ルパフィンの服薬指導

ルパフィンの服薬指導
今回は2017年11月発売の新しい作用機序を併せ持つ、経口アレルギー性疾患治療剤の新薬であるルパフィン錠(ルパタジン)の服薬指導をまとめました。

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ルパフィンの特徴

2つの化学伝達物質(ヒスタミンに加えて血小板活性化因子(PAF))を抑える、DUAL作用によって強力な効果を発揮し、アレルギー性疾患における症状を抑制します。

薬理作用上は、一見効きそうな印象がありますが、他の薬剤と比べて優越性が認められているわけではないので、運転など避ける必要があることや相互作用の面からも、現段階ではあまりメリットのない薬剤という印象があります。

類薬との有効性の比較

国内での類薬との比較試験はなく、海外ではあるようですが、特段、ルパフィンが優れているということではなく、承認時のやりとり(薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録)を見てみると有効性については「海外の試験成績を踏まえますと、既存薬と同程度である」と位置付けられているようです。

抗PAF作用

製薬会社からは、ルパフィン錠は、「抗ヒスタミン作用に加え、抗PAF作用を併せ持つ、新しい作用機序の経口アレルギー性疾患治療剤」という謳い文句で発売されています。

だだ、これも承認時のやりとりを見てみるとわかりますが、PAF拮抗作用の有する抗ヒスタミン薬は既に複数存在しており、ルパフィンが初めてというものではないようです。

確かに調べてみるとアレロックやアレジオン、タリオンなどの添付文書の薬理作用の項目に動物実験でのPAF拮抗作用に関する記載がされています。

製薬会社に確認したところ、ルパフィンも動物実験ではありますが、従来の抗アレルギー薬と比べて臨床用量に近い量でPAF拮抗作用が認められているようで、「臨床用量に近い用量でPAF拮抗作用が期待できそうなのはルパフィンが初」という位置付けのようです。

<ルパフィン>
ルパタジンにおいては、ウサギ及びイヌにおけるPAF誘発血小板凝集阻害作用を示した(in vitro)

また、ルパタジンは、ヒスタミン又はPAF誘発によるラットの足蹠浮腫及び血管透過性亢進をそれぞれ抑制した(in vivo)

<アレロック>
オロパタジン塩酸塩は、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし、更に化学伝達物質(ロイコトリエン、トロンボキサン、PAF等)の産生・遊離抑制作用を有し、神経伝達物質タキキニン遊離抑制作用も有する。

また、モルモットにおいて、血小板活性化因子(PAF)による気道過敏性亢進を抑制した。

<アレジオン>
ロイコトリエンC4(LTC4)及びPAF拮抗作用LTC4及びPAF誘発の気管平滑筋の収縮反応を用量依存的に抑制した。

<タリオン>
ベポタスチンベシル酸塩の経口投与は血小板活性化因子(PAF)(ラット、モルモット)及び抗原による(モルモット、マウス)好酸球浸潤を抑制する。

ルパフィン(ルパタジン)の概要

服薬指導難度

効能

アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

用法・用量

通常、12歳以上の小児及び成人にはルパタジンとして1回10mgを1日1回経口投与する。
なお、症状に応じて、ルパタジンとして1回20mgに増量できる。

名前の由来

Rupatadine と PAF(platelet activating factor:血小板活性化因子)、IN(Inhibition:抑制)に由来し命名されています。

ルパフィンの服薬指導で確認すること

①年齢の確認【用法・用量】

ルパフィンはデザレックス同様に12歳以上が対象となります。

12歳未満に処方された場合は疑義照会対象となります。

②CYP3A4阻害剤の併用の有無【併用注意】

CYP3A4阻害剤が併用注意であるため確認します。

エリスロマイシン併用によりルパフィンのAUCが2.9倍となる報告があるため疑義照会対象となります。

また、エリスロマイシンよりCYP3A4阻害作用が強いクラリスロマイシンでも同等以上のAUC増加がみられると考えられるため疑義照会したほうがよいでしょう。

③デザレックス・クラリチン過敏症の有無【添付文書記載なし】

ルパフィンは代謝されると一部、デザレックスの成分となるためデザレックス(デスロラタジン)やクラリチン(ロラタジン)で過敏症がある場合は、ルパフィンでも禁忌と考えたほうよいです。

通常であれば、このような交差過敏性を有する薬剤は添付文書禁忌の項目に「デスロラタジンで過敏症の既往のある患者」などと記載されるはずですが、現状ではこの記載はありません。

これを製薬会社に確認したところ、添付文書には記載がないが、「デザレックスで過敏症のある場合は避けるように」とのことでした。いずれ改訂されることが予想されます。

なお、実際に患者から聴取する際は、クラリチンやデザレックスに限らず、副作用歴全般を再度聴取する対応がよいかと思います。

ルパフィンの服薬指導で伝えること

①運転など避けることの説明【重要な基本的注意】

最近の抗アレルギー薬のなかでは珍しく、運転など避ける必要のある薬剤であるため説明します。

眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること

②グレープフルーツを避けること【併用注意】

グレープフルーツジュースが併用注意であるため、グレープフルーツを避けることを説明します。

グレープフルーツジュース併用により、AUCが4.1倍になる報告があります。

③アルコールを避けること【併用注意】

第二世代の抗ヒスタミン薬としては珍しいですが、ルパフィンはアルコールが併用注意となっているため、アルコールを避けることを説明します。

中枢神経系に影響を与える可能性があるため、アルコールと併用する際は注意すること。

中枢神経抑制作用が増強される可能性がある。

④アレルギー検査を受ける場合の注意【臨床検査結果に及ぼす影響】

他の抗アレルギー薬同様にアレルギー検査の反応を抑制するため、検査を実施する数日前に休薬する場合があります。

そのため、アレルギー検査の予定がある場合は、事前に休薬するかどうかを医師に確認するよう説明します。

ルパフィンの服薬指導薬歴例

S)鼻炎
O)併用なし、副作用歴なし
A)眠気でることあるため運転など避けるよう説明。グレープフルーツ避けること説明。飲酒さけること説明。

アレルギー検査等の際は休薬する場合があるので医師にに確認するよう指示。

P)状態確認

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