2019年4月分 DSUのまとめ

2019年4月分 DSUのまとめ

2019年4月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。

今回はタミフル、ゾフルーザの「重要な基本的注意」に、出血に関する内容を患者に説明する旨が追記になったことが大きな内容となります。

これにより、今後は服薬指導の際に患者に対して説明が必要となります。

また、調剤の機会はあまりないかと思いますが「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能とするジカディアカプセルの用法用量が変更となったことも大きな変更点となります。

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①セロクエル(クエチアピン)【重大な副作用】

「重大な副作用」に「中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑」が追記となりました。

<重大な副作用>
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

②クロザリル(クロザピン)【重大な副作用】

「重大な副作用」に「腸潰瘍、腸管穿孔」が追記となりました。
なお、腸閉塞、麻痺性イレウスは以前から記載されています。

<重大な副作用>
腸閉塞、麻痺性イレウス、腸 潰瘍、腸管穿孔(いずれも頻度不明):

本剤の抗コリン作用により腸閉塞、麻痺性イレウス、腸潰瘍、腸管穿孔があらわれ、死亡に至った例も報告されている。便秘等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

③タケキャブ(ボノプラザン)【重大な副作用】

「重大な副作用」に「中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑」が追記となりました。

<重大な副作用>
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

④ランマーク皮下注(デノスマブ)【重大な副作用】

「重大な副作用」に「治療中止後の高カルシウム血症」、「治療中止後の多発性椎体骨折」が追記となりました。

<重大な副作用>
治療中止後の高カルシウム血症:
骨巨細胞腫患者において、本剤治療中止後、高カルシウム血症があらわれることがある。

治療中止後の多発性椎体骨折:
 本剤治療中止後、多発性椎体骨折があらわれることがある。

⑤タミフル(オセルタミビル)【重要な基本的注意】

「重要な基本的注意」に出血に関する内容が追記となりました。また、併用注意にワルファリンが追記となりました。

ワルファリンの併用注意追記と同じ改訂タイミングなので誤解しがちですが、「重要な基本的注意」の出血に関する内容はワルファリンとは関係ありません。

ワルファリンを服用していない症例でも、出血があったため別個としての改訂となります。

<重要な基本的注意>
出血があらわれることがあるので、患者及びその家族に対して、血便、吐血、不正子宮出血等の出血症状があらわれた場合には医師に連絡するよう説明すること。

<併用注意>
ワルファリン

臨床症状・措置方法:併用後にプロトロンビン時間が延長した報告がある。併用する場合には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。

機序・危険因子:機序不明

改訂理由

出血関連事象については従来「重大な副作用」及び「その他の副作用」において注意喚起がされていましたが、抗インフルエンザ薬全体における出血関連事象の発現傾向及び国内症例集積等を踏まえ、「重要な基本的注意」にも出血症状の注意喚起が追記されたようです。

薬剤師としての対応

この改訂により、今後は服薬指導の際に出血の説明が必要となりました。

実際の説明としては、初回服薬指導の薬剤や抗生剤でルーチンで行うアナフィラキシー症状の説明に追加するように話すのが伝えやすいかと思います。

なお、タミフルの指導せんにこの内容が追記されるかどうかはまだ未定のようです。

服薬指導例

「万一、合わない場合、蕁麻疹がでるとか苦しくなるとか便や咳に血が混じる、不正出血が起こる場合はすぐ連絡し受診頂いてますが、一般的によく使われる薬ですので」

⑥ゾフルーザ(バロキサビル)【重要な基本的注意】

「重要な基本的注意」に出血に関する内容が追記となりました。また、併用注意にワルファリンが追記となりました。

<重要な基本的注意>
出血があらわれることがあるので、患者及びその家族に以下を説明すること。

1)血便、鼻出血、血尿等があらわれた場合には医師に連絡すること。
2)投与数日後にもあらわれることがあること。


<併用注意>
ワルファリン

臨床症状・措置方法:併用後にプロトロンビン時間が延長した報告がある。併用する場合には,患者の状態を十分に観察するなど注意すること。

機序・危険因子:機序不明

改訂理由

国内において,本剤との因果関係が否定できない血便,鼻出血,血尿等の出血関連事象の報告が集積されていることから,「重大な副作用」の項に「血便,鼻出血,血尿等」が追記されました。

また,「重要な基本的注意」の項に,出血があらわれた場合には,患者や家族に医師に連絡を行っていただきたい旨を追記し,さらに集積症例の中には,本剤投与数日後に出血が発現した症例も確認されていることから,投与数日後にあらわれることがある旨も追記されたようです。

薬剤師としての対応

血便はタミフルと共通していますが、タミフルと異なり吐血、不正子宮出血ではなく、鼻出血,血尿が主として記載されています

また、「投与数日後にもあらわれることがあること」の記載がある点もタミフルと異なっています。

指導せん

ゾフルーザに関しては製薬会社の対応が早く、すでに異常行動の指導せんとは別に、出血(血便,鼻出血,血尿等について)の内容用の指導せんが作成されているので、取り寄せて使用するのがよいかと思います。

服薬指導例

「万一、合わない場合、蕁麻疹がでるとか苦しくなるとか鼻血や便や尿に血が混じる場合はすぐ連絡し受診頂いてますが、一般的によく使われる薬ですので」

⑦ジカディアカプセル(セリチニブ)【用法・用量変更】

「用法・用量」が「750mgを 1 日 1 回、空腹時」から「450mgを 1 日 1 回、食後」に変更となりました。これは悪心、嘔吐、下痢等の消化器毒性の低減が理由となります。

なお、ジカディアは「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能とするチロシンキナーゼ阻害剤です。

改訂理由

本剤750mgの空腹時投与により悪心、嘔吐、下痢等の消化器毒性が多く認められていたため、これらの軽減を目的として、低用量での食後投与による薬物動態、安全性及び有効性を、本剤750mgの空腹時投与と比較する海外第Ⅰ相臨床試験が実施されました。

この試験で本剤 450mg 1日1回食後投与群の曝露量及び有効性は、750mg 1日1回空腹時投与群と同程度であることが示唆されました。

また、本剤450mg 1日1回食後投与群の安全性については、750mg 1日1回空腹時投与群に比べ、消化器毒性が軽減する傾向が認められ結果を基に、用法及び用量の一部変更申請が承認されました。

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