今回は医薬品・医療機器等安全性情報 No.344でも取り上げられた「医療用医薬品の添付文書記載要領の改定について」まとめました。
医療用医薬品の添付文書記載要領の改正は,旧記載要領の発出から20年ぶりの改正となるようです。実際の改正はまだ、先のことですが把握しておくとよいかと思います。
いつから改正となるか
平成31年4月1日から施行が予定されており、平成36年3月31日までは経過措置期間が設定されています。
つまり、平成31年4月1日から平成36年3月31日までの5年間の経過措置の間は,旧記載要領に基づく添付文書と改正記載要領に基づく添付文書の両方が医療現場に存在することとなるため注意が必要です。
主な改正内容
①原則禁忌の廃止
個人的には今回の改正でこれが最も有意義かと思います。
原則禁忌が廃止となり、禁忌か慎重投与のどちらかに振り分けられるようです。
なお、後述しますが、実際は慎重投与も変更となり、新設する「特定の背景を有する患者に関する注意」に移行します。
調剤頻度の高い薬剤の原則禁忌
原則禁忌が存在する薬剤のうち、調剤薬局で使用頻度の高い薬剤として下記のものが挙げられます。
これら下痢止めやステロイド内服の原則禁忌が今後禁忌となり制限が強くなるか、慎重投与としての位置づけとなり緩和されるかはわかりませんが、どちらかはっきりすることは好ましいことかと思います。
ちなみに、ステロイド内服は原則禁忌の項目が多すぎるので、是非とも緩和して欲しいところです。
・下痢止め・麻薬:細菌性下痢
・ステロイド内服:有効な抗菌剤の存在しない感染症,全身の真菌症、消化性潰瘍、精神病、結核性疾患、単純疱疹性角膜炎、後嚢白内障、緑内障、高血圧症、電解質異常、血栓症、最近行った内臓の手術創のある患者、 急性心筋梗塞を起こした患者
・ステロイド点眼:ウイルス性結膜・角膜疾患、結核性眼疾患、真菌性眼疾患又は化膿性眼疾患、角膜上皮剥離又は角膜潰瘍
・ロペミン:潰瘍性大腸炎、6カ月以上2歳未満の乳幼児、細菌性下痢
②「慎重投与」、「高齢者への投与」、「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」、「小児等への投与」が新設される「特定の患者集団への投与」に移行
禁忌を除く特定の背景を有する患者への注意を集約するため,「特定の患者集団への投与」を新設されるようです。
ここに従来の「慎重投与」、「高齢者への投与」,「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」,「小児等への投与」をもってくるようです。
つまり、「特定の患者集団への投与」の項目下に「合併症・既往歴等のある患者」,「腎機能障害患者」,「肝機能障害患者」,「生殖能を有する者」,「妊婦」,「授乳婦」,「小児等」,「高齢者」の項目が位置づけられることになります。
慎重投与について
前述のように従来の慎重投与は「特定の患者集団への投与」の項目下の「合併症・既往歴等のある患者」などに振り分けられるようですが、内容によっては「効能及び効果に関連する注意」,「用法及び用量に関連する注意」などに移行する場合もあるようです。
個人的には「慎重投与」は禁忌と対比させて使う場合が多い(例えばブスコパンでは「前立腺肥大による排尿障害のある患者」が禁忌で、「前立腺肥大のある患者」は慎重投与といった対比)ので、記載場所は禁忌から近いほうが見やすく、従来のほうがよいかな、と思ってます。
③項目の通し番号の設定
「警告」以降の全ての項目に固定番号が「1.1」等の形で付与されるようです。
従来では、併用注意がない薬剤など一部の項目がない場合にわかりにくかったのですが、これにより欠番がある場合に把握しやすくなるかと思います。
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