2016年2月分 DSUのまとめ・解説

DSU2016年2月
今回は2016年2月分のDSUから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。なお、エリキュース、スイニー、エフピーの効能追加情報に関しては前回の記事をご参照ください。

効能・効果追加情報【平成27年12月分】
今回は平成27年12月分の効能・効果が追加となった薬剤のうち、薬局薬剤師に関係がある薬剤をまとめました。今回の注目すべき点はエリキュースとエフピーODの効能追加です。 特にエリキュースの効能追加は禁忌の一部や用法・減量基準が従来の適応とは異...
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【2016年2月】DSU掲載品目

①アジルバ(アジルサルタン)【重大な副作用追加】

横紋筋融解症が重大な副作用として追加となりました。「筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること」と記載されました。

添付文書では横紋筋融解症の自覚症状として、尿の色に関しては記載がありませんが、患者向け医薬品ガイドには「赤褐色尿」という記載があります。患者に対して副作用の説明をする場合は尿の色は重要な症状の一つであるため、筋肉痛や脱力感とともに併せて説明するのがよいでしょう。

②アムロジン(アムロジピン)【重大な副作用追加】

横紋筋融解症が重大な副作用として追加となりました。記載の内容は上記と同様です。

また、劇症肝炎及び無顆粒球症も追加となりましたが、従来より重大な副作用の項目に肝機能障害、黄疸、白血球減少症などは記載があり、これらに追記されるかたちでの記載となりました。

③イトリゾール(イトラコナゾール)【重大な副作用追加】

間質性肺炎が重大な副作用として追加となりました。

「咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施し、本剤の投与を中止するとともに、適切な処置を行うことと」記載されました。

④リスモダン等(ジソピラミド)【併用禁忌追加】

ゴーシェ病の治療剤であるサデルガ(エリグルスタット)が併用禁忌に追加となりました。

従来より併用禁忌であるものも含めてリスモダン内服製剤の併用禁忌は7種類となります。併用禁忌を整理すると薬効としては以下の6点であることがわかります。なお、このうちスパルフロキサシンはすでに販売が終了しています。

1.勃起不全治療剤

レビトラ(バルデナフィル)

2.抗菌薬

アベロックス(モキシフロキサシン)、スパラ(販売中止)

3.乳癌治療剤

フェアストン(トレミフェン)

4.多発性硬化症治療剤

イムセラ・ジレニア(フィンゴリモド)

5.抗不整脈薬

アンカロン注射剤(内服は併用注意)

6.ゴーシェ病治療剤

サデルガ(エリグルスタット)

薬剤師としての対応

薬剤師の対応としてはリスモダンの服薬指導の際に併用薬が上記の併用禁忌に該当しないかを確認する必要がありまはす。

これは併用薬の名前が明らかである場合はもちろんですが、患者に名前のわからない併用薬がある際には何の疾患に使っている薬かを聴取し併用禁忌でないかを確認する必要あるということです。

リスモダンの場合は名前不明の併用薬が「勃起不全治療剤、抗菌剤、乳癌治療剤、多発性硬化症治療剤、抗不整脈薬、ゴーシェ病治療剤」でないかを聴取し、これらの薬効に該当する場合は詳細を確認して併用禁忌の薬剤でないかを否定しなければなりません。

なお、ゴーシェ病は世界でも患者数が1万人にも満たない非常に稀な先天性脂質代謝異常症です。糖脂質を分解するライソゾームの酵素が生まれつき少ないために、糖脂質が体内の細胞に蓄積し、肝脾腫、貧血、出血傾向、骨疾患などの症状を引き起こすとされています。

⑤イムラン・アザニン(アザチオプリン)【併用禁忌追加】

併用禁忌にトピロリック・ウリアデックが追加となりました。これでイムラン・アザニンの併用禁忌はトピロリック・ウリアデックとフェブリクの2種類となります。

なお、トピロリック・ウリアデック側の添付文書には以前よりイムラン・アザニンの併用禁忌の記載がありました。イムラン側の添付文書に数年遅れて併用禁忌が記載され両薬剤の併用禁忌が統一されたことになります。

この例に限りませんが、相互作用の確認の場合に新しい薬の添付文書には併用禁忌の記載がありますが、古い方の薬剤の添付文書には記載が遅れている場合がしばしばあります。

これは記載の統一がされるまでは例えばずっとトピロリックを使っている患者で新しくイムランが追加された場合には追加されたイムランの添付文書だけを確認していると、併用禁忌を見落としてしまうということです。

記載の統一がされるまで、古い薬の記載が数年遅れる場合もあるので少なくとも新薬販売後の数年間は新薬側の添付文書も確認する必要がある点には注意が必要です。

薬剤師としての対応

この併用禁忌はイムラン調剤時よりも、トピロリックやフェブリク調剤時に併用としてイムランが出ている場合に見過ごしてしまう懸念があります。

特にトピロリックやフェブリク調剤時の服薬指導で名前が分からない併用がある場合には注意が必要です。名前不明の併用薬の効能を聞いてイムランの効能と被らないかを確認しますが、イムランの効能が多岐に渡るため注意が必要です。

また、現時点ではアザチオプリン製剤はイムランとアザニンしか販売がないため、この薬品名を患者に伝えてもし帰宅後に併用薬がこれらに該当することが判明した場合は必ず連絡するように指導します。

大まかなイムランの効能

アザチオプリンというと「臓器移植における拒絶反応の抑制」と思いがちですが、それ以外にも潰瘍性大腸炎やリウマチ性疾患などその効能は多岐にわたります。添付文書上の効能は以下となります。

 臓器移植における拒絶反応の抑制、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、ヴェゲナ肉芽腫症、結節性多発動脈炎、Churg-Strauss症候群、大動脈炎症候群等)、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び難治性リウマチ性疾患

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