今回は2018年8月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。
今回はラミクタールの用法及び用量に関連する使用上の注意の改訂が注意すべき内容かと思います。
効能追加に関しては、リンゼスの効能に「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」が追加となりました。
①オテズラ錠(アプレミラスト)【重大な副作用】
重大な副作用に「重度の下痢」が追加となりました。
<重大な副作用>
重度の下痢があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと
②ラミクタール(ラモトリギン)【用法及び用量に関連する使用上の注意】
従来、「用法及び用量に関連する使用上の注意」の項目の「本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤」として記載のあったアタザナビル/リトナビル、エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤(経口避妊薬)が削除となりました。
これにより、アタザナビル/リトナビル、エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤(経口避妊薬)においては「グルクロン酸抱合を誘導する薬剤」としての用量調節を行う必要がなくなりました。
改訂理由
改訂理由は下記となります。
「アタザナビル/リトナビル」及び「エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤(経口避妊薬)」はともに本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤ではありますが、「アタザナビル/リトナビル」は他のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤に比し、本剤の薬物動態への影響が軽度であり、また、「エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤(経口避妊薬)」は休薬期間において本剤の血中濃度が上昇します。
そのため、これらの薬剤とラモトリギンを併用する際は、皮膚障害の発現率が高まるリスクを回避するために、維持用量期に到達するまでは「本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤」としての用量調節を行う必要はありません。
しかしながら、これまでの添付文書の「用法・用量」とその注釈の記載のみからでは、本剤とこれらの薬剤とを併用する際に、より高用量となる用法・用量を選択される恐れがありましたことから、この度「アタザナビル/リトナビル」及び「エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤(経口避妊薬)」をグルクロン酸抱合を誘導する薬剤としての記載から削除することといたしました。
維持量に達した後は?
前述の改訂理由には「これらの薬剤とラモトリギンを併用する際は、皮膚障害の発現率が高まるリスクを回避するために、維持用量期に到達するまでは「本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤」としての用量調節を行う必要はありません。」という記載であり「維持用量期に到達するまでは」という部分が気になったので製薬会社に確認してみました。
回答としては維持用量期に到達したあとも、「本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤」としての用量調節を行う必要はないとのことでした。
休薬した場合に再開時に初回用量からとなってしまう「休薬期間」はグルクロン酸抱合を誘導する薬剤としてあつかわれる
この内容は認識しておかないと、ほぼ確実に間違えるかと思います。
ラミクタールは投与中止からの期間が半減期の5倍の期間を経過している場合は、改めて初回用量から再開する対応となりますが、グルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用した時と併用していない時とで「半減期の5倍」の時間が異なります。
普通に考えれば今回の改訂で「アタザナビル/リトナビル」及び「エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤」はグルクロン酸抱合を誘導する薬剤から削除されたので半減期の5倍は「約170時間」と読み取るかと思いますが、この項目に関しては安全性に配慮しグルクロン酸抱合を誘導する薬剤と同様に「約65時間」として扱うとのことでした。
添付文書の不備といってもよい内容であり、該当する事例と遭遇した場合は、再度製薬会社に確認するのがよいかと思います。
<用法及び用量に関連する使用上の注意>
本剤による発疹等の皮膚症状のために投与を中止した場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合以外は再投与しないこと。再投与にあたっては、いかなる理由で投与を中止した患者においても、維持用量より低い用量から漸増すること。
なお、投与中止から本剤の消失半減期の5倍の期間(バルプロ酸ナトリウムを併用した時は約350時間、バルプロ酸ナトリウムを併用せず本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用した時は約65時間(いずれも外国人のデータ)、バルプロ酸ナトリウムも本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤も併用しなかった時は約170時間)を経過している場合は、初回用量から「用法・用量」に従って再開することが推奨される
③ストラテラ(アトモキセチン)【併用禁忌】
併用禁忌にパーキンソン病治療剤であるアジレクト(ラサギリン)が追記となりました。
なお、アジレクト側の添付文書にはすでに記載されています。
④サインバルタ(デュロキセチン)【併用禁忌】
併用禁忌にパーキンソン病治療剤であるアジレクト(ラサギリン)が追記となりました。
なお、アジレクト側の添付文書にはすでに記載されています。
⑤パナルジン(チクロピジン)【併用注意】
併用注意に「選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン等)」が追記となりました。
<併用注意>
出血を助長するおそれがある。
SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血を助長すると考えられる。
⑥カナグル錠(カナグリフロジン)【その他の注意】
「その他の注意」に大規模臨床試験において下肢切断リスクの増加がみられたことの内容が追記となりました。
<その他の注意>
海外で行われた脳・心血管疾患の既往又は高いリスクを有する、血糖コントロール不良な2型糖尿病患者を対象とした大規模臨床試験において、カナグリフロジンとして100又は300mgを1日1回投与された患者では、プラセボを投与された患者よりも、下肢切断の発現頻度が有意に高かった(ハザード比:1.97、95%信頼区間1.41-2.75)との報告がある。
(本剤の承認用法・用量は100mg/日である。)
⑦ディレグラ配合錠(フェキソフェナジン・プソイドエフェドリン)【重要な基本的注意】
「重要な基本的注意」の項目の2 週間を超えて投与したときの有効性及び安全性の記載が従来の「本剤を 2 週間を超えて投与したときの有効性及び安全性は検討されていない」から「本剤を2週間を超えて投与したときの有効性及び安全性は臨床試験では検討されていない。2週を超えて投与する場合には患者の症状を確認しながら投与すること」に変更となりました。
これはディレグラは投与期間に上限のある薬剤ではありませんが、承認前に実施した臨床試験での投与期間が 2 週間までであったため、 2 週間を超えて投与する場合についても患者の症状を確認しながら適切に投与する必要があることから記載整備されました。
なお、承認後に実施した使用成績調査において 2 週間を超えて投与された場合の安全性及び有効性データが得られているようです。
⑧リンゼス錠(リナクロチド)【効能追加】
「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」の効能が追加となりました。
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