
2023年9月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
プロペシアやプラザキサで服薬指導の際に伝えることが増えたことやシンポニー皮下注 オートインジェクターの投与部位から上腕部が削除となったことは認識しておく必要があります。
①イクセロン、リバスタッチパッチ(リバスチグミン)
重大な副作用に「QT延長」延長が追記となりました。
②プロペシア(フィナステリド)
重要な基本的注意に自殺企図についての記載が追記となりました。
〈重要な基本的注意〉
本剤との因果関係は明らかではないが、自殺念慮、自殺企図、自殺既遂が報告されている。
患者の状態を十分に観察するとともに、自殺念慮又は自殺企図があらわれた場合には本剤の服用を中止し、速やかに医師等に連絡するよう患者に指導すること。
薬剤師の対応
今回の改訂により、服薬指導の際に上記の内容を伝えることが必要になりました。
自殺企図の内容はどのような表現で伝えるかは迷うところかと思いますが、個人的には「万が一、不安感がでるなどの気分の変動が見られる場合はすぐに受診してください」という説明をしようかと考えています。
③プラザキサ(ダビガトランエテキシラート)
重大な副作用に「食道潰瘍、食道炎」が追記され、重要な基本的注意に、「食道滞留を防止するための適切な服用方法」と「初期症状発現時の対処法」が記載されました。
従来より適用上の注意の項目に十分量(コップ 1 杯程度)の水とともに服用する旨の記載はありましたが、それでも服用方法が適切でなく、カプセルが食道に滞留し重度の食道潰瘍や食道炎を呈したと考えられる症例が継続的に報告されていることから改訂されました。
そのため、今後は服薬指導の際にこれらの内容を伝えることが必要になります。
<重大な副作用>
食道潰瘍、食道炎
<重要な基本的注意>
本剤が食道に滞留した場合、食道潰瘍及び食道炎があらわれるおそれがあるので、以下の点を患者に指導すること。
・本剤を速やかに胃に到達させるため、十分量(コップ 1 杯程度)の水とともに本剤を服用すること。
・食道疾患の症状(嚥下困難又は嚥下痛、胸骨後部の痛み、高度の持続する胸やけ等)があらわれた場合には、担当医に相談すること
④スマイラフ錠(ペフィシチニブ)
重大な副作用に静脈血栓塞栓症が追記となりました。
<静脈血栓塞栓症>
肺塞栓症及び深部静脈血栓症があらわれることがある
⑤ベルソムラ
従来、用法及び用量に関連する注意と併用注意の項目の「CYP3Aを阻害する薬剤」という記載は特に阻害の強度が記載されていませんでしたが、CYP3Aを「中等度」に阻害する薬剤というように阻害強度が明記されました。
これにより、今まで判断に迷っていた弱いCYP3A阻害作用を持つ薬剤との併用の際は併用注意に該当しない(1回10mgへの減量の考慮は必要ない)ことが明確化されました。
⑥シンポニー皮下注 オートインジェクター
オートインジェクターの投与部位から「上腕部」が削除されました。
シンポニー皮下注 オートインジェクターの投与を上腕部に受けた患者において、投与時に針の先端が骨等の固い組織に接触して針先が曲がり、注射部位から針が抜けにくくなった事例が多く認められたことが理由となります。
なお、シリンジ製剤は従来どおり上腕部も可能です。
<薬剤投与時の注意>
・オートインジェクター:投与は、腹部又は大腿部を選ぶこと。
・シリンジ:投与は、上腕部、腹部又は大腿部を選ぶこと。
薬剤師の対応
オートインジェクター製剤に付属する説明書はしばらく上腕部の記載がある古いものになってしまうので注意する必要があります。
これまで使用していた患者には、今後は上腕部には使用しないように伝える必要があり、このための指導せんは製薬会社で用意しているようなので扱いがある店舗は取り寄せておくとよいでしょう。
また、ガイドブックなどの資材はすでに改訂されているものがあるので、在庫している古い資材は新しい資材に差し替える必要があります。
なお、これまで扱いがない薬局の場合でも上記のことを認識しておかないと、処方が来た場合に製剤に付属する上腕部の記載がある古い説明書で説明してしまう過誤が想定されるので注意が必要です。
⑦パキロビッドパック(ニルマトレルビル・リトナビル)
フルカム(アンピロキシカム)、バキソ(ピロキシカム)、アデムパス(リオシグアト)が併用禁忌から削除されました。
これらの薬剤との併用による影響は少ないと考えられたようです。
なお、アデムパスに関しては併用注意の項目に移動しています。
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