ハーボニーの服薬指導

ハーボニー
今回はC型肝炎の治療薬であるハーボニー(レジパスビル/ソホスブビル配合錠)の服薬指導をまとめました。

1錠およそ5万5千円という極めて高価な薬剤であり、コンプライアンスが重要なわりには、服薬忘れの対応の明示や相互作用の検討がやや不十分な印象を受ける薬剤です。

ハーボニーの包装単位は従来ではバラ28錠ボトルのみでしたが、PTPの14錠包装も2016年10月に追加となっているようです。

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ハーボニーの概要

服薬指導難度

効能

セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善

用法・用量

通常、成人には1日1回1錠(レジパスビルとして90mg及びソホスブビルとして400mg)を12週間経口投与する。

名前の由来

特にありません。

指導せん

下記の3種類の冊子が存在しています。各冊子ともある程度内容に重複がありますが、すべて渡してもよいかと思います。(病院で渡している場合も多いかと思います)

1.ハーボニーを服用される皆様へ

病気と薬の概要が記載されています。

2.わたしの服用日誌

あまり目立ちませんが一応、服薬確認として曜日と服薬したら「○」をつける欄が用意されています。服薬忘れの対策としてはこれか、後述の服薬カレンダーを使うとよいかと思います。

3.服薬指南書

薬剤の実物大の写真が記載されています。また、服薬道84次」という1〜84日まで服用するたびにシールをはるツールもついていますが、曜日の記載がないため実際は使いにくいと思います。

別紙として「患者様サポートツールのご紹介」がはいっており、患者がハガキで登録するとのみ忘れ防止に有用な服薬カレンダーなどのツールを利用できます。

ハーボニーの服薬指導で確認すること

①腎機能障害の有無【禁忌】

重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者が禁忌となるため、腎機能障害の有無を聴取します。

②併用薬の確認【併用禁忌】

カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシンが併用禁忌となります。

③アミオダロン併用の有無【併用注意及び重要な基本的注意】

併用注意ではありますが、併用する場合は添付文書上、「併用投与開始から少なくとも 3日間は入院下で適切に心電図モニタリングを実施し、退院後少なくとも 2 週間は患者又はその家族等が心拍数を連日確認し〜」などと非常に厳しいハードルがあるため、実際は併用禁忌のようなものかと思います。

本剤とアミオダロンの併用投与により、徐脈等の不整脈があらわれるおそれがあり、海外の市販後において死亡例も報告されていることから、本剤とアミオダロンの併用は可能な限り避けること。

ただし、やむを得ず併用する場合には、患者又はその家族に対して併用投与により徐脈等の重篤な不整脈が発現するリスクがあること等を十分説明するとともに、不整脈の徴候又は症状(失神寸前の状態又は失神、浮動性めまい、ふらつき、倦怠感、脱力、極度の疲労感、息切れ、胸痛、錯乱、記憶障害等)が認められた場合には、速やかに担当医師に連絡するよう指導すること。

また、併用投与開始から少なくとも 3日間は入院下で適切に心電図モニタリングを実施し、退院後少なくとも 2 週間は患者又はその家族等が心拍数を連日確認し、不整脈の徴候の発現等に注意して十分に観察し、異常が認められた場合には適切な対応を行うこと。

④胃内pHを上昇させる薬剤(制酸剤、H2受容体拮抗剤、プロトンポンプ阻害剤等)の有無【併用注意】

ハーボニーの成分の1つであるレジパスビルの溶解性は胃内pHの上昇により低下します。そのため胃内pHを上昇させる薬剤により血漿中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるため併用注意となっています。

添付文書上、減弱の程度(どの程度AUCが減弱するか)に関してはオメプラゾールとの併用しか記載がありません。レジパスビル単剤投与2時間前にオメプラゾールを投与したところレジパスビルのAUCが約半分に減弱しています。

実際に併用された場合の対応は各薬剤により異なります。

1.H2受容体拮抗剤の場合

H2受容体拮抗剤(H2RA)を本剤と同時に投与又は本剤投与と12時間の間隔をあけて投与すること」とされているため、ハーボニーの用法をH2RAと同じ、もしくは12時間おいた用法とする必要があります。

2.プロトンポンプ阻害剤の場合

下記の記載があるため、ハーボニーとPPIの用法をともに空腹時に揃える必要があります。なお、食後同時服用に関しては、検討していないとのことです。高価な薬剤なのでこのあたりはきちんと検討して欲しいところです。

本剤投与前にプロトンポンプ阻害剤を投与しないこと。本剤と併用する場合は、プロトンポンプ阻害剤を空腹時に本剤と同時投与すること

特にハーボニーが食後で処方されて併用薬としてPPIが他院から食後で処方されている場合は、かなり手間のかかる対応が必要となります。以下が実際に私が対応したときの大まかな流れです、参考になればと思います。

1.患者に対して空腹時で具体的に飲みやすいタイミングを聴取する(実際には起床時や寝る前が飲みやすいかと思いますが、直近の食事から食後2時間または食前30分〜1時間あいているかも確認します)

2.ハーボニー処方医師に併用注意のことを伝え、添付文書上空腹時に揃えることとされていることを話して空腹時に揃える意向であれば、薬局側からPPI処方医師に連絡して確認をとることを伝えます。

3.PPI処方医師に経緯を説明し、用法を変えて飲ませてよいかの了承を得たのち、ハーボニー処方医師に報告します。

3.制酸剤の場合

前述の2剤とは異なり、対処方法の記載がありません。製薬会社に確認したところ、やはり具体的な間隔などは示しておらず、制酸剤の効果発現時間などを制酸剤側の製薬会社に確認し、pHの上昇を示す時間を避けてハーボニーを服用するのがよいと考えられるとのことでした。

制酸剤はそれ自体がアルカリ性であり胃酸を中和するので、服薬するとすぐにpHを高めますが、効果は長続きしないため、これを踏まえるとむしろ同時投与でないほうが良さそうな印象もあります。

いずれにせよ、処方された制酸剤の製薬会社に胃内pHを上昇させる時間などを確認するなどの対応をしたほうがよいかもしれません。

⑤クレストールの併用の有無【併用注意】

海外第Ⅰ相試験における検討では、レジパスビルとこれ以外にvedroprevir及び tegobuvirの合計3成分併用下でクレストールのAUCが8倍に増加しています(承認審査報告書より)。

これはレジパスビル以外の2成分が併用されているため、クレストールの薬物動態パラメータ変化に及ぼすレジパスビルの寄与は、現時点では明確ではありせんが併用時には少なくとも再度横紋筋融解症の説明を促す必要があるかと思います。

⑥服用開始日の確認(初回以降)

投与期間が12週であるため通常は28日処方が3回で終了となるかと思います。万一それ以降も処方が続いた場合はかならず疑義照会が必要となります。

⑦健康食品の有無【併用禁忌】

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品が併用禁忌となるため、健康食品の併用の有無を聴取します。

⑧B型肝炎の有無【重要な基本的注意】

B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者において、B 型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているため、B型肝炎の有無を聴取し、該当しかつ医師にも伝えていない場合は医師に連絡し伝えます(通常であれば病院で検査済みかと思います)。

⑨錠剤の大きさの確認

錠剤が大きい(直径20mm、短径10mm、厚さ6.6mm)ので飲めるか確認します。

ハーボニーを開封すると返品できなくなるので、これは開封しないで確認すること(定規やバルトレックス錠:直径18.5mm 短径7.3mmをみせるなど)をお勧めします。

なお、ハーボニーの指導せん(指導冊子)の服薬指南書には実物大の写真があるため、取り寄せてこれをみせるのが分かりやすいかと思います。

ハーボニーの服薬指導で伝えること

①飲み忘れの対応

極力飲み忘れのないようにすることを説明し、必要に応じて前述の指導用冊子(服薬日誌など)を渡します

また、実際に飲み忘れてしまった際の対応に関しては患者向け医薬品ガイドには下記の記載があります。

決して2回分を一度に飲まないでください。気がついた時に、1回分を飲んでください。ただし、次の飲む時間が近い場合は1回とばして、次の時間に1回分飲んでください

なお、製薬会社の推奨としては、公的には記載していないが、「当日中(夜の12時)までに気付いた場合は服用し、次の服用時間は通常の時間に服用」とのことでした。

薬剤師の対応としては、患者に対して医師から飲み忘れの対応を聞いているかを確認し、聞いていない場合は一般的には当日中であれば服用する場合が多いが、医師により異なる場合があるので飲み忘れた場合は医師に連絡して確認するように説明するのがよいかと思います。

②チャイルドロックの開け方の説明【バラ28錠ボトルの場合】

ハーボニーは1錠あたりが高額なため、投薬口て箱を開封し(錠数が足りないなどの申し出を防ぐため)、分包などをしないで(分包時の落下を防ぐため)ボトルで渡すのがよいかと思います。

ただし、ボトルにチャイルドロックがかかっているため、これを説明し、開けることができるか確認します。

開けれない場合は分包を検討します。なお、服用者本人は開けれないが、家族は開けられるなどの場合はチャイルドロックになっていない1瓶14錠入る小分け用のボトル(製薬会社より提供)を2つ渡して移し替えてもらう方法もあります。

なお、ハーボニーの包装単位は従来ではバラ28錠ボトルのみでしたが、PTPの14錠包装も2016年10月に追加となっているため今後はボトルでのお渡しは減っていくことが予想されます。

ハーボニー服薬指導薬歴例

S)C型肝炎
O)併用なし、健康食品なし、腎臓悪いと言われたことなし、B型肝炎なし、大きな錠剤のめる
A)飲み忘れの注意すること説明、飲み忘れた場合は一般的には当日中であれば服用する場合が多いが、医師により異なる場合があるので飲み忘れた場合は医師に連絡して確認するように説明。
チャイルドロックの開け方説明(バラ28錠ボトルの場合)。
P)飲み忘れ確認

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