新薬承認情報【2019年夏】+効能追加情報

新薬承認情報【2019年夏】+効能追加情報

2019年夏の新薬承認品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。今回は調剤する機会が多そうな新薬が多く重要な薬剤が多い印象です。

特に重要なのは、調剤する機会は多くないかもしれませんが、ステロイドの吸入や坐薬までも併用禁忌となってしまう「ミニリンメルトOD錠25μg/50μg」に関してはすべての薬剤師が認識する必要があります。

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①イナビル吸入懸濁用160mgセット(ラニナミビル)

「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療」を効能とするイナビルの新剤形となる製剤です。

従来のイナビル吸入粉末剤は、5 歳未満の小児、肺機能が低下している患者や吸入手技の理解が不足している患者等では使用が困難でしたが、「イナビル吸入懸濁用」はネブライザーのため自然呼吸での吸入が可能となります。

また、添加剤として乳糖を含有しないため、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に対しての注意が必要ありません。 

「160mg」と従来の粉末製剤よりもmg数が大きい理由は、ネブライザーのため吸入効率が悪いためであり、肺に届く粒子量が粉末製剤と同じくらいになるように設定されているとのことでした。

調剤薬局で調剤することは原則ない

イナビル吸入懸濁用160mgセットはバイアルの中にイナビル粉末が充填されており、ネブライザーや吸入マスクがセットになった製剤です。

別途、バイアル内のイナビルを混和するための「生理食塩液や注射当筒、注射針」やネブライザーに接続するための「吸入用機器(コンプレッサー)、送気ホース」が必要であり、原則として医療機関内で使用される製剤となります。

そのため、調剤薬局で調剤する機会はほとんどないかと思います(薬局で調剤して病院に戻って使用するケースはあるかもしれませんが、稀だと思います)。

もし、処方がきた場合は、従来のイナビル粉末製剤の間違えの可能性が高いため疑義照会対象となります。

②ロナセンテープ(ブロナンセリン)

「統合失調症」を効能とするロナセン錠の新剤形製剤です。ロナセン錠は1日2回の用法ですが、ロナセンテープは1日1回です。

ロナセンテープでは錠剤同様の注意事項に加えて、新たに「光線過敏症」の注意が必要です。

<重要な基本的注意>
光線過敏症が発現するおそれがあるので、衣服で覆う等、貼付部位への直射日光を避けること。また、本剤を剥がした後1~2週間は、貼付していた部位への直射日光を避けること。

また、テープ剤の場合は患者も医療従事者も相互作用の意識が薄くなりがちですが、ロナセン錠同様の併用禁忌薬が存在するため注意が必要です。

そもそも、患者が貼り薬を併用として申し出ない場合もあるため、アゾール系抗真菌剤などロナセンと併用禁忌の薬剤を投薬する際の併用薬確認は、薬剤師側から「貼り薬も含めて」使っている薬はないかを確認する必要があります。

③ミニリンメルトOD錠25μg/50μg(デスモプレシン)

「男性における夜間多尿による夜間頻尿」を効能とする新用量製剤です。成人用製剤です。

必ず認識しておかなければならないことは併用禁忌が従来製剤(60μg,120μg、240μg)と異なり、併用禁忌にチアジド・ループ系利尿薬、ステロイド経口・吸入剤、注腸剤、坐剤などが該当することです。ステロイドの吸入や坐薬なども併用禁忌となる極めて制限が強い薬剤です。

なお、「併用禁忌薬が従来製剤と異なる理由」及び「従来製剤より用量が少ない理由」を製薬会社に確認したところ、本剤は高齢者に使用するケースが多く、低ナトリウム血症防止が理由となっているとのことでした。

相互作用の確認の際の注意点

ミニリンメルトを他薬局でもらっていると聴取した際に、実際は50μgを使っているのに、従来製剤のほうのミニリンメルトの添付文書で相互作用確認をして併用禁忌を見落としてしまう過誤が懸念されます。

④アジマイシン点眼液(アジスロマイシン)

「結膜炎、眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎」を効能とするアジスロマイシンの点眼剤です。

抗菌薬としては珍しく、1本2.5mLで冷所保存(開栓後は室温保存)となっています。

また、最初の2日は 1日2回 ですが 、その後1日1回という用法であり、さらには点眼としては珍しく使用日数も決まっています。 効能により対象年齢と使用期間が異なります。

<適応菌種>
アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、コリネバクテリウム属、インフルエンザ菌、アクネ菌

〈結膜炎〉
通常、成人及び7歳以上の小児には、1回1滴、1日2回2日間、その後、1日1回5日間点眼する。

〈眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎〉
通常、成人には、1回1滴、1日2回2日間、その後、1日1回12日間点眼する。

⑤ビベスピエアロスフィア(グリコピロニウム/ホルモテロール)

「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」を効能とするpMDI製剤として初のLAMA、LABA配合剤です。

成分としての従来製剤での組み合わせとしては「シーブリ(LAMA)+オーキシス(LABA)」 に相当します。

用法は「1回2吸入」を「1日2回吸入投与」なので、類薬の中でも1日の吸入回数が多くコンプライアンス的には劣ってる印象があります。また、pMDI製剤であるので、高齢者が適切に同調できるのかが懸念されるところかと思います。

Bevespi:優れた2剤配合剤で呼吸を届けるという狙いから、「Best」 (一番の) 、「Bi」 (2剤配合剤) 、「spi」(respire:呼吸するの意) を合わせて「Bevespi」と名付けられたようです。

Aerosphere:薬剤結晶と比べて比重の軽い担体がキャリアとなって薬剤を送達させる技術を用いたことから、空気のように軽い「Aero」と担体の「sphere」をとってAerosphereと名付けられています。

⑥ビレーズトリエアロスフィア(ブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール)

「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」を効能とするpMDI製剤として初のICS、LAMA、LABA配合剤です。

成分としては前述のビベスピ(LAMA+LABA)にパルミコート(ICS)を加えた製剤です。用法は同様です。

Breztri:「Breeze (そよ風) 」と「Breathe (呼吸)」の「Brez」と3薬効成分による治療であることから「triple」の「tri」をとって「Breztri」と名付けられています。

⑦ゾルトファイ配合注フレックスタッチ(インスリン デグルデク/リラグルチド)

「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」を効能とする国内初の持効型インスリン製剤(トレシーバ)とGLP-1受容体作動薬(ビクトーザ)の配合剤です。

「トレシーバ」と「ビクトーザ」が固定比率(トレシーバ1単位/ビクトーザ0.036mg)配合された注射剤(1日1回皮下注)です。

インスリンデグルデク1~50単位/リラグルチド0.036~1.8mgの範囲で用量調節が可能となっています。

⑧レパーサ皮下注(エボロクマブ)【効能追加】

従来は使用条件が「心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合」に限定されましたが、今回の改訂で「心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない場合」にも使用可能となりました。

なお、HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない場合とは下記が記載されています。

・ 副作用の既往等によりHMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が困難な患者
・ HMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が禁忌とされる患者

また、従来の効能ではHMG-CoA還元酵素阻害剤の併用が必要ですが、今回の効能ではHMG-CoA還元酵素阻害剤との併用は必要ありません。

⑨インチュニブ錠(グアンファシン)【効能追加】

従来では「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」の効能でしたが「成人期」にも効能追加となりました。

用法・用量は「18 歳未満」では従来の体重により細かく分かれた用量となり、「18歳以上」では体重に関係ない用量となっています。

また、18 歳以上の AD/HD 患者を対象とした国内臨床試験において,血圧低下や傾眠などの有害事象が小児患者に比べ多く発現し、これらの有害事象により投与中止に至った症例が用量調節期に比較的多く認められたことから、下記の【重要な基本的注意】が新設されました。

< 重要な基本的注意 >
本剤の投与開始時及び用量調節時に副作用(傾眠,血圧低下等)により投与中止に至った症例が認められていることから,本剤の投与中(特に投与開始時及び用量調節時)においては,患者の状態を慎重に観察し,用量の調節を行うこと。

新薬 DSU等の解説
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