今回は2017年12月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
今回はジカディアの用法改訂、併用注意追加や薬剤師は直接調剤することはありませんが、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンであるトリビックがDPT 又は DPT-IPV の 4 回接種後の追加接種として使用可能となったことが主な内容かと思います。
①クリザリル錠(クロザピン)【重大な副作用】
重大な副作用に「胸膜炎」が追加となりました。
感染を伴わない胸膜炎があらわれることがあるので、呼吸困難、発熱、胸痛等があらわれた場合には速やかに胸部X線検査等を実施すること。
異常が認められた場合には感染症等との鑑別診断を行い、投与を中止するなど適切な処置を行うこと
②ジカディア(セリチニブ)【用法及び用量に関連する使用上の注意・併用注意】
1.用法及び用量に関連する使用上の注意改訂
従来、用法及び用量に関連する使用上の注意に記載されていた「食事の前後2時間以内の服用を避けること」の記載が、「食前1時間及び食後2時間以内の服用は避けること」に変更となりました。
〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉
食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが上昇するとの報告がある。
食事の影響を避けるため、食前1時間及び食後2時間以内の服用は避けること。
2.併用注意追加
併用注意に「胃内pHを上昇させる薬剤」が追加となりました。
製薬会社のホームページのジカディアのQ&Aでは、臨床試験でPPI、ヒスタミンH2受容体拮抗薬等の制酸剤を併用した患者と併用しなかった患者との間で有効性及び安全性の違いを比較したところ、明らかな違いは認められないとの情報もありますが、AUCはかなり減弱するため疑義照会対象と考えたほうがよいかと思います。
「胃内pHを上昇させる薬剤(プロトンポンプ阻害薬等)
エソメプラゾールと併用した場合、本剤の血中濃度が低下したとの報告がある。
pHの上昇により、 本剤の溶解性が低下すると考えられる。健康被験者(22例)にエソメプラゾール反復投与時(40mg、1日1回投与)、セリチニブ750mgを単回併用投与したとき、セリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ79%及び76%減少した。(外国人のデータ)
ジカディアQ&Aの記載
<プロトンポンプ阻害剤等の胃内pHを上昇させる薬剤とジカディアを併用することで、なにか影響はありますか?>
健康成人にプロトンポンプ阻害剤(PPI)であるエソメプラゾールを反復投与(40mg、1日1回6日間投与)し、本剤750mgを単回併用投与した際の薬物動態に対する影響を検討したところ、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ79%及び76%減少しました。
PPIの投与に伴う胃内pHの上昇により、本剤の溶解性が低下し、本剤の吸収量が低下するためと考えられています。
なお、臨床試験でPPI、ヒスタミンH2受容体拮抗薬等の制酸剤を併用した患者と併用しなかった患者との間で有効性及び安全性の違いを比較したところ、明らかな違いは認められませんでしたが、併用する際には十分な観察を行ってください。
③トリビック(沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン)【用法・用量追加】
今回の改訂により、DPT 又は DPT-IPV の 4 回接種後の追加接種としてトリビックを使用することが可能となりました。
トリビック(DPT)は、四種混合ワクチンが発売され、トリビックの代わりに四種混合が定期接種となったことから販売を休止していましたが、この改訂を機に販売を再開することとなっています。
現時点では、まだ正式に定期接種に組み込まれることが決定したわけではありませんが、将来的には現行の11-13 歳の DT2 期における接種がDT に代わり DPTになる見通しとなります。
以後の小児への追加免疫においては、標準として11歳以上13 歳未満の者に0.5mLを1回接種すること。
また、成人への追加免疫は、通常、1回0.5mLを接種すること
DTに代わりDPTになる経緯
百日咳は、感染力が強く、年長児・青年・成人の患者が、重症化しやすいワクチン未接種の新生児・乳児への感染源となることが問題とされています。
2000 年以降、青年・成人患者の報告数が増加していることからも、現行の接種法(第1期での4回接種)に加えて、年長児から成人における百日せき含有ワクチンの必要性が指摘されていました。
このような経緯から、4回接種後の追加接種に係る用法・用量が追加となりました。
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