2017年4月分 DSUのまとめ・解説

2017年4月分 DSU
今回は2017年4月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はベンゾジアゼピン系薬剤の改訂が大きな内容となります。一見すると記載が統一されたような印象を受けますが、薬剤により記載内容に若干の差があったりします。

また、ピレスパの光曝露に伴う皮膚の発がんの可能性が、警告及び重要な基本的注意から削除され,従来より緩和されました。

スポンサーリンク

①ベンゾジアゼピン系薬剤【重要な基本的注意、重大な副作用】

重要な基本的注意に連用に対する注意が追記(もしくは一部改訂)され、重大な副作用の依存性や離脱症状の項目が追記(もしくは一部改訂)されました。

これは承認用量の範囲内においても連用により薬物依存が生じることがあることや承認用量範囲内でも連用中における投与量の急激な減量又は中止により原疾患の悪化や離脱症状が現れることがあるため改訂されました。

重要な基本的注意
「連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。」

重大な副作用に関しては大まかには下記の記載となりますが改訂されたものの、薬剤により連用中における投与量の急激な減少や投与中止による症状の記載が若干異なっています。

「連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。

また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、不安、異常な夢、悪心、胃不調、反跳性不眠等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと」

また、薬剤によりますが副作用として刺激興奮、錯乱の項目があるものがあり、従来は精神障害を合併している患者の場合に限定された記載でしたが、実際は精神障害の患者に限らず、すべての患者にあらわれる可能性があるため今回の改訂で記載が整備されています。

②ピレスパ(ピルフェニドン)【警告・重要な基本的注意】

警告及び重要な基本的注意の「皮膚の発がん」の記載が削除され、「その他の注意」の項の「皮膚の発がん」に関する記載が整備されました。

下記の警告削除
「本剤の使用にあたっては,光遺伝毒性試験において染色体構造異常を示し,光曝露に伴う皮膚の発がんの可能性があることを患者に十分に説明し,理解したことを確認した上で投与を開始すること。

また「重要な基本的注意」の項目の「光曝露に伴う皮膚の発がんの可能性がある」という記載も削除になりました。

改訂理由の解説

今回の改訂は当該記載の根拠となった光遺伝毒性試験の感度が過剰に高かったことなどが理由となっているようです。

承認時までに実施した光遺伝毒性試験において,光照射による染色体構造異常誘発性を有することが確認されたことから,これまで,「警告」,「重要な基本的注意」及び「その他の注意」の項において,光曝露に伴う皮膚の発がんの可能性について注意喚起を図ってきました。

しかしながら,2014 年に ICH における三極の合意事項として新たに「医薬品の光安全性評価ガイドライン」が策定され,当該記載の根拠となった光遺伝毒性試験は感度が過剰に高く偽陽性結果が生じること,光遺伝毒性試験データの解釈,すなわち,臨床的に関連性のある UV 依存性の皮膚がん増加に対する意義が不明瞭であることから,標準的な光毒性試験プログラムの一部として実施することは推奨されないことが記載されました。

当該ガイドラインの策定により,光遺伝毒性試験結果のヒトへの外挿の適切性が不明瞭となったこと,更に,2008 年 12月の発売以降,国内において「皮膚がん」は報告されていないことから,光曝露に伴う皮膚の発がんの可能性に関する記載を削除・整備しました。

薬剤師の対応

今回の改訂で、従来必要であった光曝露に伴う皮膚の発がんの可能性の説明が必須でなくなるかと思います。

なお、一見して光毒性に関して説明しなくてよくなる、といった印象もありますが、光線過敏症に関しては従来通り記載があるため、発がん以外の指導内容は今までと変わらないので注意が必要です。

③スンベプラカプセル(アスナプレビル)【併用禁忌】

併用禁忌にヴィキラックス配合錠(オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル)とテラビック錠(テラプレビル)が追加となりました。

④ヴィキラックス配合錠(オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル)【併用注意】

併用注意にプログラフ、グラセプターなど(タクロリムス)、アフィ二トール(エベロリムス)、ラパリムス(シロリムス)が追加となりました。

併用禁忌ではありませんが、ヴィキラックスとの併用でそれぞれタクロリムスのAUCが86倍,エベロリムスのAUCが27倍、シロリムスのAUCが38倍に上昇したとの報告があるため、該当する場合は必ず疑義照会(AUCの上昇率も伝える)したほうがよいかと思います。

なお、タクロリムス側の添付文書には以前より記載があります。

DSU等の解説
スポンサーリンク
Suzukiをフォローする
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
関連記事
薬局薬剤師ブログ 服薬指導の覚書

コメント

タイトルとURLをコピーしました