血液凝固阻止剤の特定薬剤(ハイリスク薬)管理指導加算

血液凝固阻止剤
今回は血液凝固阻止剤での特定薬剤(ハイリスク薬)管理指導加算を算定する際の服薬指導をまとめました。

あくまで血液凝固阻止剤全般での内容であり、個別の薬剤の服薬指導の内容ではないため下記の内容だけ指導すれば服薬指導自体が十分というわけではないことは注意してください。

算定タイミングに関しては個々の薬剤師の判断により異なりますが、個人的には会計ありの場合でも少なくとも以下の時は指導が必要のため算定することになるかと考えています。

会計無しであればdo処方でも定期的に副作用などを説明・確認することで算定しやすいかと思います。

・新規処方
・増量時
・風薬などで併用注意薬剤(NSAIDsなど)が処方された時

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血液凝固阻止剤のハイリスク加算で確認すること

①サプリメントの服用の有無

イチョウ葉やDHAなど出血リスクを増加させるサプリメントの服用の有無を確認します。

血液凝固阻止剤のハイリスク加算で説明すること

①検査・手術前・抜歯時の服薬休止

内視鏡検査・手術前・抜歯時には休止する場合があるため、事前に血液凝固阻止剤の処方医側に相談するように説明します。

なお、当たり前ですが、医師の指示ない状態で勝手に薬剤師だけの判断で中止するかどうかの指示はできない内容となります。

②表層部出血の副作用説明

鼻血、歯肉出血、皮下出血(アザ)などの表層部での出血を説明します。また、強く鼻をかんだり、強く歯を磨きすぎないように指導します。

鼻出血、皮下出血、歯肉出血発現時の対応については薬剤により「医師に連絡するように」などと明記されているものもあるため、そのような薬剤(イグザレルト、エリキュース、リクシアナ、プラザキサなど)では単に「注意するように」という説明では不十分となるため注意が必要です。

③内部出血の副作用説明

消化管出血、頭蓋内出血、血尿、眼内(眼底)出血、心嚢内出血など体の内部で起こる出血について説明します。

消化管、頭蓋内、血尿に関してはほぼ全ての血液凝固阻止剤で記載があり共通しています。眼内出血、心嚢内出血、肺出血などは薬剤により記載があるかどうかは異なっています。

血尿・血便(消化管出血)

体の内部での出血ではありますが、ある程度肉眼で見つけることができるので日常的に尿や便の色をチェックする癖をつけるよう指導します。

万一、便や尿に血が混じる場合はすぐに病院に連絡し受診するように説明します。なお、便は赤色だけでなく黒色便の場合も胃で出血している場合があることも併せて説明します。

頭蓋内出血

頭で出血が起こった場合の説明をします。

万一、激しい頭痛や嘔吐、意識が薄れる、うまく体が動かない、ろれつが回らないなどでる場合は頭で出血している場合があるのですぐに病院に連絡するか救急車など呼ぶよう説明します。

心嚢内出血

エフィエントなどの一部の薬剤の出血の副作用として記載があります。添付文書上には具体的な症状の記載がありませんが患者向け医薬品ガイドには「胸の痛み、息苦しい、息切れ」などが症状として記載されています。

④他院受診時に服用を伝えること

血液凝固阻止剤は併用薬により作用が増強(一部減弱)するものが存在するため、他院受診時に服用を伝えるように指導します(相互作用だけでなく出血しやすい状態であることを伝える意味合いもあります)。

なお、比較的遭遇する頻度の高い併用注意の薬剤としてはNSAIDsやクラリスロマイシンなどが存在します。

多くの血液凝固阻止剤はこれら(とくにNSAIDs)との併用で出血の危険性が増大する可能性があリ併用注意に該当します(例外としてバイアスピリンとイブプロフェンはバイアスピリンの作用減弱)。

そのため、血液凝固阻止剤使用中に新たにこれらの薬剤が追加された場合は、再度出血に関する注意を促すなどの対応が必要となります(併用注意に該当する場合)。

⑤怪我をしないように注意

出血が止まりにくくなるため極力日常生活で怪我をしないように注意を促します。男性の場合は髭剃りに電気シェーバーを使うなどを勧めます。

また、出血時には圧迫止血を行うよう指導します。

⑥服用忘れの対応

添付文書などに服用忘れの対応が明記されている薬剤と記載のない薬剤とで対応が異なります。

添付文書などに服用忘れの対応が明記されている薬剤の場合

イグザレルト、エリキュース、リクシアナ、プラザキサなどの添付文書には服用忘れの対応(気づいたときに服用してよいか、次回まで何時間おくかなど)が明記されています。

そのような薬剤では添付文書の記載に従い服用忘れの対応を指導します。

服用忘れの対応が明記されていない場合

服用忘れの対応の説明するかしないか、また説明する場合はどのように説明するかの判断は個々の薬剤師により異なるかと思います。説明する場合は患者向け医薬品ガイドなどを参考とします。

ワーファリンの場合

ワーファリンの患者向け医薬品ガイドには下記の記載があるため、次回服用まで12時間おけるようであれば服用するように指導してもよいかもしれません。

不安であれば「一般的には次回服用まで12時間おけるようであれば服用する場合が多いですが、医師により指示が異なるので受診時に一度確認しておくように」と指導するのが良いかと思います。

決して2回分を一度に飲まないでください。
気付いたらすぐに1回分を飲んでください。ただし、飲むべき時間から半日以上経過していたら、1回分を抜いて、次から規則的に飲んでください。

ワーファリン以外の薬剤

添付文書に服用忘れの対応が記載されていない薬剤の患者向け医薬品ガイドではワーファリンを除いてほとんどが以下の記載となっています。問題は「次の飲む時間が近い場合は」の部分が具体的に何時間か明記されていないことです。

気づいた時に、1 回分を飲んでください。ただし、次の飲む時間が近い場合は 1回とばして、次の飲む時間に 1 回分飲んでください。決して 2 回分を一度に飲まないでください。

個人的には分1朝食後の薬剤であれば下記のように説明するのが良いかと思います。

「服用を忘れた場合は昼食後にずらすくらいであれば服用を勧めますが、それ以降の場合は医師により判断が異なるので次回受診時に確認しておくように」

なお、分2の薬剤であれば、「服用忘れの対応は医師により判断が異なるので事前に確認しておくように」とだけ伝えるのがよいかもしれません。

血液凝固阻止剤のハイリスク加算薬歴例

S)心房細動で追加
O)併用なし・サプリメントの併用なし
A)検査や抜歯前には休止する場合があるため事前に主治医に相談指示。他院受診時は伝えるよう指示。

怪我に注意し強く歯を磨いたり鼻をかんだりしないよう注意。髭剃りに電気シェーバーを使う(男性の場合)など出血に注意し出血時には圧迫止血を行うよう指導。

鼻血、歯茎出血、あざ、血尿、血便、黒色便、、激しい頭痛や嘔吐、意識が薄れる、うまく体が動かない、ろれつが回らないなどでる場合はすぐ医師に連絡し受診指示。

服用忘れの対応は医師により判断が異なるので事前に確認しておくように説明。

服薬指導の考え方・教育
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