今回は2019年初春の新薬承認品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。
リリカの類薬である「タリージェ」やセララの類薬である「ミネブロ」、C型非代償性肝硬変を効能とする「エプクルーサ」などは把握しておいたほうがよいかと思います。
①ミネブロ錠(エサキセレノン)
「高血圧症」を効能とする選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬です。
薬効分類名の「ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー」より「ミネブロ」と命名されています。
類薬としてはセララが存在します。
セララでは高血圧症の効能の場合は「微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者」や「中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)」が禁忌であり、特に高齢者では「中等度の腎機能障害」に該当する場合がそれなりにあるので使いづらい印象がありますが、ミネブロの禁忌は「重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)」でありこの点ではセララの代わりの選択肢になる気がします。
②タリージェ錠(ミロガバリン)
「末梢性神経障害性疼痛」を効能とする末梢性神経障害性疼痛治療剤です。
Targeting を由来とした“Tar”、Ligand を由来とした“Lig”を組み合わせ、「タリージェ (Tarlige)」と命名されています。
類薬としてはリリカが存在します。
運転や転倒に関する注意、体重増加、視覚異常、腎機能低下時に減量が必要な点など、リリカでの注意事項はタリージェでも共通しており、いまいち新薬としての強みがわかりにくい印象があります。
③セリンクロ錠(ナルメフェン)
「アルコール依存症患者における飲酒量の低減」を効能とする選択的オピオイド受容体調節薬です。
従来は断酒状態で使用する薬剤は承認されていましたが、飲酒量の低減を目的とした薬剤は存在しませんでした。セリンクロはアルコール依存症における飲酒量の「低減」を効能とする国内で初めての薬剤です。
飲酒の1~2時間前に服用することで、オピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求を抑え、飲酒量を低減します。(飲酒量の低減を目的とした心理社会的治療と併用する)。
「Select, Increase and Control」の 3 文字からなる造語より命名されています。
④エプクルーサ配合錠(ソホスブビル/ベルパ タスビル)
「前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善 」と「C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」の2つを効能とする核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害剤のソバルディ(ソホスブビル)とNS5A阻害剤(ベルパタスビル)の配合剤です。
「前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変」の効能の場合は「前治療歴を有する」ということから第一選択薬ではないため、前治療歴がない場合は疑義照会対象となります。
また、この「前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変」の効能ではリバビリンとの併用が必要です。
現時点ではリバビリン製剤のうち、レベトールのみが効能追加によりエプクルーサとの併用の効能が新設されています。他のリバビリン製剤であるコペガスなどはまだこの効能がありません。
また、「C型非代償性肝硬変」に対する効能の場合はリバビリンとの併用ではなくエプクルーサ単剤となります。なお、「C型非代償性肝硬変」に対する効能 は、国内初となります。
名称の由来は特にありません。
⑤レルミナ錠(レルゴリクス)
「子宮筋腫に基づく諸症状(過多月経、下腹痛、腰 痛、貧血)の改善」を効能とする 1日1回経口投与のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体拮抗薬です。
食事後ではAUCが半分ほど低下してしまうため、「食前」が用法となっています。
⑥イベニティ皮下注105mgシリンジ ( ロモソズマブ(遺伝子 組換え)
「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を効能とするヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤です。
通常、1回2本(合計210mg)、1ヵ月に1回、12ヵ月、皮下に注射されます。
自己注射はまだ認められていないため、病院での使用となるため調剤薬局で調剤する機会はないかと思います。
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