今回は2021年冬の効能追加情報をまとめました。
品目数は多くありませんが、ジャディアンスやエフィエントのようにメジャーな薬剤の効能が追加となっているので把握しておく必要があります。
①ジャディアンス錠10mg(エンパグリフロジン)
10mgの規格に「慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)」の効能が追加となりました。SGLT2阻害薬として慢性心不全の効能はフォシーガに次いで2剤目となります。
用法・用量は「10mgを1日1回朝食前又は朝食後」というのは従来の2型糖尿病の効能と同様ですが、2型糖尿病では効果不十分な場合には25mgに増量可能ですが、 慢性心不全の効能では10mgの単一用量のみであるため、25mg規格には 慢性心不全の効能は追加されていません。
25mgが糖尿病ではなく心不全の効能で処方された場合は疑義照会対象となります。
②エフィエント錠 2.5mg/3.75mg(プラスグレル)
2.5 mgと3.75 mgの規格に 「虚血性脳血管障害(大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う)後の再発抑制(脳梗塞発症リ スクが高い場合に限る)」の効能が追加となりました。(5mg、20mg規格は効能追加となっていません)
そのため、今後は心臓だけでなく、脳血管障害の領域でも処方される場合があることは認識しておく必要があります。
なお、効能は単に「虚血性脳血管障害」ではなく、大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う虚血性脳血管障害の患者で、かつ脳梗塞発症リスク因子を有することと記載されているため、使う患者は限定される印象があります。
これはおそらく、虚血性脳血管障害患者を対象としたJ303試験で「虚血性脳血管障害全体としてはクロピドグレル群に対するエフィエント群の非劣性が示されなかったが、(劣る可能性がある)、上記のように限定された患者群では有効性が見いだせた」ということかと思います。
<効能又は効果に関連する注意>
5.3 虚血性脳血管障害の病型分類を十分に理解した上で、TOAST分類の大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う虚血性脳血管障害の患者に投与すること。同分類のその他の原因による又は原因不明の虚血性脳血管障害の患者には、有効性が認められていないため投与しないこと。
5.4 高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病、最終発作前の脳梗塞既往のいずれかを有する患者に投与すること。
5.5 「臨床成績」の項の内容を熟知し、有効性についてクロピドグレルに対する非劣性が検証されていないことや臨床試験の対象患者等を十分に理解した上で、本剤投与の適否を判断すること。
③レルミナ錠( レルゴリクス )
「子宮内膜症に基づく疼痛の改善」の効能が追加となりました。
なお、従来からある効能は 「子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善:過多月経、下腹痛、腰痛、貧血」です。
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