2023年11月分 DSUのまとめ

2023年11月分 DSUのまとめ

2023年11月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はカロナールの禁忌項目削除とテイーエスワンの用法及び用量の整備が主な内容であり、これらはすべての薬剤師が認識しておいたほうがよいかと思います。

スポンサーリンク

①カロナール

従来禁忌であった下記項目が禁忌から削除され、「特定の背景を有する患者に関する注意」 での記載となり緩和されました。「重篤な肝障害のある患者」は従来通り禁忌のままです。

アセトアミノフェン含有製剤としては他にカフコデも同様の改訂となっています。
なお、PL顆粒ではもともと下記5項目については消化性潰瘍とアスピリン喘息しか禁忌ではありませんでしたが、サリチルアミドを含むので特に禁忌削除とはなっていないので勘違いしないように注意が必要です。

・消化性潰瘍のある患者
・重篤な血液の異常のある患者
・重篤な腎障害のある患者
・重篤な心機能不全のある患者
・アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤 による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者

また、アスピリン喘息については「用法及び用量に関連する注意 」に1回300mg以下とすることが明記されました。以前よりアスピリン喘息にカロナールを使う場合は1回300mg以下が安全性が高いとされていたのでこれが反映されました。

<用法及び用量に関連する注意 >
アスピリン喘息又はその既往歴のある患者に対する1回あたりの最大用量はアセトアミノフェ ンとして300 mg以下とすること。

薬剤師としての対応

アスピリン喘息が禁忌から外れましたが、1回300mg以下という用量制限があるので1回300mgを超える処方の場合は従来どおりアスピリン喘息を否定するために喘息の有無を聴取する必要があります。

アスピリン喘息の疑いがある場合に1回300mgを超える処方の場合は疑義照会が必要となります。

②トラムセット

アセトアミノフェンを含有するのでカロナール同様に前述の禁忌項目が削除となりましたが、アスピリン喘息の禁忌項目は効能により改訂の内容が異なります。

<抜歯後の疼痛の効能>
トラムセット1錠にはアセトアミノフェン325mg含有していますが、抜歯後の疼痛の効能では1回量が2錠となるので、アスピリン喘息での用量制限である1回300mg以下を満たせないためアスピリンは禁忌のままとなります。

<非がん性慢性疼痛の効能>
1回1錠であるため非がん性慢性疼痛の効能ではアスピリン喘息は禁忌から削除されました。ただし、アスピリン喘息の場合は、1回1錠とすることが明記されたので適宜増減の「増」はできません。

また、1回1錠でもアセトアミノフェン325mgとなり、300mgを微妙にオーバーするので、アセトアミノフェン単剤製剤の使用を考慮する旨の記載もされていますが、25mgオーバー程度であれば使用すると判断する医師はいるだろうと思えるので、個人的にはアスピリン喘息ということが医師に伝わってる上での処方てあれば疑義照会はいらないと考えています。

<用法及び用量に関連する注意>
アスピリン喘息又はその既往歴のある患者に対して本剤を投与する場合は、1回1錠とすること。

<合併症・既往歴等のある患者 アスピリン喘息>
本剤を用いず、個別のアセトアミノフェン製剤を用いた用量調節を考慮すること。

アスピリン喘息又はその既往歴のある患者では、アセトアミノフェンの1回あたりの最大用量は300mg以下とすることとされているが、本剤は1錠中にアセトアミノフェンを325mg含有している。アスピリン喘息の発症にプロスタグランジン合成阻害作用が関与していると考えられ、症状が悪化又は再発を促すおそれがある。

③アーリーダ(アパルタミド )

「重要な基本的注意」と「重大な副作用」に 「薬剤性過敏症症候群」が追記となりました。

<重大な副作用>
薬剤性過敏症症候群(頻度不明) 

初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機 能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増 多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。

なお、ヒト ヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること  

④テオドール

禁忌、併用禁忌に心筋血流シンチグラフィの際に用いるアデノスキャンが追記となりました。なお、アデノスキャン側の添付文書には従来から記載されています。

この併用禁忌は検査を実施する施設側で確認するものとなるかと思いますが、薬剤師としては「テオドールが心臓の検査をする場合には休薬することがある」程度の認識は持っておいてよいかと思います。

特に患者から今度心臓の検査するけど飲んでいて大丈夫か聞かれた際に、誤って「問題ない」と答えないようにする必要があります。

こういった場合は検査の内容にもよるので施設側に確認するようにと説明するのがよいかと思います。

<禁忌>
12時間以内にアデノシン(アデノスキャン)を使用する患者

<併用禁忌>
アデノシン(アデノスキャン)
本剤によりアデノシンによる冠血流速度の増加及び冠血管抵抗の減少を抑制し、虚血診断に影響を及ぼすことがある。アデノシン(アデノスキャン)を投与する場合は12 時間以上の間隔をあけること。

本剤はアデノシン受容体に拮抗するため、アデノシンの作用を減弱させる

⑤タケプロン

併用注意に酸化マグネシウムが追加されました。酸化マグネシウム側の添付文書では以前より記載されています。

<併用注意>
酸化マグネシウム 

酸化マグネシウムの緩下作用が減弱するおそれがある。 

本剤の胃酸分泌抑制作用による胃内pH上昇により酸化マグネシウムの溶解度が低下するためと考えられる。

 

⑥ティーエスワン

〈胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌〉の効能において、実際の臨床状況をより正確に表現する「用法及び用量」として記載が整備され投与期間と休薬期間、用量によりA~F法に分類されました。

今までは添付文書と違う投与期間、休薬期間での処方の際に疑義照会するか迷う場合もあったかと思いますが、今回の改訂によりこのあたりが改善されました。

<用法及び用量>
〈胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌〉

胃癌にはA法、B法又はC法、結腸・直腸癌にはA法、C法又はD法、頭頸部癌にはA法、非小細胞肺癌にはA法、B法又はC法、手術不能又は再発乳癌にはA法、膵癌にはA法又はC法、胆道癌にはA法、E法又はF法を使用する。

A法:通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて下表の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜増減する。

増量は本剤の投与によると判断される臨床検査値異常(血液検査、肝・腎機能検査)及び消化器症状が発現せず、安全性に問題がなく、増量できると判断される場合に初回基準量から一段階までとし、75mg/回を限度とする。

B法:通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて下表の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、21日間連日経口投与し 、その 後 14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

C法:通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて下表の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

D法:通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて下表の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、14日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

E法:通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて下表の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、7日間連日経口投与し、その後7日間休 薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

A法~E法における初回投与量(1回量)
体表面積       初回基準量(テガフール相当量)
1.25㎡未満      40mg/回
1.25㎡以上1.5㎡未満 50mg/回
1.5㎡以上      60mg/回

F法:通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて下表の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

F法における初回投与量(1回量)
体表面積       初回基準量(テガフール相当量)
1.25㎡未満      朝40mg/回、夕20mg/回
1.25㎡以上1.5㎡未満 40mg/回
1.5㎡以上      50mg/回

⑦ベネクレクスタ

「生殖能を有する者」に記載されている避妊が必要な期間が従来では「本剤投与中及び最終投与後一定期間」といった期間の目安が不明瞭だった記載が、下記のように具体的な期間が明記されました。

<生殖能を有する者>
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後30日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

⑧パキロビッド

もともと併用注意だったシクロスポリン、タクロリムスが「やむを得ない場合を除きこれら薬剤との併用は避けること。」とより強い記載に変更されました。

<併用注意>
これら薬剤の血中濃度が上昇し、重篤な副作用が発現した症例も報告されていることから、やむを得ない場合を除きこれら薬剤との併用は避けること。

やむを得ず併用する場合には、これら薬剤の減量を考慮し、本剤投与中及び投与終了後に、併用薬の血中濃度及び併用薬による副作用の十分なモニタリングを行うこと。

DSU等の解説
スポンサーリンク
Suzukiをフォローする
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
関連記事
薬局薬剤師ブログ 服薬指導の覚書

コメント

タイトルとURLをコピーしました