2017年2月22日（水）に放送されたNHK『ガッテン！』(以前はためしてガッテンという番組名)で「最新報告！血糖値を下げるデルタパワーの謎」というテーマが放送されました。
この番組でオレキシン受容体拮抗薬（ベルソムラ）について誤った内容が放送されたことで,医療現場に混乱を招いているようなので概要と対応をまとめました。
番組の概要
“睡眠を改善することで血糖値が下がる”という研究を紹介したものであり、糖尿病の背景のひとつに睡眠の問題があることをお伝えするのが、番組の主旨のようでした。
問題となっているのは、この番組でスボレキサント(ベルソムラ)が「睡眠薬で糖尿病の治療や予防ができる」や「副作用の心配がなくなっている」などといった不適切な内容で取り上げられたことです。
この影響で糖尿病に効く睡眠薬を希望して医師にかかる患者が増えているようです。
なお、放送後、多くの医療関係者から批判され、すでにガッテン！の番組ホームページ上で不適切な内容であったと謝罪文がでています。
参考）ガッテン！ ホームページ
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20170222/index.html#lead
薬剤師としての対応
患者さんからこの内容について聞かれた場合は、すでに番組の内容が不適切だったことに対して番組ホームページ上で謝罪文が掲載されていることをお話しします(謝罪文を印刷してみせてもよいかと思います)。
そして現時点では血糖値を下げる目的で睡眠薬を使うというのは一般的ではなく推奨されないことなどを説明するのがよいかと思います。
また、他薬局での併用例を含め患者の希望でベルソムラを使用し始めるケースが増加する可能性があるため、クラリスロマイシンなどの併用禁忌やジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等のベルソムラを減量しなければならない併用注意薬などの相互作用を再度認識し注意しておく必要があるかと思います。
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