2021年11月分 DSUのまとめ

2021年11月分 DSUのまとめ

2021年11月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回は調剤頻度の多い薬では大きな改訂はありませんでしたが、 ストロメクトール錠とヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤のゼルヤンツ錠で把握しておくべき改訂があったため採用のある場合は認識しておく必要があります。

ゼルヤンツ以外のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤の採用がある場合も認識しておいたほうが良いかと思います。

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①ゼルヤンツ錠(トファシチニブ)【重大な副作用】

重大な副作用に  「心血管系事象」と 「悪性腫瘍」が追記されました。

また、 「心血管系事象」については「心血管系事象のリスク因子を有する患者」における「心筋梗塞等の心血管系事象」の 発現リスクについて追記されました。

「悪性腫瘍」については海外臨床試験において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることなどが追記されました。

②ストロメクトール錠 (イベルメクチン)【重要な基本的注意 ・重大な副作用】

国内外において、意識障害等の副作用が集積されたことから、「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」に「意識障害」についての内容が追記となりました。

「重要な基本的注意」に運転等危険な作業は注意する旨(禁止ではなく、注意です)が追記となったため、今後はクラビットやバルトレックスなどと同様に服薬指導の際にこの部分を説明する必要があります(バルトレックスの場合は「腎機能障害患者」では運転等危険な作業は注意ではなく禁止)。

<重要な基本的注意>
意識障害があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。 

<重大な副作用>
意識障害(頻度不明)昏睡、意識レベルの低下、意識変容 状態等の意識障害が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

実際の説明の仕方

なお、意識障害の説明の際に「意識障害」とそのまま伝えてしまうと不安感が強くなるので運転などの危険な作業の注意を伝えるだけであれば、個人的には「眠気や過度にぼーっとしてしまうことがあるので運転などの危険な作業は注意してください 」といった説明でもよい気がします。

バルトレックスなどのように重大な副作用としても伝える必要がある場合は私は「意識がもうろうとする」といった用語を選択しています。実際の伝え方は後述で紹介している 「ほとんどの内服薬や吸入薬で共通して行う服薬指導」の内容をご参照ください。

③アスピリン「ケンエー」【効能追加】

従来では 「川崎病」の効能が「ケンエー」のアスピリンにはありませんでしたが、いまさらな印象もありますが効能追加となりました。

少し教育よりの話になりますが、アスピリン「ケンエー」のように添付文書に「日本薬局方」の記載がある製剤だと、アスピリン「ヨシダ」などの他の製剤と効能も同一と思いがちかと思いますが、たまに効能を申請していないせいなどで、異なるものもあることは認識しておいたほうが良いかと思います。

なお、同様に「日本薬局方 アスピリン」製剤である「純⽣」アスピリンでも、「川崎病」の効能はありませんでしたが、この製剤は最近販売中止となっています。

ジェネリックでも添付文書の記載が異なるものがある

また、これも少し話がそれますが、ジェネリック製剤でも禁忌項目が異なる製剤があったりします。

クロモグリク酸Naの点眼、点鼻のジェネリックのうち、わかもと製薬のものであるクロモグリク酸Na点眼液「わかもと」やルゲオン点鼻液は先発品や他社ジェネリック製剤と異なり「妊娠3ヵ月以内の婦人」が禁忌となっているため、使いずらい製剤となっています。

もともと先発品のインタール(すでに販売中止なってますが)でも禁忌だったようですが30年位前に禁忌から外れたらしく、これに合わせる改訂が行われていないことが理由のようです。

禁忌に「妊娠」が含まれる製剤である場合は、服薬指導時に「現在の妊娠がないことの確認」と今後妊娠を予定する場合には事前に医師に申し出るように指導が必要なのでこの製剤は採用しないほうが良いかと思います。

エルデカルシトール「サワイ」・「日医工」の話【雑学】

また雑学的な話ですが、最近の製剤ではエディロールの禁忌事項には「本剤の成分に対し過敏症の既往のある患者」の記載がありませんが、ジェネリック製剤であるエルデカルシトール「サワイ」や「日医工」ではカプセル剤皮にカルミンを含有する(添付文書の添加剤に記載されています)ため、この禁忌項目が記載されています。(2021年1月頃に改訂の通知が来ているかと思います)

コチニール(カルミン酸)やカルミンは、不純物として含有するタンパク質に起因すると推定されるアナフィラキシー反応の発現が報告されているため、禁忌項目にこの記載が必要になります。   

実際は禁忌項目に過敏症の記載があろうがなかろうが、初回服薬指導時にすべての薬剤で呼吸困難や発疹などの説明はしますし(下記の記事参照)、また合わない場合は通常医師も再投与しないのでこの記載の有無で対応が変わることはないかと思います。

ほとんどの内服薬や吸入薬で共通して行う服薬指導
今回は私がほとんど全ての薬(内服や吸入など)の初回指導の際に共通して行っている服薬指導の内容をご紹介します。あくまで個人的な考えではありますが参考になればと思います。
DSU等の解説
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