2022年4月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。それほど数がなかったので5月分と合わせてまとめようかと思いましたが、5月はDSUが発出されなかったので、結局4月分のみでまとめています。
今回はそれほど大きな改訂はありませんでしたが、スタチン系薬剤のBCRP関連の相互作用については認識しておいたほうが良いかと思います。
①ブリリンタ錠(チカグレロル)
重大な副作用に「高度な房室ブロック、洞停止等の徐脈性不整脈」が追記されました。
②オフェブカプセル(ニンテダニブエタン)
重大な副作用に 「 ネフローゼ症候群」が追記されました。
また、これに伴い「重要な基本的注意」にも投与期間中は尿蛋白を定期的に検査する旨の記載が追記となりました。
<重要な基本的注意>
ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、投与期間中は尿蛋白を定期的に検査すること。
③リポバス錠(シンバスタチン)
「相互作用」の欄に乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質である旨が追記されました。
BCRPは、基質薬剤を消化管・胆汁・尿へと排泄するトランスポーターであるため、BCRP阻害作用を持つ薬剤との併用によりBCRPの基質となる薬剤のAUCが上昇します。
スタチン系薬剤はBCRP関連の相互作用に注意が必要
ロスバスタチン、アトルバスタチンではすでに以前より BCRPの基質である旨が記載されています。
フルバスタチンの添付文書には記載がありませんが、フルバスタチンはグラジナ錠などの BCRP阻害作用を持つ薬剤側でBCRP関連の相互作用として記載されているので、今後はフルバスタチンの添付文書にも追記されてくる可能性があります。
BCRP関連の相互作用は近年、少しずつ増加してきいる印象があり、特にロスバスタチン、アトルバスタチンなどでちょこちょこ添付文書改訂で追記になっています。
併用注意ながらも、BCRP阻害作用を持つ薬剤の併用によりスタチン側のAUCが2倍~数倍程度に増加するものがあるので、スタチン系薬剤(ロスバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチンなど)はBCRP関連の相互作用に注意が必要であることは認識しておいたほうが良いかと思います。
なお、BCRP阻害作用を持つ薬剤例としては抗がん剤や C型肝炎の薬剤、腎性貧血治療薬など比較的処方頻度が少ない薬剤という印象があります。
<BCRP阻害作用を持つ薬剤例>
エレルサ錠、グラジナ錠、スチバーガ錠、タブレクタ錠、エベレンゾ、バフセオ錠など
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