2019年6月分 DSUのまとめ

2019年6月分 DSUのまとめ

2019年6月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はヤーズフレックス配合錠の「月経困難症」に対する用法・用量追加やビクトーザの最大用量の改訂が重要なところかと思います。

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①ベージニオ錠(アベマシクリブ)【警告】

間質性肺疾患に関する内容が警告に追記となりました。

本剤使用患者において間質性肺疾患の重篤な症例が 14例報告され、このうち 3 例は死亡に至った症例がありブルーレターとして通知された内容です。

<警告>
間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。

異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。

②トリプタン系薬剤【重要な基本的注意・重大な副作用】

「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」に「薬物の使用過多による頭痛」の内容が追記となりました。

海外の添付文書にはすでに同様の記載があることや、PMDAによる処方実態調査に基づき改訂となりました。

<重要な基本的注意>
本剤を含むトリプタン系薬剤により、頭痛が悪化することがあるので、頭痛の改善を認めない場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」の可能性を考慮し、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

<重大な副作用>
薬剤の使用過多による頭痛:
薬剤の使用過多による頭痛があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

③タイケルブ(ラパチニブ)【妊婦への投与】

避妊に関する記載が、従来の「投与中は適切な避妊を行い妊娠しないよう指導すること」から「本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行い妊娠しないよう指導すること」に変更となりました。

④ネイリン(ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物)

ネイリンがCYP3Aを「中程度」阻害することが明記されました。また、従来より併用注意であった「CYP3A により主に 代謝される薬剤 シンバスタチン ミダゾラム」の記載に シンバスタチン、ミダゾラム「等」が追記されました。

これにより、シンバスタチン、ミダゾラムに限らず他のCYP3Aにより主に代謝される薬剤も併用注意扱いとなります。

併用禁忌について

CYP3Aを「中程度」阻害 の記載となり、気になることはジャクスタピッドカプセルのように併用禁忌に「中程度のCYP3A阻害剤」が記載されている薬剤での扱いです。

現状ではネイリン側もジャクスタピッド側の添付文書でも「ネイリンとジャクスタピッドが併用禁忌」という記載はありません。

ジャクスタピッドの製薬会社に確認したところ、ネイリンに「中程度のCYP3A阻害剤」の記載があるなら併用禁忌として扱うとのことでした。

併用禁忌の場合は併用禁忌となる医薬品が特定されるよう記載する必要があるので、今後ネイリンが併用禁忌に追記される改訂が行われるのかと予想されます。

⑤ブロプレス(カンデサルタン)【小児用法・用量追加】

小児に対する高血圧症の用法・用量が追加承認されました。これは2018年冬頃に公知申請対象となった内容が今回正式に効能追加となりました。

通常、1歳以上6歳未満の小児には1日1回カンデサルタン シレキセチルとして0.05~0.3㎎/㎏を経口投与する。

通常、6歳以上の小児には1日1回カンデサルタン シレキセチルとして2~8㎎を経口投与し、必要に応じ12㎎まで増量する。ただし、腎障害を伴う場合には、低用量から投与を開始し、必要に応じて8㎎まで増量する。

⑥ヤーズフレックス配合錠(ドロスピレノン・エチニルエストラジオール)【用法・用量追加】

「月経困難症患者」に対し、 24日間連続投与後、4 日間休薬する 28 日間を投与 1 周期とする用法及び用量が追加されました。

1 日 1 錠を 24 日間連続経口投与し、4 日間休薬する。 以上 28 日間を投与 1 周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、29 日目から次の周期の錠剤を投与し、以後同様に繰り返す。

なお、「子宮内膜症に伴う疼痛の改善」 の効能においては従来通り下記の用法のみであり、「月経困難症」の効能では下記の従来用法と上記の28 日間を投与 1 周期とする用法を選択できるようになりました。

1 日 1 錠を経口投与する。24 日目までは出血の有無にかかわらず連続投与する。25 日目以降に 3 日間連続で出血(点状出血を含む)が認められた場合、又は、連続投与が 120日に達した場合は、4 日間休薬する。 

休薬後は出血が終わっているか続いているかにかかわらず、連続投与を開始する。以後同様に連続投与と休薬を繰り返す。

⑦ビクトーザ(リラグルチド)【用量追加】

従来では「1 日 0.9mg を超えないこと」とされていましたが、今回の改訂で「最高 1.8mg まで」増量できるようになりました。

ビクトーザを従来使用している患者がこの改訂により、単位増量の処方となる可能性があるので、単位増量を見落とさないように注意が必要です。

通常、成人には、リラグルチド(遺伝子組換え)として、0.9mg を維持用量とし、1 日 1 回朝又は夕に皮下注射する。

ただし、1 日 1 回 0.3mg から開始し、1 週間以上の間隔で 0.3mg ずつ増量する。

なお、患者の状態に応じて適宜増減し、1 日 0.9mgで効果不十分な場合には、1 週間以上の間隔で0.3mg ずつ最高 1.8mg まで増量できる。

1.8mg対応品の発売

従来の製剤ではダイアルが0.9mgまでしかまわらないため、今回の改訂に対応した1.8mgまで設定可能な「ダイアル変更品」に今後変更となります(従来品は販売終了となります)。

変更品出荷時期は2019年9月頃を予定しているようです。

ダイアル変更品が販売されるまでは1.2mg以上の投与(0.9mg+0.3mgなどの2回うち)は針の交換、空うちが余計に必要になるため製薬会社としては推奨しないようです。

そのため、流通していない状態で、この処方がでたら一応疑義照会をしたほうがよいかと思います。

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