2020年冬の効能追加情報をまとめました。
今回はゾフルーザ錠のインフルエンザ予防の効能追加など、調剤薬局の薬剤師のとって重要なものが多いため認識しておく必要があります。
①フォシーガ錠(ダパグリフロジン)
「慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)」の効能が追加となりました。
慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限るため、単独で心不全に対して使われることはなく、ACE阻害薬やARBなどと併用されるかたちでの処方となるかと思います。
下記が留意点となります。
・今後は糖尿病でなくとも、心不全の用途として使用される場合がある。
・ 糖尿病に対しては5mgが開始量だが、心不全の場合は開始量が10mg(ただし、1型糖尿病の患者に慢性心不全の治療として投与する場合は5mg開始)
②エベレンゾ錠(ロキサデュスタット)
従来の効能の「透析施行中の腎性貧血」が「腎性貧血」に変更されました。これにより、透析までいっていない保存期慢性腎臓病に伴う腎性貧血患者にも使用可能となりました。
ちなみに、エベレンゾは内服の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)としてはじめに発売された薬剤で効能が「透析施行中の腎性貧血」でしたが、以後に発売されたダーブロック、バフセオ、エナロイは「腎性貧血」が効能になっているため、今回の改訂でようやくエベレンゾの効能が他に追いついた感じがあります。
③ゾフルーザ錠20mg/顆粒分包(バロキサビルマルボキシル)
ゾフルーザ錠20mg及び顆粒にインフルエンザの予防の効能が追加となりました。ただし、顆粒はまだ発売はされていません。
なお、体重20kg未満の小児への予防投与については耐性ウィルス出現の懸念から承認されなかったため、10mg規格には予防の効能はありません。
下記が留意点となります。
・予防投与における用量は治療量と同じ(タミフルのように半量とかではない)
・体重20kg未満の小児への予防投与の効能はないため、10mg錠には予防の効能はない
⇨10mgが予防ででたら疑義照会対象
⇨12 歳未満の小児かつ20kg 未満で予防投与がでたら疑義照会対象
10mg錠と20mg錠又は顆粒分包の生物学的同等性が異なる
今回の効能追加と同時にしれっと添付文書に「10mg錠と20mg錠又は顆粒分包の生物学的同等性が異なること」が追記されています。
つまり、「10mg2錠」や10 mg錠の代わりに含有量が同じの2%分包を使うことはNGなので認識しておく必要があります。
リムパーザとかもそうですが、たまにこういった製剤を見かけます。
<用法・用量に関連する注意>
10 mg 錠と 20 mg 錠又は顆粒 2%分包の生物学的同等性は示されていないため、10 mg を投与する際には顆粒2%分包を使用しないこと。
また、20 mg 以上の用量を投与する際には、10 mg 錠を使用しないこと。
④テリルジーエリプタ吸入用(フルチカゾンフラン/ウメクリジニウム/ビランテロール)
「気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」の効能が追加となりました。
また、従来の規格である100エリプタに加えて、新たに200エリプタが販売されます。200エリプタには気管支喘息の効能しかありません。
下記が留意点となります。
・200エリプタが新たに発売されるので、認識しておかないと200 エリプタの処方がきたときに、従来の100で調剤してしまう過誤が想定される
・従来の100エリプタはCOPDも気管支喘息もどちらの効能もあるが、200エリプタでは気管支喘息のみの効能であり、COPDには効能がない
⑤ゼローダ錠(カペシタビン)
もともと効能と用法が複雑な薬剤でしたが、今回の改訂でより複雑になりました。下記が追加となっています。
タイケルブ錠は錠剤なので処方せんから併用が判断がつくかと思いますが、オキサリプラチンは点滴のため、処方せんだけでは併用が判断できません。そのためゼローダ処方には点滴も含めて併用薬を聴取する必要があります。
<手術不能又は再発乳癌>
従来のA法又はB法に加えて「タイケルブ錠(ラパチニブトシル酸塩水和物)と併用する場合にはC法を使用する」が追加となりました。
<結腸・直腸癌における補助化学療法>
従来のB法に加えて「オキサリプラチンと併用する場合にはC法を使用する」が追加となりました。
<治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌>
従来の「他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法」に加えて、「他の抗悪性腫瘍剤との併用でE法を使用する」が追加となりました。
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