新薬承認情報【2020年初春】

新薬承認情報【2020年初春】

2020年初春の新薬承認品目のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。

尿酸再吸収阻害薬のユリス錠やベルソムラに次ぐオレキシン受容体拮抗薬のデエビゴ錠が調剤する機会が多そうな新薬かと思います。

また、今回は全体的に薬剤名が覚えにくいものが多い気がします。

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①ユリス錠(ドチヌラド)

「痛風、高尿酸血症」を効能とする選択的尿酸再吸収阻害薬です。

類薬のユリノームでは肝障害の警告があり、また、肝障害のある患者が禁忌となっておりますが、 ユリスでは肝機能障害患者は禁忌ではなく、慎重投与のような扱いとなっています。

このようにユリスではユリノームに比べて、肝障害についての制限が軽くなっていますが、肝機能検査に関しては他の尿酸排泄促進薬において重篤な肝障害が報告されていることから、本剤投与中は、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。」と記載されているため、ユリスなら肝機能検査が不要というわけではないことは注意する必要があります。

②デエビゴ錠(レンボレキサント)

「不眠症」を効能するオレキシン受容体拮抗薬です。

類薬のベルソムラではクラリスロマイシンなどCYP3Aを強く阻害する薬剤が「併用禁忌」、併用禁忌以外のCYP3Aを阻害する薬剤は「1日1回10mgへの減量を考慮」でしたが、デエビゴでは、併用禁忌ではなく、「CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)」が併用注意となっています。

ただし、併用する場合は「1日1回2.5mgとすること」と「考慮」でない減量規定があるため、実際の併用は難しいことは把握しておく必要があります。

Day(日中)+Vigor(活力)+Go(ready to go)が名称の由来です。

<用法及び用量>
通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする。

<用法及び用量に関連する使用上の注意>
CYP3Aを阻害する薬剤との併用により、レンボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強されるおそれがある。

CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は、患者の状態を慎重に観察した上で、本剤投与の可否を判断すること。
なお、併用する場合は1日1回2.5mgとすること。

③コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)

「アトピー性皮膚炎」を効能とする外用のJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬です。

JAK阻害薬というと、リウマチの薬の印象がありますが、外用薬のコレクチム軟膏はアトピー性皮膚炎が効能となっています。

「免疫(IMMU)をただす(CORRECT)」から命名されています。

④リンヴォック錠(ウパダシチニブ水和物)

「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能とするJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤です。

JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害は近年相次いで発売されている印象があります。ゼルヤンツ、オルミエント、スマイラフに次いで国内4剤目となるかと思います。

名称の由来は特にありません。

⑤ニュベクオ錠(ダロルタミド)

「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌」を効能とする1日2回、食後投与の非ステロイド性抗アンドロゲン剤です。

食後投与時のCmaxは空腹時投与と比べて約2.5~2.8倍、AUCは約2.5倍となっており、食物の影響を受けるため、食後投与となっています。

⑥ディナゲスト錠0.5mg(ジエノゲスト)【規格追加】

「月経困難症」を効能とする新規格です。

従来のディナゲスト錠は1mg規格であり、効能が「子宮内膜症」、「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」でしたが、今回の0.5mg規格の製剤は「月経困難症」のみを効能としています。

ディナゲストに限りませんが、今まで1つの規格だけであったものが、新たな規格を発売する際は、存在を認識しておかないと新規格の処方を従来規格で調剤してしまう過誤となるリスクが高いため注意が必要です。

⑦イブランス錠(パルボシクリブ)【剤形追加】

従来はカプセル剤でしたが、食事の有無に関係なく投与可能な「錠剤」の剤形が追加となりました。

従来のカプセル剤では薬物動態への影響から、食後に投与する必要がありましたが、患者の利便性を高めるために、食事の有無に関係なく投与可能な新たな製剤として、イブランス錠が開発されました。

錠は、生物学的同等性試験やバイオアベイラビリティ試験などの結果から、イブランスカプセルと生物学的に同等であり、かつ食事の有無に関係なく投与可能であることが確認されています。

新薬DSU等の解説
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