2018年7月分 DSUのまとめ・解説

2018年7月分 DSUのまとめ・解説
今回は2018年7月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はタクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリンの禁忌項目から「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」が削除になったことが大きな内容となります。

これは、厚生労働省の事業として設置された「妊娠と薬情報センター情報提供ワーキンググループ委員会」の改訂案を受けた結果となります。

近年、免疫抑制剤による臓器移植患者の長期予後の改善等に伴い、妊娠可能年齢の患者の妊娠中における治療継続が課題となっていることから、免疫抑制剤3剤(タクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリン)の添付文書における妊婦等への注意喚起について見直しが行われました。

その結果、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与する旨の注意喚起をした上で、禁忌を解除することが適切であると判断されたことで今回の改訂となりました。

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薬剤師としての対応

禁忌から削除されたものの、催奇形性などの記載はされているため、少なくとも内服製剤に関しては従来通り、妊娠の予定ができたら、事前に医師に相談するように説明する対応が必要かと思います。

①タリムス点眼液・プロトピック軟膏(タクロリムス点眼液・軟膏)【禁忌削除】

「禁忌」の項の「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」が削除され、「妊婦、産婦、授乳婦等への使用」の記載が下記に変更となりました。

<妊婦等>
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。

[動物実験(ウサギ、経口投与)で催奇形作用、胎児毒性が認められたとの報告がある。ヒト(経口投与)で胎盤を通過することが報告されている。]

②プログラフ(タクロリムス)【禁忌削除】

「禁忌」の項の「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」が削除され、「妊婦、産婦、授乳婦等への使用」の記載が下記に変更となりました。

<妊婦等>
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

[動物実験(ウサギ)で催奇形作用、胎児毒性が報告されている。ヒトで胎盤を通過することが報告されている。妊娠中に本剤を投与された女性において、早産及び児への影響(低出生体重、先天奇形、高カリウム血症、腎機能障害)の報告がある。]

③アザニン・イムラン(アザチオプリン)【禁忌削除】

「禁忌」の項の「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」が削除され、「妊婦、産婦、授乳婦等への使用」の記載が下記に変更となりました。

また、従来、【重要な基本的注意】に記載されていた「男女共に避妊を行わせること」という記載が削除となり、「妊婦等への投与」の項目に、本剤が有するリスクを説明すること、男女とも可能な限り投与期間中は妊娠を避けさせることが望ましい旨の記載がされました。

添付文書の「妊婦等への投与」の項目は通常、妊娠していないと見ないので、個人的にはこれは【重要な基本的注意】に記載すべき内容かと思います。

<妊婦等>
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

妊娠する可能性のある女性には、本剤が有するリスクを説明すること。可能な限り、投与期間中の妊娠を避けさせることが望ましい。

[ヒトで胎盤を通過することが報告されている。リンパ球に染色体異常を有する児が出生したとの症例報告、出生した児で先天奇形、血球数の減少、免疫担当細胞数の減少が認められたとの報告がある 。

本剤を妊娠期間中に投与された女性(特に副腎皮質ステロイドを併用した場合)において、早産及び低出生体重児の出産が報告されている。両親のいずれかへの本剤投与に引き続き、自然流産が発現したという報告もある。また、動物実験(ウサギ、ラット、マウス)で催奇形性が報告されている 。]

<妊婦等>
パートナーが妊娠する可能性のある男性に投与する場合には、本剤が有するリスクを説明すること。可能な限り、投与期間中はパートナーの妊娠を避けさせることが望ましい。

[細菌を用いた復帰突然変異試験及びマウス、ラットを用いた小核試験において、遺伝毒性が報告されている。]

④ネオーラル(シクロスポリン)【禁忌削除】

「禁忌」の項の「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」が削除され、「妊婦、産婦、授乳婦等への使用」の記載が下記に変更となりました。

また、併用禁忌にパルモディアが追記となりました。なお、パルモディア側の添付文書にはすでに記載されています。

<妊婦等>
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

〔動物実験(ラット)で催奇形作用、また、難産及び周産期死亡が報告されている。ヒトで胎盤を通過することが報告されている。妊娠中に本剤を投与された女性において、早産及び児への影響(低出生体重、先天奇形)の報告がある]

⑤トリプタノール(アミトリプチリン)【併用禁忌】

併用禁忌にパーキンソン病治療剤であるアジレクト(ラサギリン)が追記となりました。

なお、アジレクト側の添付文書にはすでに記載されています。

⑥リムパーザ(オラパリブ)【妊婦、産婦、授乳婦等への投与】

抗悪性腫瘍剤であるリムパーザの「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」に避妊に関するする項目が追記となりました。

パートナーが妊娠する可能性がある男性に対しては、本剤投与 期間中及び最終投与後一定期間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。
[本剤の遺伝毒性試験において染色体異常誘 発性が認められている。]

⑦ザーコリ(クリゾチニブ)【併用注意】

抗悪性腫瘍剤であるザーコリの併用注意にイトラコナゾール併用時の具体的なAUC増加率が記載されました。

<併用注意>
本剤反復投与時にイトラコナゾールを併用投与したとき、本剤の定常状態における AUCtau及び Cmaxは単独投与と比べそれぞれ57%及び 33%増加した。

⑧シプロキサン(シプロフロキサシン)【併用禁忌】

併用禁忌にホモ接合体家族性高コレステロール血症の治療薬であるジャクスタピッドが追記となりました。

なお、ジャクスタピッド側の添付文書にはすでに記載されています。

⑨ヒアレイン点眼液【添加物変更】

添加物に含まれていた「ベンザルコニウム塩化物」が「クロルヘキシジングルコン酸塩液」に変更となりました。

これに伴い、「適用上の注意」の下記の記載が削除となりました。

なお、ジェネリックのティアバランスやヒアロンサンには従来から「ベンザルコニウム塩化物」は含まれていませんが、ヒアレイン同様に下記の記載はされています。

今回の先発品の記載改訂に合わせて、今後これらジェネリック製剤も下記の記載が削除になる可能性があるかと思います。

〈適用上の注意削除〉
ソフトコンタクトレンズを装用したまま使用しないよう指導すること。

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