
2026年初春の新薬承認情報+効能追加情報のなかから薬局薬剤師に関係がある薬剤の概要をまとめました。
今回は新薬としてはナルティークに次いで2剤目となる経口 CGRP 受容体拮抗薬のアクイプタ、効能追加としてイフェクサーの全般不安症、ゾコーバの予防の効能などが認識しておく必要のある内容かと思います。
①キーンス配合注 フレックスタッチ(インスリン イコデク/セマグルチド)
「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」を効能とする、週 1 回投与の Basal インスリン製剤「アウィクリ注」と週 1 回投与の GLP-1 受容体作動薬「オゼンピック皮下注」の配合剤です。
インスリン イコデク単剤製剤のアウィクリ注では 連日投与のBasalインスリン製剤からの切り替え時には血糖値の上昇を防ぐため、初回投与時のみ単位数を1.5倍にする対応が記載されていましたが、キーンス配合注ではそのような記載はないようです。
②アクイプタ錠10mg/30mg/60mg(アトゲパント)
「片頭痛発作の発症抑制」を効能とする経口 CGRP 受容体拮抗薬です。
経口 CGRP 受容体拮抗薬というと最近発売されたナルティークOD錠がありますが、特徴が大きく異なります。
ナルテイークは発症抑制の隔日投与に加えて、頓用の用法もありますが、アクイプタでは発症抑制の1日1回投与のみで頓用の用法はありません。
また、OATP阻害薬や強いCYP3A阻害薬と併用する場合は減量が必要となるため、この点は注意が必要です。
併用注意には強いCYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン)、OATP阻害剤(シクロスポリン)というように一部の薬剤名のみの記載なので誤解されそうですが、「用法用量に関連する注意」には薬剤名の記載がなく単に「強いCYP3A阻害剤」、「OATP阻害剤」という記載となっており、併用注意に記載のない薬剤も該当してしまうため注意が必要です。
<用法及び用量>
通常、成人にはアトゲパントとして60mgを1日1回経口投与する。
<用法及び用量に関連する注意>
・重度の腎機能障害患者及び末期腎不全患者(クレアチニンクリアランスが30mL/min未満)では、本剤10mgを1日1回経口投与すること。
・強いCYP3A阻害剤と併用する場合は、本剤10mgを1日1回経口
投与すること。
・ OATP阻害剤と併用する場合は、本剤30mgを1日1回経口投与
すること
OATP(有機アニオン輸送ポリペプチ
ド)阻害剤とは
OATP阻害剤というとシクロスポリンのスタチン系との相互作用(併用禁忌・併用注意)が有名です。
スタチンのなかでも最も影響が少ないフルバスタチンでもAUC増加率が3倍前後という薬剤師として知っておかなければならない相互作用のひとつですね。
シクロスポリン以外の薬剤はあまり知られていない印象ですが、ざっと調べたところOATP阻害作用を持つことが添付文書上記載されているものは下記の薬剤がありました(漏れもあるかと思います)。
おそらくアクイプタの製薬会社としてはOATP阻害作用の程度にかかわらず、添付文書に少しでも阻害作用の記載がある薬剤はすべて減量基準に該当するとしてしまう可能性が高いですが、阻害作用の記載が弱いあるいは程度記載がないものは実際に併用された際にアクイプタの製薬会社に確認する対応をとったほうがよいかと思います。
<併用禁忌・注意・ 薬物相互作用の項目にOATP阻害作用としての記載がある薬剤>
これらの薬剤は添付文書の併用禁忌・注意の項目の機序部分や薬物相互作用の項目にOATP阻害作用が記載されているため、アクイプタの減量基準に該当すると判断できる薬剤となります。
シクロスポリン、リファンピシン、ゾコーバ、マヴィレット、エプクルーサ、ニュベクオ、ジセレカ、ルプキネス、プレバイミス
<添付文書に記載はあるが程度が不明、または軽度であるため判断に苦慮する薬剤>
これらの薬剤は添付文書に記載はされているものの、程度が不明、または軽度であるため判断に苦慮する薬剤です。
実際に併用された際にはアクイプタの製薬会社に確認する対応をとったほうがよいかと思います。
アンブリセンタン、ソーティクツ、テプミトコ、ベネクレクスタ、ベレキシブル、フォシーガ、リフヌア
③パルモディアXR錠【効能追加】
スタチンの使用が適さない患者ではLDL-コレステロールの低下を目的として投与可能になりました。
なお、XRでないパルモディアは臨床試験をしていないので今回改訂されたのはXRのみとなっています。
<効能又は効果に関連する注意>
LDL-コレステロールのみが高い高脂血症に対し、第一選択薬とはしないこと(HMG-CoA還元酵素阻害薬の使用が適さない患者を除く)。LDL-コレステロールの低下を目的として投与する場合には、以下に注意すること。
LDL-コレステロールが高くトリグリセライドが正常値であり、以下に示すHMG-CoA還元酵素阻害薬による治療が適さない高脂血症に使用すること。
・副作用の既往等によりHMG-CoA還元酵素阻害薬の使用が困難な患者
・HMG-CoA還元酵素阻害薬の使用が禁忌とされる患者<用法及び用量>
通常、成人にはペマフィブラートとして1回0.2mgを1日1回経口投与する。ただし、トリグリセライド又はLDL-コレステロール高値の程度により、1回0.4mgを1日1回まで増量できる。
④イフェクサーSRカプセル
「全般不安症」の効能が追加となりました。これによりイフェクサーは全般不安症に対する日本初の治療剤ということになります。
用法用量は従来の効能と同一であるため、服薬指導時にどちらの効能で使うかという確認は不要かと思います。
<参考:全般不安症について ヴィアトリス製薬 プレスリリースより>
全般不安症(GAD)は、複数の出来事や活動に対して、慢性的にコントロールできない「不安」や「心配」を中心症状とする疾患です。不安や心配に加えて、十分な睡眠がとれなくなったり、筋肉が緊張して凝ったりなどの身体症状や、落ち着かない、疲れやすい、イライラする、集中できなくなることで、生活や仕事において深刻な機能の障害を起こすことがあります。
⑤ゾコーバ【効能追加】
SARS-CoV-2による感染症の予防の効能が追加となりました。
タミフルでは予防で使用する場合には治療の場合と用法が異なるため予防か治療か判別しやすいですが、ゾコーバは予防でも治療の場合と用法用量が同じため判別できません。
ただし、タミフル同様に予防の場合は自費となるため、その部分での判別は可能かと思います。
もちろん、予防使用にもかかわらず保険で処方が出た場合は疑義照会対象となります。
<効能・効果に関連する注意 <予防>>
・本剤は SARS-CoV-2 による感染症患者との接触後に投与するものであり、原則として、SARS-CoV-2 による感染症患者の同居家族又は共同生活者のうち、重症化リスク因子を有する者に投与すること。・過去 6 ヵ月間に SARS-CoV-2 陽性になった者、過去 3ヵ月間に抗 SARS-CoV-2 モノクローナル抗体を投与されたことがある者、過去 6 ヵ月以内に SARS-CoV-2 ワクチンを接種した者における本剤の有効性は確認されていない。
・本剤を投与した場合であっても、SARS-CoV-2 の感染及び SARS-CoV-2 による感染症の発症を完全に防ぐことができず、SARS-CoV-2 に感染している可能性及び他者に感染させる可能性があることを服用者に十分に説明すること
<用法・用量に関連する注意<予防>>
・SARS-CoV-2 による感染症患者に接触後 72 時間以内に投与を開始すること。臨床試験において、接触後 72 時間経過後に投与を開始した場合における有効性を裏付けるデータは得られていない。・本剤を服用開始した日から 10 日を超えた期間のSARS-CoV-2 による感染症に対する予防効果は確立していない。
⑥パキロビッドパック【小児用量追加】
小児(6歳以上)の効能が追加となりました。
体重40kg以上の場合は成人量と同じとなり、体重20kg以上40kg未満の場合は腎機能障害での減量用で使われているパキロビッドパック300の用量となります。
<用法及び用量>
通常、成人及び6歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与する。通常、6歳以上かつ体重20kg以上40kg未満の小児には、ニルマトレルビルとして1回150mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与する。
<適用上の注意 薬剤調製時の注意>
成人及び6歳以上かつ体重40kg以上の小児の中等度腎機能障害患者、並びに6歳以上かつ体重20kg以上40kg未満の小児に対してはパキロビッドパック300を交付すること。
⑦ルセフィ錠【小児用量追加】
小児(10歳以上)が追加となりました。
SGLT2阻害剤として小児効能を取得したのは国内初となります。これにより、小児2型糖尿病の薬物治療に新たな選択肢が増えることになります
<用法及び用量>
通常、成人及び10歳以上の小児にはルセオグリフロジンとして2.5mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら5mg1日1回に増量することができる。
⑧アリピプラゾール錠・OD錠「トーワ」3mg/6mg/12mg
トーワのアリピプラゾール製剤で「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」 の効能が追加となりました。
なお、うつ病の効能はまだ取得できていないので先発品と完全に効能が一致したわけではない点には注意が必要です。


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