新薬承認情報+効能追加情報【2024年初夏】

新薬承認情報+効能追加情報【2024年初夏】

2024年初夏の新薬承認品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。

今回は重要な薬剤が多いです。週 1 回投与の Basal(基礎)インスリン製剤のアウィクリ注 フレックスタッチ、レルベアの小児効能・小児剤形追加やトルリシティの最大用量追加に伴う規格追加は薬剤師として必ず認識しておく必要があります。

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①ブイタマークリーム1 %(タピナロフクリーム)

「アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬」を効能とする既存薬とは異なる作用機序を有する1日1回の低分子の芳香族炭化水素受容体調節薬です。

リガンド依存的な転写因子である芳香族炭化水素受容体(AhR)を活性化することにより,種々の遺伝子発現を調節し,炎症性サイトカインを低下させ,抗酸化分子の発現を誘導して,皮膚の炎症を抑制するとともに,皮膚バリア機能を改善するとされています。

<用法及び用量>
〈アトピー性皮膚炎〉
通常,成人及び12歳以上の小児には,1日1回,適量を患部に塗布する。

〈尋常性乾癬〉
通常,成人には,1日1回,適量を患部に塗布する。

②アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位/総量700単位(インスリン イコデク)

インスリン療法が適応となる糖尿病を効能とする世界で初めてとなる週 1 回投与の Basal(基礎)インスリン製剤です。半減期は約 1 週間であり、長時間作用が持続します 。

皮下投与後、可逆的にアルブミンと結合することで活性を示さない状態となり、その後、緩徐にアルブミンから解離しインスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が 1 週間にわたって持続します。

なお、本剤の単位合わせダイアルの1クリック(1目盛り)は10単位に相当し、本剤の投与単位数は10単位刻みで設定可能とされています。

<用法及び用量>
通常、成人では、1週間に1回皮下注射する。
初期は通常1回30~140単位とし、患者の状態に応じて適宜増減する。
他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1週間あたり30~560単位である。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。

連日投与のインスリンからの切り替えに注意が必要

「用法及び用量に関連する注意」に記載されている「連日投与の基礎インスリンからアウィクリへの切り替え用量」に注意が必要です。

切り替えの目安はそれまで連日投与していたBasalインスリンの1日総投与量の7倍に相当する単位数となります。

ただし、初回(1週目)は1.5倍に増量することがあり、この場合は2回目(2週目)はもとの目安量に戻す必要がある点に注意が必要です。そのため、2回目も初回同様のもとの1.5倍の単位の指示である場合は疑義照会する必要があります。

なお、3回目以降の投与量は、患者の状態に応じて調整する旨の記載のため決まりはありません。

まだ発売されていないので詳細な情報は出ておりませんが、現時点では処方箋で今まで使用していた基礎インスリンからの切り替え処方の際は下記の確認が必要と考えられます。

・注射の単位数が「目安量(それまで連日投与していたBasalインスリンの1日総投与量の7倍)」となっているか、「目安量の1.5倍」のどちらになっているか確認。

・初回量が「目安量の1.5倍」となっている場合は、2回目(2週目)の単位数が「目安量」にもどっているか(処方箋に2回目の単位数の記載があるか)確認

<用法及び用量に関連する注意>
7.4 連日投与のBasalインスリン製剤から本剤に変更する場合は、以下を参考に本剤の投与を開始し、その後の患者の状態に応じて用量を増減するなど、本剤の作用特性を考慮の上で慎重に行うこと。

7.4.1 本剤を1週間に1回投与する投与量は、それまで連日投与していたBasalインスリンの1日総投与量の7倍に相当する単位数を目安とすること。

7.4.2 連日投与のBasalインスリン製剤から本剤への切り替え時に血糖値が上昇するおそれがある。血糖値の上昇を防ぐため、2型糖尿病患者においては、初回投与時のみ、本剤の投与量を7.4.1項で示した単位数を1.5倍に増量して投与することが推奨されるが、患者の血糖コントロールと低血糖のリスクのバランスを考慮して増量の必要性を慎重に判断すること。

1型糖尿病患者においては、初回投与時のみ、原則として本剤の投与量を7.4.1項で示した単位数を1.5倍に増量して投与することただし、患者の血糖コントロール及び低血糖の発現リスクを踏まえ、初回投与量の増量の必要性を慎重に判断すること。

7.4.3 初回投与量を増量した場合、2回目の投与の際は、7.4.1項で示した単位数を投与すること。3回目以降の投与量は、血糖コントロール、低血糖の発現状況等の患者の状態に加えて、本剤の作用特性を考慮して調整すること。

過誤にも注意が必要

アウィクリ注 フレックスタッチは規格も「総量300単位」と「総量700単位」の2種あるので過誤にも注意が必要です。外観も驚くほど類似しているので一度製剤写真を確認しておくことをお勧めします。

なお、 使用開始後の期限は総量 300 単位は 6 週間以内、アウィクリ注 フレックスタッチ 総量 700 単位は 12 週間以内となっています。

<製剤写真の参考>
アウィクリ®注 フレックスタッチ® 総量300単位/総量700単位 製造販売承認取得のお知らせ

③ブリィビアクト錠(ブリーバラセタム )

「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」を効能とする抗てんかん剤です。

レベチラセタムと同様に、てんかん発作に関わるとされる脳内の神経終末にあるシナプス小胞タンパク2A(SV2A)に結合することにより作用を発揮すると考えられています。

④ネキシウム【小児用量追加】

下記の効能が小児に追加となりました。

・逆流性食道炎(維持療法)
・非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
・低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制

⑤レルベア100エリプタ【小児効能追加】
小児用レルベア50エリプタ
規格追加】

気管支喘息の効能においてレルベア100エリプタに「小児用量」が追加となりました。なお、200エリプタには小児の効能は追加されていません。

また、これに伴い「小児用レルべア50エリプタ」が規格追加となります。成人用同様に14吸入用と30吸入用が発売されます。

〈気管支喘息 小児>
通常、12歳以上の小児にはレルベア100エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する。

通常、5歳以上12歳未満の小児には小児用レルベア50エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして50μg)を1日1回吸入投与する。

トルリシティ皮下注アテオス【最大用量・規格追加】

従来では「0.75mgを週に1回」という単一用量でしたが、最大用量として「1.5mgを週に1回」投与が追加となりました。

また、これに伴い従来の0.75mg規格に加えて新たに「1.5mg」規格が追加となります。

<用法及び用量>
通常、成人には、デュラグルチド(遺伝子組換え)として、0.75mgを週に1回、皮下注射する。なお、患者の状態に応じて1.5mgを週に1回投与に増量できる。

規格の過誤に注意

トルリシティは従来では規格が0.75mgのみという規格違いの過誤リスクがない製剤でしたが、今後は規格違いの過誤に注意が必要となります。

1.5mg規格の存在を認識していないと、1.5mg処方時に従来規格の0.75mgで調剤してしまう過誤がほぼ確実に発生するため全ての薬剤師は認識しておく必要があります。

これも製剤写真を確認しておくことをお勧めします。下記の患者向け医薬品ガイドの最後の方に写真があります。

<参考>
 トルリシティ(デュラグルチド)患者向医薬品ガイド

新薬DSU等の解説
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