
2026 年4月分のDSUのなかから薬局薬剤師に関係がありそうな薬剤を抜粋してまとめました。今回はすべての薬剤師が認識しておく必要のある重要な改訂が多くなっています。
てんかんを効能とする一部の薬剤で医師の判断により運転等危険な操作が可能となったことやクラリスロマイシンとアゼルニジピンが併用禁忌となったこと、ジカティアに大量の併用禁忌が追加となったことなどが重要な改訂となります。
①カルバマゼピン、バルプロ酸、レベチラセタム、ラモトリギン、ラコサミド【重要な基本的注意】
てんかんを効能とする一部の薬剤(カルバマゼピン、バルプロ酸、レベチラセタム、ラモトリギン、ラコサミド)において、従来、重要な基本的注意に記載されていた運転等危険な操作の禁止の旨の記載が、今回の改訂により危険な操作の適否はてんかん発作が自動車運転等に支障がないように抑制されているかなども踏まえて医師が判断し、十分な注意が必要であることを患者に指導したうえで運転等危険な作業も可能な旨の記載となりました。
なお、今回改訂となった薬剤でも、てんかん以外の効能の場合は従来通り運転等危険な操作は禁止となります。
また、上記5剤以外の他の薬剤は従来通り運転等危険な操作は禁止となります。
<重要な基本的注意>
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがある。自動車の運転等危険を伴う機械操作の適否は、関連学会の留意事項を十分理解の上、医師が慎重に判断し、危険を伴う機械操作を行う場合には十分な注意が必要であることを適切に患者に指導すること。
また、眠気等があらわれた場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、患者に指導すること。
<参考:日本てんかん学会: 抗てんかん発作薬を服用しているてんかんのある人において、自動車運転や危険を伴う機械操作を行う際の留意事項(2026年 3 月17日)>
a.医師が注意すべきこと
1. 患者のてんかんが適切に診断され、標準治療が行われていることを確認する。具体的には最新の日本神経学会や日本てんかん学会のガイドラインを参照のこと。2. 患者のてんかん発作が自動車運転等に支障がないように抑制されているかを確認する。発作抑制の基準は、道路交通法およびその下位法規で規定されたものとする。
3. ストレス、睡眠不足、発熱、疲労に代表される患者個別のてんかん発作誘発要因が生じている時には自動車運転等を行わないように指導する。
4. 医師は各々の薬剤における適切な用法・用量を遵守する。また、薬剤の用法・用量を守るよう患者へ指導を行うと共に、服薬が遵守できているか確認する。
5. 抗てんかん発作薬の服用により、めまい、眠気、運動失調に代表される自動車運転等に影響を与える可能性のある副作用が発生することがあるので、これらの症状がある際には自動車運転等を行わないように指導する。
6. 併用薬剤の組み合わせによっては相互作用により副作用を生じうることに注意する。
7. 上記事項に基づき適切に確認や指導が行われ、既に自動車運転等を行っている者に対し、他剤からの切り替えや用量変更によって、発作が再発したり、自動車運転等に影響を与える可能性のある副作用が発生したりすることがあるため、十分な観察期間を設け、観察期間中は自動車運転等を行わない様に指導する。発作の再発がないことの観察期間は処方変更から 6 か月をめど、自動車運転等に影響を与える可能性のある副作用の観察期間は処方変更から 1 か月をめどとする。
8. 上記事項に基づき適切に確認や指導が行われ、既に自動車運転等を行っている者に対し、少なくとも 3 か月に 1 回の外来診察を行い、上記事項を含め、自動車運転等を行うことについて問題がないかの確認や必要な指導を行う。
b.抗てんかん発作薬を服用するものが注意すべきこと
1. てんかんと診断され、抗てんかん発作薬による治療が施されている者で、自動車運転等を希望する際には、医師により十分な発作抑制効果と運転等に支障を来す副作用がないことが確認され、かつ許可されなくてはならない。2. ストレス、睡眠不足、発熱、疲労に代表される個別のてんかん発作誘発要因を回避できない際には、自動車運転等は行わないこと。
3. 医師の処方通りに服薬すること。また服薬に際しては医師や薬剤師による指導の内容を遵守すること。
4. 抗てんかん発作薬の服用により、めまい、眠気、運動失調に代表される自動車運転等に影響を与える副作用が発生する事があるので、これらの自覚症状が生じた際には、自動車運転等を絶対に行わないこと。運転中にその様な状態になった際には、運転を速やかに中断すること。
5. てんかん以外の疾患や症状に対して処方を受ける際や市販薬を購入する際は、処方されている抗てんかん発作薬の効果や副作用に対する影響について、医師や薬剤師に確認すること。
薬剤師の対応
従来は一律に運転等危険な操作を避けるように説明する対応となっていましたが、今後は下記の対応が必要かと思います。
・用途の確認し、てんかん以外の用途の場合は従来通り運転等危険な操作を避けるように説明する
・てんかんの用途の場合は運転等危険な操作をする場合は事前に医師に許可をとるよう説明する(次回受診までに危険な操作の予定がある場合は疑義照会での確認も考慮)。
なお、これは薬による眠気などの影響以外に、てんかん発作の抑制状況なども関係することは留意しておく必要があります。
②アゼルニジピン【併用禁忌】
併用禁忌にクラリスロマイシン、セリチニブが追加されました(クラリスロマイシンは従来併用注意でした)。
アゼルニジピンには配合剤であるレザルタスもあるので見落としに注意が必要です。
生理学的薬物速度論モデルの解析により、CYP3Aに対して強い阻害作用を有するクラリスロマイシン又はセリチニブをアゼルニジピンと併用した場合、アゼルニジピンのAUCが約5.5倍に増加することが予測され、副作用の発現が懸念されるため、両剤を併用禁忌となりました。
今まで使用されていた薬剤が、実際に測定されたAUCでなく、モデルでの理論値で併用禁忌のなるのは少し意外な印象を受けましたが、もしかしたら今後も他薬剤で同様にこのように併用禁忌となるケースがでてくるのかもしれません。
③セリチニブ(ジカティア)【併用禁忌】
強い CYP3A 阻害作用を有することから下記の併用禁忌が追記されました。
併用禁忌が大量に追加されたため、今後はセリチニブもアゾール系薬剤やHIVの薬剤、ゾコーバ、パキロビッドなどの薬剤同様に「併用禁忌が大量にある薬剤」という認識をもつ必要があります。
・アナモレリン塩酸塩(エドルミズ)
・ボクロスポリン(ルプキネス)
・イバブラジン塩酸塩(コララン)
・キニジン硫酸塩水和物
・チカグレロル(ブリリンタ)
・マバカムテン(カムザイオス)
・アゼルニジピン(カルブロック)
・オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(レザルタス配合錠)
・エプレレノン(セララ)
・エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン配合錠)
・シンバスタチン(リポバス)
・タダラフィル(アドシルカ)
マシテンタン・タダラフィル(ユバンシ配合錠)
フィネレノン(ケレンディア)
・ロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッド)
・スボレキサント(ベルソムラ)
・ダリドレキサント塩酸塩(クービビック)
・トリアゾラム(ハルシオン)
・ブロナンセリン(ロナセン)
・ボルノレキサント水和物(ボルズィ)
・ルラシドン塩酸塩(ラツーダ)
・バルデナフィル塩酸塩水和物
・メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(パルタン M)
・ロナファルニブ(ゾキンヴィ)
・イブルチニブ(イムブルビカ)
・コルヒチン(肝臓又は腎臓に障害のある患者の場合)
④コルヒチン【警告】
「警告」に1 日量 1.5mg を超える高用量の投与又は重度腎機能障害患者への投与は臨床上やむを得ない場合を除き避ける旨を追記が追記され、また、中毒症状があらわれた場合には速やかに医療機関を受診するよう患者に指導することも追記されました。
用量については従来から「用法及び用量に関連する注意」には1 日量は 1.8mg までの投与にとどめることが望ましい」という記載があり、高用量は危険視されていたため、1 日量 1.5mg (日本の場合は0.5mg規格のため)を超える処方の場合は疑義照会をしていましたが、警告が追記されたことでこの制限がより強化された印象です。
<警告>
本剤の 1 日量 1.5mg を超える高用量を投与した患者及び重度腎機能障害患者において、重篤な中毒症状(胃腸障害、血液障害、腎障害、肝障害等)を発現し、死亡に至った症例が報告されている。1 日量 1.5mg を超える高用量の投与、又は重度腎機能障害患者への投与は、臨床上やむを得ない場合を除き避けること。また、悪心・嘔吐、腹部痛、下痢、咽頭部・胃・皮膚の灼熱感、血尿、乏尿、筋脱力等の中毒症状があらわれた場合には速やかに医療機関を受診するよう患者に指導すること。
<用法及び用量に関連する注意>
投与量の増加に伴い、下痢等の胃腸障害の発現が増加するため、以下の点に留意すること。1 日量 1.5mg を超える高用量投与により、重篤な中毒症状(胃腸障害、血液障害、腎障害、肝障害等)を発現し、死亡に至った症例が報告されている。・ 痛風発作の緩解への使用において、1 日量 1.5mg を超える高用量の投与は臨床上やむを得ない場合を除き避けること。1 回量、1 日量及び投与期間は国内の最新のガイドラインを参考にすること。
・ 痛風発作の予防又は家族性地中海熱への使用において、承認された用量を超えて投与しないこと。
<重要な基本的注意>
高用量を投与した患者及び腎機能障害患者において、重篤な中毒症状を発現する可能性があるので、悪心・嘔吐、腹部痛、下痢、咽頭部・胃・皮膚の灼熱感、血尿、乏尿、筋脱力等の症状があらわれた場合には速やかに医療機関を受診するよう患者に指導すること。
⑤添加剤として亜硫酸塩を含有している薬剤【その他の注意 臨床使用に基づく情報】
添加剤として亜硫酸塩を含有している薬剤(カロナールシロップ、ミトドリン錠「サワイ」、ボルタレンゲル、リンデロン点眼・点耳・点鼻液、オキサトミドシロップ小児用「VTRS」などその他多数)の「その他の注意 臨床使用に基づく情報」に亜硫酸塩による過敏症のリスクについて追記されました。
<その他の注意 臨床使用に基づく情報>
本剤は添加剤として亜硫酸塩を含有している。喘息患者では非喘息患者よりも亜硫酸塩に対する過敏症が多く認められるとの報告がある。
亜硫酸塩を含有している多くの薬剤が改訂となったので印象的ではありますが、少なくとも内服薬では初回の服薬指導の際にアナフィラキシーの副作用について説明するようにしていれば、喘息の有無にかかわらず追加の対応は不要かと思います。
なお、亜硫酸塩を含有している薬剤でも現時点では未改訂のものもまだあるので、おそらくそれらは今後改訂されていくのかなと思います。
⑥リムパーザ(オラパリブ)【重要な基本的注意】
「重要な基本的注意」に肝障害に関する注意喚起が追記されました。
<重要な基本的注意>
肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投
与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察するこ
と。
⑦リジュセアミニ点眼液【取扱い上の注意】
「取扱い上の注意」にアルミピロー包装開封後の期限について従来の3か月が期限という文言に加え「添付の遮光用投薬袋に入れて2~8℃で保存した場合には、1年以内に使用すること」が追記されました。
これにより、冷蔵庫保管しておけば調剤で余った端数分の期限が伸びるため廃棄ロスが減る可能性があります。
<取扱い上の注意>
アルミピロー包装開封後は、添付の遮光用投薬袋に入れて室温で保存し、3ヵ月以内に使用すること。添付の遮光用投薬袋に入れて2~8℃で保存した場合には、1年以内に使用すること。
⑧メトトレキサート【重要な基本的注意】
「重要な基本的注意」に光線過敏症についての注意が記載されました。
「指導すること」と明記されたことにより、今後は服薬指導時に強い紫外線は避けることを説明する必要があります。
<重要な基本的注意>
光線過敏症が報告されているので、適切な日焼け防止対策を行い、強い日光又は紫外線への曝露を避けるよう患者に指導すること。


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