急性骨髄性白血病の効能では

用量漸増期でも維持投与期でも⇒強いCYP3A阻害剤は併用注意

ただし、併用注意でも併用する場合はベネクレクスタ錠の用量を用量漸増期では「本剤を1日目は10mg、2日目は20mg、3日目以降は50mgに減量すること」、維持期では「50㎎に減量すること」が減量基準として記載されているため、実質的には併用ができないと考えたほうがよいでしょう。

留意点まとめ

●強いCYP3A阻害剤が併用禁忌の場合は当然だが、併用注意の場合でも、減量基準があるため実質的には併用が厳しい。自薬局で風邪などでクラリスロマイシンが処方された際に、他病院併用薬でベネクレクスタ服用している際に、併用注意だからと軽視して見落とす過誤に注意が必要。

併用注意の減量基準は、併用注意の項目でなく「用法及び用量に関連する注意」に記載がされているので併用注意の項目だけみていて、基準基準を見落とすという過誤が想定される。

●実際は併用禁忌(慢性リンパ性白血病の用量漸増期)の場合でも、併用注意に記載があるからと、併用禁忌(用量漸増期)を見落とす過誤が想定される。

なお、中程度のCYP3A阻害剤はいずれの効能でも併用注意だが、ベネクレクスタ錠を「半量以下に減量すること」とされているため、やはり実質的には併用が厳しい。

③タペンタ錠(タペンタドール)【適用上の注意】

適用上の注意にゴーストピルについて追記されました。そのため、今後は ゴーストピルについて説明しておく必要があります。

<適用上の注意>
本剤の残渣が消化されず糞便中に排泄される可 能性があるが、有効成分は吸収されており臨床的 影響はない。

また、併用禁忌に MAO 阻害剤 のエクフィナ( サフィナミド)とアルコール依存症 飲酒量低減薬のセリンクロ(ナルメフェン)が追記となりました。なお、相手薬剤側ではすでに併用禁忌となっています。  

2020年3月分 のDSUのまとめでも取り上げましたが、セリンクロは2019年3月に発売された「アルコール依存症患者における飲酒量の低減」が効能の薬剤であり、コデイン、ジヒドロコデイン以外の麻薬は併用禁忌なので薬剤師として、認識しておく必要があります。

なお、これらを投与中だけでなく、投与中止後1週間以内の患者も禁忌であるため注意が必要です。

DSU等の解説
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