2023年8月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
今回はそれほど重要な改訂はありませんでした。
①スタチン系薬剤
重大な副作用に「重症筋無力」が追加となりました。
<重症筋無力症>
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が発症又は悪化することがある。
②ルトラール(クロルマジノン)
海外の疫学調査において、用量および服用期間依存的に髄膜腫のリスクが高まることが報告されていることから「その他の注意」に下記が追記となりました。
<その他の注意>
海外の疫学調査において、クロルマジノン酢酸エステルの6カ月間の累積投与量が360mg超の女性では、360mg以下の女性と比較して髄膜腫の発生リスクが高く(ハザード比4.4(95%信頼区間:3.4-5.8))、累積投与量の増加に伴い発生リスクが高くなるとの報告がある
③フィアスプ注 100単位/mL(バイアル製剤)
フィアスプ注 100単位/mL(バイアル製剤)においてインスリンポンプ中の注射液にゲル化がみられたという事例が報告されていることから下記が追記されました。
注射液のゲル化によって、インスリンポンプ内に閉塞が生じ必要量のインスリンが投与されない状態となり、重篤な高血糖関連事象をきたす可能性があります。
<適用上の注意 投与時>
ポータブルインスリン用輸液ポンプを用いて投与する際は、以下の点について留意し、患者にも指導すること。また、ポータブルインスリン用輸液ポンプや注入器具(チューブやシリンジ等)が正常に機能しない場合に備えて、他のインスリン注射手段(ペン型インスリン注入器製剤等)を常に携帯するよう患者に指導すること。
・注入器具(シリンジやチューブ等)の取扱説明書に従って、注入器具の交換を行うこと。
・インスリンポンプの内部を確認し、注射液の外観に変化がみられた場合は使用しないこと。
また、フィアスプ注 ペンフィルから注射液を抜き取ってインスリンポンプに充填し投与した患者においても、インスリンポンプにセットされた注射液にゲル化がみられた事例が報告されたため、フレックスタッチ・ペンフィルの添付文書ではカートリッジ内の注射液を抜き取ってインスリンポンプに装填する事はしないよう追記されました。
④フルダラ錠(フルダラビン)
避妊について下記の内容が追記されました。
<生殖能を有する者>
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
男性には、本剤投与中及び最終投与後95日間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。
⑤ロスバスタチン
併用注意に下記の3つの薬剤が追記となりました。
ロスバスタチンのAUCが2〜3倍程度になりますが、 ロスバスタチンは腎臓などが悪くなければ用量上限が20mgで、実際に使用される用量は2.5mg~5mgが多いため、個人的には疑義照会はせずに、服薬指導の際に副作用の注意を促す対応でよいかと考えてます。
<併用注意>
・タバリス(ホスタマチニブ)
本剤とホスタマチニブナトリウム水和物を併用したとき、本剤の AUC が 1.96 倍 、Cmaxが1.88倍上昇したとの報告がある。
ホスタマチニブナトリウム水和物がBCRP の機能を阻害する可能性がある。
・エベレンゾ(ロキサデュスタット)
本剤とロキサデュスタットを併用したとき、本剤のAUCが2.93倍、Cmaxが4.47倍上昇したとの報告がある。
ロキサデュスタットがOATP1B1及び BCRP の機能を阻害する可能性がある。
・ビンダケル、ビンマック(タファミジス)
本剤とタファミジスを併用したとき、本剤の AUC が1.97倍、Cmaxが1.86倍上昇したとの報告がある。タファミジスがBCRP の機能を阻害する可能性がある。
⑥ミチーガ皮下注用シリンジ(ネモリズマブ)
アトピー性皮膚炎に伴うそう痒の効能を持つチーガ皮下注用シリンジに在宅自己注射が保険適用になりました。
<重要な基本的注意>
本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督の下投与を行うこと。
自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下実施すること。
自己投与の適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理の下慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。
また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、医療施設へ連絡するよう患者に指導を行うこと。使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射器を廃棄する容器を提供すること。
<薬剤交付時の注意>
患者が家庭で保管する場合は、光曝露を避けるため外箱に入れたまま保存するよう指導すること。
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