今回は前立腺肥大症の治療薬であるアボルブ(デュタステリド)の服薬指導をまとめました。
アボルブは比較的新しい薬剤ということもあり、服薬指導が難しいと思われがちですが、実際にはそれほど確認する項目や伝える項目が多くないため、服薬指導難度は高くないかと思います。
アボルブ(デュタステリド)の概要
服薬指導難度
効能
前立腺肥大症
用法・用量
通常、成人にはデュタステリドとして 1 回0.5mgを1日1回経口投与する。
名前の由来
特にありません
アボルブの服薬指導で確認すること
①副作用歴の確認【禁忌】
他の5α還元酵素阻害薬(男性型脱毛症治療薬であるザガーロやプロペシア)に対し過敏症の既往歴のある患者が禁忌となるため確認します。実際には副作用歴の全般を再度確認する対応がよいかと思います。
これは、交叉過敏反応の発現を考慮し禁忌に設定されています。
②肝機能障害の確認【禁忌】
「重度の肝機能障害」のある患者が禁忌となります。これはアボルブが主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇するおそれがあるため設定されています。「重度」でない肝機能障害の場合は慎重投与となっています。
なお、国内外の臨床試験において、肝機能障害のある患者における本剤の使用経験はなく、薬物動態は検討されていません。
アボルブの服薬指導で伝えること
①噛まないこと【用法及び用量に関連する使用上の注意】
カプセルの内容物が口腔咽頭粘膜を刺激する場合があるので、カプセルは噛んだり開けたりせずに服用することとされています。そのため、噛まないで服用するよう説明します。
②他人に触らせないこと【重要な基本的注意】
経皮吸収されるので漏れると危険なため、本人以外が触らないよう説明します。
本剤は経皮吸収されることから、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないこと。漏れた薬剤に触れた場合には、直ちに石鹸と水で洗うこと
③PSA検査に影響を他院受診の際は併用を伝えること【重要な基本的注意】
アボルブは血清PSAに影響を与えるため、他院受診の際は併用を伝えるよう説明します。
本剤は、血清前立腺特異抗原(PSA)に影響を与えるので、以下の点に注意すること。
1)PSA 値は、前立腺癌のスクリーニングにおける重要な指標である。一般に、PSA 値が基準値(通常、4.0ng/mL)以上の場合には、更なる評価が必要となり、前立腺生検の実施を考慮に入れる必要がある。なお、本剤投与中の患者で、本剤投与前の PSA 値が基準値未満であっても、前立腺癌の診断を除外しないように注意すること。
2)本剤は、前立腺癌の存在下であっても、投与6ヵ月後にPSA値を約50%減少させる。したがって、本剤を 6 ヵ月以上投与している患者の PSA 値を評価する際には、測定値を 2 倍した値を目安として基準値と比較すること。なお、PSA 値は、本剤投与中止後 6 ヵ月以内に本剤投与開始前の値に戻る。
3)本剤投与中における PSA 値の持続的増加に対しては、前立腺癌の発現や本剤の服薬不遵守を考慮に含め、注意して評価すること。
4)本剤投与中において、free/total PSA 比は一定に維持されるので、前立腺癌のスクリーニングの目的で%free PSA を使用する場合には、測定値の調整は不要である。
アボルブの服薬指導薬歴例
S)前立腺肥大
O)副作用歴なし、肝臓悪いと言われたことなし
A)
噛まないこと、他人に触らせないこと説明。
PSA検査に影響出るので他院受診時は伝えるよう指示。
P)状態確認
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